比較インプレ:ランニングスタイルから考える、冬ランにぴったりな防寒ランニングジャケット
前ページでは比較したモデルのランキングと、評価・スペックの一覧、そしてそれに基づくおすすめを紹介しました。ここからはその評価について、どのような基準で評価したのか、なぜそのような評価になったのかについて補足していきます。
各項目詳細レビュー
保温性
The North Faceの保温性は抜群です。低温で、そこそこの風であれば、走っている最中や、多少止まることが多くても寒さは感じません。むしろ僕には、ランニング用途としては暑くなりすぎるくらいでした。逆にOutdoor Resarch は、体幹全部にしか中綿がないので、もちろん保温性は高くありません。止まっていると背中から腕にかけてスースーするし、ベースレイヤーから汗が抜けていく感覚が体感できて一気に冷えが回ります。しかし、走り出せば寒くないという絶妙なバランスは見事です。
透湿性(快適性)
防寒着に保温性は当然重要な機能ですが、アクティブインサレーションに限っては、いかに寒さを感じずに快適な環境で走りに集中できるかも非常に重要です。そういった点では、Outdoor Resarchは暑くもなく寒くもなくという、保温性と透湿性の絶妙な環境を作り出してくれました。もちろん体幹前面部にしか中綿がないので、透湿性が他のモデルと比べ高いのは当たり前なのですが、最適な快適性のバランスを提供してくれます。その点Patagoniaも優秀で、1段階暖かい環境を提供してくれます。
機動性
機動性に関しては、すべてのモデルでストレスなく走れるレベルではあります。が、やはりOutdoor Resarchを着た時の自由度は頭一つ抜きんでています。他のモデルも、トレイルランニングでの動作ではストレスを感じることはありません。上にジャケットを着た時も、Outdoore Resarchは生地のボリュームが全体的に薄いおかげで、他のモデルよりも機動性は高く保たれます。一方Salomonはそれ自体の生地が厚めなので、上にシェルジャケットなどを着ると、ややゴワツキが動きを妨げます。
機能性
Salomon 以外のモデルは両腰にポケットが付いていますが、作りが弱いように感じるので、スマートホンなどの少し重量のあるものをいつも入れるというより、ハンドウォーマーの役目と思っておいた方が良いでしょう。Salomon には左胸にしっかりとしたポケットがあり、実際走る時にスマホを入れて走っていましたが、問題なさそうです。
唯一パッカブル仕様のThe North Faceは500mlペットボトル程度の大きさになるので、非常用の保温着としてバッグに入れる使い方もできます。
重量
実際のメーカー値ではThe North Faceが圧倒的に軽く、着て走った時の感覚もその通りといった印象です。メーカー値での次点はPatagonia、次いでOutdoor Resarch なのですが、実際の着た感覚ではOutdoor Resarch の方が軽く感じます。メーカー値各286g・321gでしたが、実測値では267g・275gとあまり差はなかったのと、インサレーション部分が少なく機動性が高いのがそう感じさせているのかもしれません。Patagaoniaも重くはないのですが、ボリュームがあるせいで体感では重量感を感じてしまうのかもしれません。
まとめ
今回は同じアクティブインサレーションでも、保温重視のものから透湿性のものまでを比較してみました。のんびり景色を見ながら、仲間と大勢でワイワイに走るスタイルや、ストイックに追い込むスタイルなど、人によって楽しみ方は様々。また季節によっても最適なチョイスは大幅に変わってきます。
私自身のベストチョイスは、一人で淡々と、かなり負荷をかけて走り続けることが多いため、かなり厳しい寒さでない限りはOutdoor Resarchが一番しっくりきました。走っていて「寒くもなく暑くもない」という感覚はなかなか新鮮でした。とはいえ流石にこれ一枚では不安なので、山に入るのならばレインジャケットは必携です。
逆にThe North Faceは激しく走るとかなり暖かくなるので、特に寒い季節や冬の緩いランニングにはおすすめです。ただそれでもファスナーを上下したりという細かい調整をすれば、これ一枚で幅広い季節に対応できると思いますので、その意味では頼もしい一枚です。荷物を少なくしたい、ストップ&ゴーが多いという方にはベストチョイスだと思います。
Patagaoniaはその中間的なバランスの良いモデルと位置づけられます。十分暖かい環境を作ってくれるので、使い方や目的が定まらない、という方はPatagoniaを選べばまず後悔はしないでしょう。非常に高バランスです。
最後にロードのランニングに使うアウターとしてなら、Salomon。街に溶け込むスタイリッシュさと激しい動きがなければ十分な機能性を発揮し、街ランでは最も自然に着こなせるかと思います。
体が冷えると怪我もしやすく、疲れもたまります。しっかり防寒対策をして、まだまだ続く冬のトレイルを思いっきり楽しみましょう!
横山貴史 (Yokoyama Takashi)
屋久島在住、この海あり山ありの素晴らしい環境で、素潜り、登山、サイクリング、ボルダリングからトレランまで自然をこよなく愛してやまない少年(心は!)です。現在はアメリカのトレラン文化に傾向中。アメリカのビックレース Western States Endurance Run・Hardrock100の完走を目標に、日々トレーニング中。「とりあえずやってみる。」 をモットーに様々な挑戦を続けます。無類のモグラ好き。
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