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比較レビュー:いつもより少しだけ早く、遠くへ行くためのファストパッキング向けシューズ履き比べ

トレッキングシューズに求めるものは人によってまちまちですが、やはり根本的には歩くための道具なので、歩きやすいのか、長く履いても快適か、サポート性はどうか、疲れにくいか、重いものを背負っていても負けないか。などが主になってくるのではないでしょうか。では、ファストパッキングで履くシューズがどうだろうか、何が求められ、必要になるのだろうか?人によってはトレイルランシューズを使用する人もいますが、体力もあり慣れていないとなかなか難しいことから、相当限られてくるでしょう。

そこで今回は、ファストパッキング向けとしてリリースされているシューズから数点をピックアップし、実際に履いて比較レビューしてみました。各シューズどのような特徴があり、どのようなユーザーに向いたシューズなのか吟味しています。どのようなシューズがあるのか知るのにも、購入の手助けにもなると思います。じっくり読んでみてください。

目次

今回比較したファストパッキング向けシューズについて

以下は今回チョイスしたファストパッキング向けシューズ5モデルです。今回は全てミッドカットで400gを下回る軽量なものを選びました。その中にはトレッキングシューズもあれば、トレイルランシューズをベースにミッドカットにしたモデルも含まれています。

  • adidas:テレックス フリーハイカー テレックス フリーハイカー
  • Hoka one one:スピードゴート MID WP 
  • inov8:ROCLITE G 345 GTX
  • ALTRA:ローンピーク4.0ミッドRSM
  • The North Face:シェイブドゥハイカーミッドGORE-TEX

テスト環境

評価項目については、以下の5点を指標に設定しレビューしました。

  1. 快適性・・・アッパーのフィット感や通気性、全体的なしなやかさなど、履き心地に圧迫感やストレスがなく、一日履きっぱなしであったとしても気持ちよくケガがしにくいかどうか。
  2. 重量・・・実際の重さだけでなく、歩いたり走ったりした際の感覚も大事にしました。
  3. グリップ・・・様々なトレイルで着地時の滑りにくさ、蹴り出し時の食い込みなど、。
  4. クッション・・・長距離をハイスピードで走歩するファストパッキング。着地での衝撃の受けにくさは、疲れを抑えて行動し続けるには非常に重要な要素です。
  5. 安定性・・・かかとやソールのホールド力、そして外部からの刺激や衝撃から足を守るプロテクションなど。さまざまな地形を相手にし、比較的重い荷物を背負って行動するには欠かせません。

以上の5点を意識して、アップダウンの多めのトレイルで走歩を繰り返し、テストしました。

テスト結果&スペック比較表

スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら

ハイク評価AAAAAAAAAAA
ラン評価AAAAAAAAAA
アイテム [アディダス] メンズ ハイキングシューズ テレックス フリーハイカー TERREX FREE HIKER コアブラック/グレーシックス/アクティブオレンジ adidas
テレックスフリーハイカー
HOKA ONE ONE/ホカオネオネ:SPEEDGOAT MID WATERPROOF:スニーカー シューズ スピードゴート ミッド ウォータープルーフ メンズHoka one one
スピードゴートMID WP
[イノヴェイト] ROCLITE 345 GTX メンズ MS inov8
ROCLITE G 345 GTX
[アルトラ] ローンピーク 4.0 M MID RSM LONE PEAK 4.0 M MID RSM ALM1855N000 ALTRA
ローンピーク4.0ミッドRSM
[ザ・ノース・フェイス] トレッキングシューズ シェイブドゥ ハイカー ミッド GORE-TEX メンズ The North Face
シェイブドゥハイカーミッドGORE-TEX
参考価格(税抜)¥24,000¥24,000¥21,000¥23,000¥18,000
ここが◎
  • 軽快な歩行感
  • クッション性と反発性のバランス
  • クッション性
  • 着地時の安定感
  • 高いグリップ力
  • 自然なはき心地
  • 足首のプロテクション
  • シューズ内の自由度
  • 高い安定感
ここが△
  • 防水性が乏しい
  • 足首のサポートが弱い
  • シューレースが細い
  • アッパーの柔軟性がない
  • 通気性がイマイチ
快適性★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★★☆
重量★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★☆☆
グリップ★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★☆☆★★★☆☆
クッション★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★★☆
安定性★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★★★
スペック
公式重量385g358g(27.0cm)345g384g
実測重量
(左右平均)
395g(27.0cm)344g(27.0cm)352g(27.0cm)355g(27.0cm) 398g(27.0cm)
ドロップ10mm
(23mm/33mm)
4mm
(28mm/32mm)
8mm
(8mm/16mm)
0mm
(25mm/25mm)
ミッドソールBOOST™POWERFLOWDual Layer EVA/A-Bound™XTRAFOAM™・CRADLE™
アウトソールContinental™Vibram® Mega GripGRAPHENE GRIPDuraTread™ Rubber with TrailClaw™EXTS™
透湿防水撥水のみSKYHEELGORE-TEXeVentGORE-TEX

各モデルのインプレッション

adidas テレックス フリーハイカー

ここが◎

  • 重量以上の軽い歩行感
  • クッション性と反発性のバランス

ここが△

  • 防水性が乏しい(防水モデルが19FWに登場)

アッパーにニット生地を採用し、靴下のように履具ことで高いフィット感を実現。普段でも違和感なく履けるスタイリッシュさも。

adidasのランニングシューズのファンには根強い人気があるBOOST™。恥ずかしながら、初めて見たときはなんだこの発泡スチロールは?子供騙しだろ…と思っていたのが懐かしいです。しかし徐々に今や多くのファンをもつadidasの真骨頂にまでなっています。このテレックスフリーハイカーは、そのBOOST™を初めてトレッキングシューズに採用したモデルです。

ストレッチ性の高いアッパーと、タンが一体化したソック構造のおかげでフィット感は非常に高く、足と靴との一体感が素晴らしい。それに加え、しっかりとしたヒールカップ、くるぶし周辺の厚いクッションのおかげでハイスピードなハイキングでも高い状態で、フィット感を維持してくれます。ミッドソールは高い耐久力・反発力を産む、ランニングシューズでは評価の高いBOOSTをトレッキングシューズに使用し、長時間歩き続けても適度な反発性のおかげで快適です。僕自身BOOSTフォームで長時間動いたのは初めてだったので、新境地を見出せて感動しました。ミッドカットではありますが、足首の自由度は高く、柔軟な動きができます。しかし、このシューズは走る。というよりも、パワーハイクのようにハイスピードで動き続けるような使い方がベストマッチです。

ソールはタイヤで有名なコンチネンタルのラバーを採用。ウェットな地形でも粘り強いグリップを発揮。

アウトソールには車のタイヤで有名なコンチネンタルが、シューズ用に開発したラバーを採用。最近のアディダズのアウトドアシューズラインには、このコンチネンタルが使われていて、もう定番です。ソールパターンは、フォア側は前向き、ヒール側は後ろ向きになっており、両方向にグリップします。結構粘着質なラバーで、グリップは良好ですが、柔らかさゆえ耐久性はちょっと低めです。

今回比較したシューズでは、唯一防水ではなく撥水加工のみ。そのおかげで通気性は非常に高く、快適です。多少の雨であれば浸水してくることはないのと、少しくらい濡れても高い通気性のおかげですぐドライになります。しかし気温が下がったり標高が高く風が強い環境では、やはり防風性の高い防水用ライニングが欲しくなります。テレックスフリーハイカーGTXをいう、GORE-TEXモデルも発売されているので、用途によって選択できます。このテレックスフリーハイカー、トレッキングシューズに新しい風を吹かせてくれそうです。

Hoka one one スピードゴートMID WP

HOKA ONE ONE/ホカオネオネ:SPEEDGOAT MID WATERPROOF:スニーカー シューズ スピードゴート ミッド ウォータープルーフ メンズ:27cm マルチ
HOKA ONE ONE [ホカオネオネ]

ここが◎

  • 高いクッション性
  • 着地時の安定感

ここが△

  • 足首のサポートがやや弱い

もともともスピードゴートより、アッパーの補強を増やし、荷物が増えた時などの安定感を向上させています。

トレイルランニングやウルトラマラソンでは知らない人はいないほどの高いシェア率を誇るHoka one one。そんなHoka one oneのトレイルランシューズであるスピードゴート2をベースに、アッパー・ヒールはより強化、防水性素材であるSKYHEELをライニングし、ミッドカット化して足首の安定性を高めたファストパッキングシューズがスピードゴートMID WPです。本来のスピードゴートの高性能はそのままに、まさに走れるトレッキングシューズです。

これまでトレイルランニングで、Hoka one oneを履いたことのある方であれば説明は不要でしょう。あのクッショニングと足を包み込む形状のミッドソール「アクティブフレーム」、自然に足を前に進ませてくれるメタロッカーテクノロジーなど、Hoka one oneの特徴はそのままに、アッパー部の補強、足首周りをボリュームのあるクッションで包み込むなど、防御力を高めています。ミッドカットなので足首が窮屈そうで走れるのか心配になるかもしれませんが、とても柔軟なので気になりません。

ソールはハイグリップのVibram MegaGripで、信頼性の高いグリップ力を保証してくれます。ミッドカットの足入れ部分はややボリュームがあります。

逆にこれまで通常のトレッキングシューズしか履いてこなかった人が、ファストハイクを始める時にこのシューズを選ぶと、圧倒的な違いに違和感を感じるでしょう。まずは持った時に軽く感じるのと同様に、履いた時に感じる軽量感には不安を感じるかでしょう。ミッドソールハイトはフォア28mm・ヒール32mmと分厚くクッションはフワッフワ。これまでに感じたことない世界が待っています。最初はこの違和感に戸惑うと思いますが、ただ柔らかいだけではなく、押し込んだ力を適度な反発生で返してくれますし、台形状のミッドソールのおかげで安定性も抜群。そしてアウトソールのビブラム・メガグリップはこれまで感じたことのないグリップ感を味わえるはずです。もとのシューズ自体が100マイルを走破するために設計されているシューズなので、気持ちよく快適に長時間履き続けられるでしょう。しかし、ハイキングシューズのような足首のサポートはないので、そこに過剰な期待は禁物ですが、これまでとは違い、よりスピーディーにより遠くへ足を運ばせてくれるでしょう!

 

inov8 ROCLITE G 345 GTX

ここが◎

  • 高いグリップ力
  • 自然なはき心地

ここが△

  • シューレースが細すぎて不安

inov8 ROCLITE G 345 GTX ミッドソールは他のシューズと比べるとやや薄め。より低重心で安定感は高め。

inov8は、比較的早い時期から軽量トレッキングシューズの開発に取り組んできました。そんなinov8もその軽量性を生かした、ファストパッキング用のシューズの開発にも力を入れています。このROCLITE G 345 GTXは、アウトソールにグラフェンを使用したGグリップ、透湿防水にはGORE-TEXを使用した軽量なファストハイク向けのトレッキングシューズです。

まず履いて歩いてみた感想は、まるで履いていないかのような、といえば少し大げさですが、とても自然なフィーリングを受けました。そのフィット感は、レースシューズのようにピチッと決めてくるのでもなく、指先に余裕があるのでもなく、自分の足に馴染んでいるような感覚です。これは「ADAPTERWEB」という人の解剖学的構造に合わせて考案された、inov8独自のシューレースシステムのおかげで、とても自然なはき心地を提供してくれます。そして人の解剖学的構造を考慮しているために、長時間行動して足がむくんでも、それに合わせて対応してくれ違和感はありません。そんな自然なフィーリングを与えてくれるのは、フィット感だけではなく、ミッドソール「POWERFLOW」のおかげでもありそうです。ミッドソールのクッションはフィット感と同様、Hoka one one のようにフワフワではなく、全くなくもないマイルドなクッション感。反発力もある程度あるので、軽快に歩き続けられます。その分、ランニングに関しては、ハイスピードで走り続けるのではなく、自分のフィーリングに合わせて小走りをしたくなるような小気味の良いシューズです。

アウトソールはinov8の専売特許 グラフェンを使ったグリップ力・耐久性のとても高い「G-GRIP」採用

グリップはさすがグラフェンを使用した「G-GRIP」です。ウェットなコンディションでもしっかりとグリップしてくれるので、下りも安心して気持ちよくスピードを上げられます。グリップに関しては、何も心配せず選んでも全く問題はありません。それほどG-GRIPの完成度は高いです。そしてミッドカットのおかげで安定感は非常に高く、厳しい下りが多いトレイルランレースなら、思わずこの靴を選びたくなるなるくらいです。

 

ALTRAローンピーク4.0ミッドRSM

ここが◎

  • 足首のプロテクション
  • シューズ内の自由度

ここが△

  • アッパーに柔軟性がない

アッパーは透湿防水素材であるeVentを採用。モデル名のRSMは、Rain/Snow/Mudの略で、悪環境での使用を想定した作りとなっています。

ALTRAでも人気の高いトレイルランシューズ、ローンピーク4.0をベースに、アッパーには防水・透湿素材eVentを採用し、ミッドカットで足首のプロテクションを高めたモデルが、ローンピーク4.0ミッドRSMです。RSMは、Rain/Snow/Mudの略で、悪環境での使用を考慮したモデルです。ローンピークをベースとはしていますが、通常のALTRAには採用されていないヒールカップや、アッパーの補強、シューレースの変更など、より強度を上げるための変更が加えられています。

ALTRA独特のつま先部分の「FOOT SHAPE」は、前足部にかなり余裕ができるので、足の指を自由に動かせてストレスがありません。前足部がフリーにも関わらず、フィッティングに関しては足の甲をシューレースで固定すれば滑ったりしません。これは長時間歩くのには非常に快適です。足首部分は今回比較したシューズではもっとも柔らかく、履くときは潰れてしまうほどです。しかしそれは悪いことではなく、登り下りでは動きが制限されず快適です。一番上の金具にシューレースを通さなければ、トレランシューズとしても十分使用できます。

グリップはしっかり体重をかければ良好。蹴り出しもよく引っかかってくれます。トレイルクローと名付けられているだけはあります。

アッパーに使用しているeVentは、透湿・防水性は高いので、雨風の強い時や寒い気候でも気にせず使用できるタフさを持っていますが、通常のメッシュなどのアッパーに比べ、伸縮性がほとんどありません。加えて表面を樹脂でかなり補強しているので、いつもの感覚で選ぶと小さいかもしれません。サイズを選ぶときはしっかり試し履きをしてください。

ALTRAのコンセプトであるゼロドロップはこのシューズにも生かされています。トレッキングシューズでは珍しいので、普段からゼロドロップシューズを履いている方は、それだけで飛びついてしまいますね!しかし、慣れていないと違和感を結構感じますが、慣れてしまえば、気持ちよく歩き続けられるシューズです。

 

The North Face シェイブドゥハイカーミッドGORE-TEX

THE NORTH FACE(ザ・ノースフェイス)SHAVED HIKER MID GORE-TEX シェイブドゥハイカーミッド メンズ NF51930 KGTNFブラ 26.5
THE NORTH FACE(ザノースフェイス)

ここが◎

  • 高い安定感

ここが△

  • 通気性がイマイチ

厚めのミッドソールでクッション性は良好。形状も台型状にし、着地時の安定感を高めています。アッパーにはファッション性の高いニット素材。

The North FaceのシェイブドゥハイカーミッドGORE-TEXは、The North Face Japanが独自に開発したアウトソール、クッション性の高いミッドソールを採用し、GORE-TEXによる防水性を備えたスピードハイキング用トレッキングシューズです。同型でミッドソール・ローカットモデルがあります。

やはり特徴的なのは、日本独自開発のアウトソール「EXTS™」。フォア・ヒール側には柔らかめのコンパウンドを混ぜたグリップ力の高いラバー、センターには耐久性の高いラバーを配置し、グリップ力・耐久性のバランスをうまく両立させています。フォア・ヒール側の粘性の高いソールのおかげで、着地時のグリップ、鋭い蹴り出しを実現させてくれます。ただ、センターのソールは耐久性を高めているため硬く、この部分で濡れた岩などをグリップしてしまうと結構簡単に滑るので、フォア側のグリップ力にかまけていると、思わぬ転倒を招くかもしれません…そこは注意が必要。

アウとソールは、グリップ重視・耐久性重視2種類のラバーを配置し、両バランスを両立させています。

ミッドソールは厚めなのでクッション性は心地よくなかなか良好。長時間の歩行でも、足の疲れを低減させてくれます。ミッドソールの形状は接地側が広く台形状なので、着地時のブレは少なく安定感を向上させてくれます。

フィット感は可もなく不可もなくといったところ。しかし比較した中では足首の安定感はもっともよく、安心して入られます。その分、走るのはやや苦手。歩行・走行ではなく、安定感が高いので、やや重量物を担いでのテンポ・スピードの早いトレッキングには最も適しているシューズです。

 

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