比較レビュー:”ある”と”ない”とで世界が違う。アウトドアで使えそうなサングラスをいろいろかけ比べてみた
前ページでは比較したアイテムそれぞれの評価・スペック、そしてそれに基づいたおすすめモデルを紹介しました。ここからはその評価について、どのような基準で評価したのか、なぜそのような評価になったのかについて解説していきます。
各項目詳細レビュー
視認性
レンズを選ぶときに重要になってくるのが紫外線透過率、可視光線透過率、雑光カット率(偏光度)です。
可視光線透過率
これは光そのものを通す割合のことを言います。もちろん透過率が低くなれば光をカットし、高くなると光を通すことになります。
可視光線透過率はレンズカラーによって変わってきます。透過率が大きくなるほどレンズカラーは薄くなります。透過率が低いとレンズカラーは濃くなり、強い日差しを抑えますが、必然的に視界は暗くなります。ちなみに今回の4モデルの可視光線透過率は全て10〜30%の範囲のものです。これは一般的には日中帯もしくは日差しの強い日の使用が適していると言われています。つまり登山には最適の範囲だと思われます。
紫外線透過率
紫外線透過率が1.0%以下になると、99%以上の紫外線はカットされているということになります。ちなみに紫外線透過率とレンズカラーに関係性はありません。恥ずかしながら、筆者はレンズカラーが濃ければ紫外線を防ぐことができると思っていました。今回の4モデルは99%以上の紫外線はカットされています。今時のサングラスはほぼ紫外線透過率が1%以下になっていると思いますが、選ぶ際には必ず確認すべき項目の1つです。
雑光カット率(偏光度)
水面のギラつきやアスファルトからの照り返しなどの反射(雑光)をカットする割合のことを言います。割合が高いほどクリーンな視界を得ることができます。レンズカラーを濃くするだけでは雑光をカットすることはできないため、レンズとレンズの間に特殊な偏光フィルターを挟み、雑光をカットする役割をもっています。今回試しに用意した安価なサングラスは偏光レンズではないため、やはり雑光はストレスに感じました。また、水面をみると光が反射し、明らかに偏光レンズとの効果の違いがわかります。
上記の3つの割合が良好な視界を作り出す鍵となっています。
登山中は天候が変動しやすいため、どんな天候でも良好な視界を確保できるサングラスが助かります。前述したようにKAENON HARD KOREの視認性は圧倒的です。眩しさを抑え、曇り空のパッとしない天候のときもコントラストを高め、物の境界線をはっきりさせ、クリアな視界を作り出してくれました。またオークリーのlatchでも裸眼時に比べてよりクリアな視界が実感できました。その体験はまさに驚きを通り越して感動ものです。
視野の広さ
視野はレンズの大きさとレンズカーブで決定づけられます。最も視野が広かったのがKAENON HARD KOREでした。大きめのレンズと程よいレンズカーブで視界のすべてをレンズ越しに見ることができるため、サングラスをかけていることを忘れさせてくれるほどでした。また、アンダーリムがあるモデルだとどうしても足元を見るときに視界が遮られてしまいます。言うまでもないですがOakley latchはレンズ形状がボストンタイプで、レンズカーブもないため眼が覆われている感覚はなく視野は狭くなります。
収納性
今回圧倒的に収納性に長けていたのがモンベルです。手の平サイズまで折り畳むことができ、驚くほどコンパクトになり、ポケットにも入るためかなりの高ポイントです。登山でサングラスを外すシーンになったとき、備え付けのハードケースに入れバックパックに収納されている方は少なくないのでは?筆者もそのようにしていましたが、これが結構面倒臭くストレスに感じてしまいます。かといってケースに入れずにバックパックに収納するのも傷がつきそうでちょっと気が引けるものです。そう考えるとケースに入れた後にポケットに収納できるサイズだと非常に動作が楽になります。
備え付けの頑丈なハードケースもあれば非常に助かります。
耐久性
やはりフレームが太いとガシガシと多少ガサツに扱っても安心感があります。フィールドでは重要な項目になってきますね。特にグローブを履いたたま扱うことが多々あると思うので、フレームは太い方が扱い易いと思います。KAENON HARD KOREとSWANS STRIX I-0151はフレームが太く、レンズも厚いため安心感がありました。一方で、mont-bell PLトレッキンググラスとOakley latchはフレームが細く、気を使って操作しなければなりませんでした。
ホールド力とフィット感
サングラスがしっかりと頭部にホールドされ顔にフィットしていないと、運動でズレてしまい、隙間から風や異物の侵入も許してしまうことになります。
今回扇風機を「強」にした状態で風の流入を検証してみました。完全に風の流入を防ぐことができるモデルはありませんでしたが、KAENON HARD KORE、SWANS STRIX I-0151(アンダーリム装着)、mont-bell PLトレッキンググラスはかなり奮闘してくれました。Oakley latchは風の強い日にはオススメできません。アンダーリムのあるモデルはフィット感を高め、下からの風の流入を防いでくれます。KAENON HARD KORE はアンダーリムが付いていませんが、大きめに作られているレンズがしっかりとフィットしてくれるため風の流入を防ぐことができていました。
また、ノーズ部分とテンプル部分に加工されている滑り止めが非常に重要でホールド力を高めます。特に、軽量化させているモデルはノーズとテンプル部分でしっかりと頭部にフィットさせないと激しい運動をした際にサングラスがズレてしまいます。この点で気に入ったのがmont-bell PLトレッキンググラスでした。23gと軽量かつノーズとテンプル部分がしっかりと頭部をホールドしてくれるためストレスと感じず、重たさを感じることもありませんでした。SWANS STRIX I-0151 もホールド力は非常に優れています。ノーズ部分のラバー素材でできた滑り止めは鼻の形状に合わせることができるためポイントが高かったです。
反対にOakey latchは25gと軽いですがノーズやテンプルに滑り止めがないため下を見る動作をしたときや、走るとサングラスが動いてしまいストレスを感じました。
重量
サングラスが重いと鼻と耳に負荷をかけてしまいストレスを感じてしまいます。軽量モデルだと負担は少なくなりますが、前述したようにしっかりとホールドされていないとズレる恐れがあります。mont-bell PLトレッキンググラス、SWANS STRIX I-0151(アンダーリムなし)、Oakey latchは長時間着用していても重さを感じることはありませんでした。KAENON HARD KOREは42gと4モデル中では重量級です。長時間使用していると、やはり鼻と耳に負担を感じてしまいました。やはり軽量のサングラスの方がポイントは高いです。
まとめ
今回のサングラスを使い倒してみて、登山で使うサングラスには単純にレンズさえよければよいというわけではなく、以下の要素がまんべんなく揃っていることが重要であることが分かりました。
- 軽量かつノーズとテンプルに滑り止め加工がされ頭部へしっかりホールドされていること
- 眼全体を覆い隙間のない大きめのレンズであること
- 紫外線透過率が1%以下であること
- 偏光レンズであること
- 可視光線透過率が30 %以下で晴れと曇り双方でコントラストが高められ良好な視界を保てるレンズであること
- ケースはハードケースであること
筆者はサングラスを選ぶ際に、見た目のかっこよさや好みのレンズカラーで決めることが多かったですが、これらの要素を考慮して選ぶと、より実践的で登山でも活躍してくれるサングラスに出会うことができると思います。ぜひ、皆さんも参考にしてみてください。
TAC
北海道在住。休日となれば、家でじっとしてはいられず、何かしらのアクティビティをしています。夏は登山、釣り、キャンプ、冬はスノーボード、ワカサギ釣りに没頭。このサイトのファンでもあり、ギアの魅力を伝えることが楽しみで参加させていただきました。登山だけではなく、様々なアクティビティの視点からレビューしていきたいと思っています。
レビュアー募集中
Outdoor Gearzineではアウトドアが大好きで、アウトドア道具についてレビューを書いてみたいというメンバーを常時募集しています。詳しくはこちらのREVIEWERSページから!