比較レビュー:各メーカーのハイドレーションパックを比べてみた【登山にトレランに】

ハイドレーション・システムが便利すぎる3つの理由

ハイドレーションというウォーターパックの存在を知ったのは5年ほど前。たぶんそれほど早い方ではないと思いますが、こいつに出会ったときの衝撃は今でも忘れられません。それまでの水分補給と言えば主流はプラスチックか金属製の、いわゆる水筒。出会った瞬間、「水は器から口に流し入れるもの」という信念で暮らしていた人類に軽くビンタを食らわせるかのようなその発想力に強烈に惹きつけられました。「軽量・コンパクト・多機能・高機能」に眼がないぼくはもちろんすぐに手を出したわけです。その少し前に出ていたフィルム状ボトルにですら時代は変わるもんだと感心していたんですから、実際に使用した時はそれはそれは衝撃的でした。なにがスゴイって、要は歩きながら(ザックをおろさず)水が飲めるってだけなんですが、

  1. 自然とこまめに水分補給できるので、バテにくくなる
  2. バテないので今までよりも休憩が少なく、短時間で楽に登れる
  3. 飲み終われば小さくなるのでパッキングも楽

と、これひとつを導入することでいろんなことが捗ってしまうのです!試した人にしか分らないのでもどかしいですが、ぼくにとっては従来の山の登り方に革命を起こすほどのインパクトでした。特にソロハイカーのように、いつどのタイミングで休んでもいいという、そんな気ままで自由なスタイルにはばっちりはまるのではないでしょうか。

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どんどん進化し続けるハイドレーション

衝撃的な登場をかましてくれたハイドレーションでしたが、意外と弱点も多かったりします。既にネットで探せば出てくるのも含めて、まとめてみるとこんな感じ。

  • 飲み口を「噛んで吸う」のが実は飲みにくい
  • 飲み口が地面に付着したりして不衛生
  • 中身の量が分らないので、知らずに飲みきってしまうなど危険
  • 中身が洗いにくいし、乾きにくい
  • 真冬はチューブが凍るので使えない
  • 飲み姿がイケてない(個人的感想)

これら世間的に言われてきたデメリットのいくつかは、ハイドレーションであるがために不可避なものも確かにありますが、現在では技術革新によってさまざまな改善がなされ、克服されてきているものがほとんどです。出会った頃にはプラティパス一択だったハイドレーション・システムですが、最近では並行輸入でしか手に入らないものもあわせると相当多岐にわたります。しかも優れたアイテムに限って今日本のアウトドアショップでは手に入らなかったりするので、これはその実力差をきちんと比較してみなければ、ということで今回は、最新ハイドレーション・システムを合計6アイテム自腹購入し、晩秋の丹沢と八ヶ岳で合計4日間、仁義なき比較テストを敢行しました。

今回比較したハイドレーション

今回ピックアップしたハイドレーション6製品は以下。リアル店舗とネットで購入できるものとしてはほぼ全商品を網羅しているのではないでしょうか(価格等は2014年11月現在)。容量は一般的に日帰りで使うサイズ、そして公平を期すために2Lとしました。

  • CAMELBAK(キャメルバック)アンチドート(参考価格:4,644円)
  • OSPREY(オスプレー)レザヴォア(参考価格:3,672円)
  • Hydrapak(ハイドラパック)リバーシブルリザーバー(参考価格:5,616円)
  • SOURCE(ソース)WXP 2L(参考価格:6,480円)
  • Platypus(プラティパス)BIG ZIP SL(参考価格:4,536円)
  • GEIGERRIG(ガイガーリグ)HYDRATION ENGINE(参考価格:8,208円)
今回のテスト製品

左からCAMELBAK、OSPREY、SOURCE、Hydrapak、Platypus、GEIGERRIG

SOURCE WXP 2L には、実はよりアウトドア利用に特化したモデルもあったという事実に後で気がついたのですが、基本的な造りはほぼ同じでしたので、今回はこのモデルのままでテストとしました。それにしてもGEIGERRIGの8,000円というのが香ばしいですね・・・。いったい150円で水筒付飲料(ペットボトル)が買える今日日、水筒に8,000円使うという人間がどれほどいるのだろうか?そんな疑問を感じずにはいられないですが、気持ちよく忘れてテストに入りたいと思います。

テストは日帰りの山行(丹沢)と、1泊小屋泊まり山行(八ヶ岳)にて、同条件で使用してみることを基本に、それ以外はそれぞれの製品をいろいろな状況で個別に使用するという方法を採っています。山行後は道具を使用せず通常の使い方で洗浄、使用を繰り返しました。この記事を書いている時点(11/6)で購入から3ヵ月ほど経過しています。

実地テストによる評価詳細

アイテム名 CAMELBAK OSPREY Hydrapak SOURCE Platypus GEIGERRIG
総合評価 5位 6位 2位 3位 4位 1位
飲みやすさ
補給しやすさ
収納性
洗いやすさ
重量 180g(2L) 300g(2L) 140g(2L) 220g(2L) 120g(2L) 240g(2L)
容量の多様性 1.5L / 2L / 3L 2L / 3L 1L / 2L / 3L 1L / 2L / 3L 1.8L / 2L / 3L 2L / 3L
価格(税込参考) 4,644円 3,672円 5,616円 6,480円 4,536円 8,208円
漏水防止(ロック機構) × × ×
裏返して洗えるか × × × ×
チューブの着脱 オプション
オプションパーツ
バルブカバー オプション × オプション オプション オプション
残量確認 オプション × × × × ×
凍結防止カバー オプション オプション オプション × オプション
BPA フリー フリー フリー フリー フリー フリー

※凍結防止カバーは凍結を完全に防ぐものではなく、氷点下で行動していれば案外簡単に凍ってしまうので要注意。

飲みやすさ

ある程度予想はしていましたが、チューブから水が飛び出してくる GEIGERRIG の飲みやすさにかなうパックはありませんでした。一般的にハイドレーションは「飲み口を噛んで、吸う」という方法でしか水が飲めないため、登りで汗まみれのなかチューブを吸う力すら残っていないときには結構苦しかったりしますが、しかし GEIGERRIG だけは違っていて、パックを空気圧で押し出すことができるのです(前もってポンプで空気を注入しなければいけないですが)。つまり飲み口を少し噛むだけで水が勢いよく出てくる、めちゃくちゃ飲みやすい!百聞は一見にしかず、下の動画(英語ですが)をご覧ください。

これのおかげで逆に水を飲み過ぎてしまうくらい。その他、SOURCE のチューブは飲み口が他の「噛む」モデルと違い、飲み口のストッパーを引き出すことによって水が出る状態になります。この方が噛む・吸うという2方向の力を必要としない(吸うだけでよい)ため、幾分飲みやすい感じがしましたが、大きく違うというほどではありませんでした。

ハイドレーションによる飲み方の差

左・中央が噛んで吸うタイプ。右の SOURCE は先端を引き出して吸うタイプ。

補給しやすさ

比較したアイテムの注水方法は大きく2パターンあります。ひとつは大型の蓋を回し開け、そこから注水するパターン。もうひとつはパックの端が開いていてそこから注水できる(端を密閉するパッキンがついている)パターン。SOURCE だけは両方ついています。最もストレス無く補給できたアイテムは?GEIGERRIG でしょう。理由は2つ。まず蓋のモデルの場合、構造上斜めになり大きな口からこぼれやすく、また確かに蛇口からは水が入れやすいが沢の上流部などの水流が乏しい、変則的な場所で水を汲もうとすると難しいという弱点があります。もうひとつの理由ですが、同じパックの端を開けるタイプの中でも、プラティパスは少し狭い、Hydrapak や SOURCE はパッキンがきつくて開け閉めしにくい等の使いにくさがあったため、相対的に細かい部分まで作り込みが丁寧な?GEIGERRIG に軍配を上げたくなります。

SOURCE のパッキン接続部分

SOURCE のパッキン接続部分はやたらとはずれやすい(赤丸部分)

収納性

バックパックへの収納しやすさで最も優れていたのは OSPREY。理由はその形状を見れば一目瞭然で、OSPREY はパックの背面部分に型を入れることで、形状が安定し、ザックの背面部分に容易に差し込むことができるようになっています(下部写真)。おそらく同社製のザックに最適化されているのだと思いますが、ほかのハイドレーション対応ザックでも十分にフィットします。その他のパックは形状がなるべく平べったくなるように工夫しているものもありますが、やはりどうしてもグニャグニャと丸っこくなってしまい、チューブも含めてパッキングしにくいことは変わりません。

OSPREY は水を入れても膨らまないので、ザックの背面袋にすんなり収納できる。

OSPREY は水を入れても膨らまないので、ザックの背面袋にすんなり収納できる。

OSPREY をザックの背面に収納している様子。

OSPREY をザックの背面に収納している様子。

 

洗いやすさ

ハイドレーションは当初、口は小さくぺらぺらのフィルム状であったため、奥まで洗いにくかったり、中の水が非常に乾きにくかったりしました。この洗いにくさと不衛生さはハイドレーションの避けられない、大きな欠点だとぼくは思っていました。そんななか、Hydrapak と?GEIGERRIG?の2つは、「裏返すことができる」という方法で完全に克服したといえ、この2アイテムに関してはむしろボトルよりも簡単に内側を掃除し、乾かすことができます。一方残念ながらその他のアイテムはオプションパーツ等で洗いやすく、干しやすくしたりする方法を提供しているものの、根本的な解決には至っていません。

※洗ったハイドレーションを冷凍庫に入れて保管することで雑菌の繁殖を防ぐという方法もあるらしいですが未確認。

GEIGERRIGを裏返しした時の図

GEIGERRIG はかなり引っ張ってもまったく破れないので、裏返しも簡単。

まとめ

満足度No.1:GEIGERRIG HYDRATION ENGINE

GEIGERRIG(ガイガーリグ) 2L HYDRATION ENGINESGEIGERRIG(ガイガーリグ) 2L HYDRATION ENGINES

品質だけで評価するならば、GEIGERRIG HYDRATION ENGINE は文句なく最高の水分補給ギアと断言できます。確かに最初はポンプで空気を入れるの面倒では?なんて思いましたが、一度入れてしまえばその後は何度も入れ直す必要はないので、慣れてしまえば気になりません。水を入れ、バックパックに収納し、飲み、終わった後洗って保管するまで、ほぼすべての項目で他のアイテムよりも優れているだけでなく、この水圧によって単に「飲む」だけではなく、水をかける、洗い流すなど、さまざまな使い方を可能にしてくれます。

使い勝手とコスパで選ぶなら:Hydrapak

ハイドラパック シェープシフト 2.0L リバーシブルリザーバー 16500123ハイドラパック シェープシフト 2.0L リバーシブルリザーバー 16500123

いいことばかりの GEIGERRIG ですが、とはいえこの価格はさすがに悩ましい、そんな方も多いのではないでしょうか。そこで価格とクオリティのバランスを総合的に判断してベストな選択としてあげたいのが、Hydrapak です。GEIGERRIG に飲みやすさは劣るものの、同じように裏返しで洗えて衛生的、その他の項目においても引けをとらず、なによりぎりぎり手の出る価格でまとめた?Hydrapak は現時点でのベストチョイスかなと思います。

抜群の収納性で意外と使える:OSPREY レザヴォア

OSPREY(オスプレー) レザヴォア 2L OS56106OSPREY(オスプレー) レザヴォア 2L OS56106

飲み口が他よりも優れているというわけではありません。さらに洗ったあとの乾燥しにくさにも毎回うんざりしますが、パッキングし易い形状だけは他にはないメリットです。なので、その一点のみにおいてでも(帰ってきてからきちんとケアをすることを厭わなければ)このパックを選ぶ価値は十分ありです。

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