便利なスタッフサックの選び方と用途別おすすめモデル

旅慣れた人はみんな知っている、スタッフサックの上手な使い方

その人が熟練した旅人かどうかを知るのに最良の方法は、バックパックの美しさを見ること-。これはあくまでも持論ですが、あながち大きく間違ってはいないと思っています。

凹みや歪みがまったく見られないフォルム、上品な張りをたたえた表面、余計な外付けギアもなく、スッキリとした外観。かつてぼくがすれ違った、シンプルで美しいバックパック姿の彼らは例外なく旅慣れた、もしくは山慣れた健脚たちでした。

理由はさまざまあるかもしれませんが、ひとつ間違いないのは、彼らが安全で快適な旅にとってのパッキングの重要性を知っているということ。最小限のスペースに最大限の容量を詰めること、バックパック内にズレが生じるような空間を作らないこと、最適な重量配分にすることで少しでも歩きやすく疲れにくくなること、それらひとつひとつが単なる外見のためでなく、安全な旅のために大切な、そして一朝一夕には身につかない技術であり、旅の達人たちはさまざまなシチュエーションでのパッキング経験を通じてそれらを自然と身につけていったといえます。

そんな旅や登山にとって大切なパッキングに欠かせないギアが、今回紹介するスタッフサックです。手早く、美しいパッキングができる人たちは例外なくスタッフサックを効果的に使っています。そこで今回は、最近かなり機能的で便利になったこれらのギアを掘り下げ、さまざまな種類や細かい違いや使い方のコツ、おすすめモデルなどを紹介していきます。

目次

はじめに:パッキングの基本とコツとスタッフサック

チェックポイント1:防水か、そうでないか

チェックポイント2:素材・形状・サイズ

おすすめ1:編集部イチオシのスタッフサック

おすすめ2:特定の使い方に特化した便利なスタッフサック

はじめに:パッキングの基本とコツとスタッフサック

冒頭でも書いたとおり、よいパッキングとは決して見栄えのためにあるわけではなく、本質的には「安全で、手際よく、歩きやすく、疲れにくい」登山のために必要な技術のひとつです。では安全で、歩きやすく、疲れにくいパッキングには何が必要か。基本的なポイントを以下の4つにまとめます。

  • バックパックのなかに、必要以上にかさばらないように圧縮して収納する
  • その時々で必要なものがすぐに持ち出せるように荷物を仕分け、適所に配置する
  • 歩行を妨げないよう重量バランスを左右均等に、そして重心が身体の近く上方にくるように収納する
  • 濡れてはいけないもの、衝撃に弱いものなど、何らかの保護が必要なものにはそれに適した素材で保護する

こうしたことをより簡単に、そしてより便利にしてくれるのがスタッフサックというわけですが、基本的な機能は荷物を小分けするための道具なので、一般によくあるポリ袋で十分ではないかという方もいるかもしれません。正直言って、ポリ袋での代用は可能、20年前はぼくもそうでした。ただし、下記の比較表のとおり、いろいろな点を長い目で見るとやはりスタッフサックの利便性にはかないません

項目 ポリ袋 スタッフサック
イメージ

手つきゴミ袋 20~25L 半透明 20枚入 HI-24手つきゴミ袋 20~25L 半透明 20枚入 HI-24

GRANITE GEAR(グラナイトギア) エアバッグ#2 カラー:アソート SサイズGRANITE GEAR(グラナイトギア) エアバッグ#2 カラー:アソート Sサイズ

メリット
  • 価格が安い
  • 丈夫で長持ち
  • 開け閉めが簡単
  • パッキングしやすい形状
  • 色や容量のバリエーションが豊富で仕分けやすい
  • 枕にもなる
デメリット
  • すぐに破れる、穴が空く
  • 何が入っているか分かりにくい
  • 開け閉めが面倒
  • 使い捨てなのでゴミが出る
  • 価格が高い

安全で美しいパッキングのためのTips

  • より安全で、手際よく、歩きやすく、疲れにくい登山のためにはスタッフサックが有用。
  • パッキングの際、重心は肩から背中の身体に近づけることが理想。軽くてかさばるものは底の方に入れ、重いものは上方の身体近くに詰める。
  • できる限り重量を左右均等にしながら詰める。
  • 頻繁に使うものは出しやすい場所(天蓋のポケットやサイド・ヒップベルトポケットや肩掛けポーチなど)に入れる。

チェックポイント1:防水か、そうでないか

それでは早速スタッフサック選びのポイントを見ていきます。まず考えるべきは、濡れてはいけない荷物には完全防水機能のあるドライサックが役に立つということ。ドライサックの入口は、写真左のように入口をクルクルと巻き込んで最後にストラップでロックするというロールトップ型の形状をしています。もちろん、袋自体の生地も防水生地で、縫い目にはシームテープなど水没しても水が浸入しないようにできていますので、絶対に濡らしてはならないものはこの袋を使うのが鉄則です。

なお、このドライサックはバックパックと同じサイズくらいの大容量パックもあり、それをこれらの小分けと併用すると、それぞれの防水+荷物全体の防水効果により、より厳しい防水パッキングをする必要がある場合(例えば沢登りとか)にはとても効果的です。

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ドライサック(左)は完全防水だが部品の分だけ重く、かさばる。一方巾着型のスタッフサックは防水性は劣るもののシンプルで軽量な分使い勝手がよい。

安全で美しいパッキングのためのTips

  • 衣類やシュラフ、ダウンウェアなど、絶対に濡らしたくないものは防水スタッフサックで厳重にパッキング
  • ドライサックは相対的に重くてかさばり高価なので、通常のハイキングであればすべてのギアをドライサックに入れる必要は無く、適材適所で使うのがおすすめ。

チェックポイント2:素材・形状・サイズ

スタッフサックに使用される素材は、昔からあるナイロンの裏地に防水素材を貼り付けたものから、現在ではシルナイロンという、ナイロンにシリコンを染み込ませた薄くて軽量かつ強度もそれなりにある素材が登場し、主流になりつつあります。その分高価ですが、使い勝手は抜群です。

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左2つはナイロン製、右の3つがシルナイロン製。近年どんどん薄く軽くなって、中身が見えるという便利さも加わり使い勝手は抜群。

スタッフサックの形状は隠れた重要ポイント。これまで多くのスタッフサックは底が円形で、いわゆる円柱状が主流でしたが、バックパックの形状を考えると実はゆるい長方形の方が上手く収納しやすい場合も多く、そこに着目した形のモデルが近年多く見られるようになりました。

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スタッフサックの底の形状。左が真円、中がやや円い長方形、右はほぼ長方形に近い。パッキングのしやすさでは右の長方形がいい感じ。

スタッフサックには大小さまざまなサイズが用意されており、当然のことながら内容に応じてムダの無いサイズを選ぶことが大切です。ここで悩ましいのは、どこまで小分けにするかという問題。確かに小分けすればそれだけパッキングの柔軟性は上がりますが、あまりに小分けしすぎると袋の重量もバカにならず、またかえってどこに何を入れたか分からなくなるので小分け過ぎには注意が必要です。一方で節約のためあまりに大きな袋にまとめて収納するのもスペースに無駄ができ、あまり筋が良いとは言えません。経験上の目安としては、最も使いやすい大きさは4L~10L程度の幅でいくつかもっているのが便利かなと思います。何事も自分なりのバランスを見つけることが重要です。

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左から2L、4L、8L、10Lのスタッフサック。大きすぎるのは重くてかさばるので、大は小を兼ねないと思っていた方が良い。

安全で美しいパッキングのためのTips

  • 特別な耐久性を必要としないなら、軽くて薄くて中身が見える、シルナイロン素材がおすすめ
  • パッキングがしやすい、ゆるい長方形のスタッフサックがおすすめ
  • スタッフサックの小分け過ぎ、大きくまとめすぎに注意。テント泊でもメインの収納には4L~10L程度を3~5個程度でまとめるのがよい

おすすめ1:編集部イチオシのスタッフサック

【巾着型スタッフサック】EXPED Cord Drybag UL

15D の極薄ナイロンの最軽量クラスであるばかりでなく、裏地の PU コーティングと縫い目のシームテープによって収納口以外の部分では完全防水のスグレモノ。開け閉めしやすい独自仕様のドローコードもニクい。サイズバリエーションはいくつかありますが、形状にもバリエーションがあればさらに良いのですが。

【ドライサック】SEA TO SUMMIT ウルトラSIL ナノ ドライサック / OSPREY ULドライサック

SEA TO SUMMIT ウルトラSIL ナノ ドライサックは 15D の極薄・超軽量、滑らかで中身が透けて見えるので収納も便利で使い勝手が群を抜いています。一方?OSPREY ULドライサックは、他にはない長方形の形状でパッキングとの相性抜群なうえに、衣類を詰めればテントの中で枕的な使い方も可能です。

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おすすめ2:特定の使い方に特化した便利なスタッフサック

ここからは番外編として、ベーシックなスタッフサックとは一線を画した、特定の用途に特化した便利なスタッフサックを紹介していきます。

中身が見えるスタッフサック

見ての通り、一部がビニール状で中身が確認しやすくなっています。食材やキッチンセットなど、雑多なものを入れておくときに便利かも。

コンプレッションサック

衣類やシュラフなどは厚みや膨らみがあるので、荷物がどうしてもかさばってしまうことがよくあります。コンプレッションサックはそうしたかさばる荷物をドローコードで締めつけることによって圧縮し、サイズを小さくできるスタッフサックです(写真)。こうしたスタッフサックには単なる圧縮機能だけでなく、入口がロールトップ型になった完全防水圧縮タイプもあり、特にダウンシュラフなどの濡れたくない、そして大変かさばるアイテムには重宝します。

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ちなみに、あまり圧縮しすぎてガチガチに硬くすると、かえって柔軟性を欠き、スペースに収まりにくくなるので、圧縮は適度な弾力を持たせる程度にするのが賢いパッキングのコツです。

EVAフォーム入りスタッフサック

こちらはカメラなどの精密機械を保護するためのクッションの役割を果たすEVA クローズドセルフォームのインナーがセットになった防水スタッフサック。下の写真(EXPED?CRUSH DRYBAG XS/3D)はミラーレス一眼カメラがちょうど入る程度の大きさですが、これ以上の大きさが探しても見当たらないのが残念。

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ペアー型スタッフサック

これはユニーク。真ん中で区切られた左右両方向に口が付いており、はじめは片方の袋に衣類を入れて、着終わったら片方の袋に放り込んでいくような便利な使い分けができるというアイデアバッグです。もちろん普通に両方にものを入れて使うこともできます。

防水透湿底のスタッフサック

スタッフサックの底部が eVent などの防水透湿素材でできているため、水は通さない代わりに空気を通してくれます。通常の防水バッグは密閉度が高いため、閉める際に上手く空気を抜かないと、パッキングの際に残った内部の空気が邪魔になるという欠点がありました。しかしこの”空気が抜ける”防水スタッフサックによって、防水機能を保ちながら、そうしたパッキングし難さが解消されました。唯一の欠点は、高機能なだけに価格も相当なこと。

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救急用ドライバッグ

いざというときに裁縫セットが錆びていたり、薬類がグシャグシャに濡れて使い物にならないなんてことがないように、エマージェンシーキットの防水は意外と重要。ただその割には防水機能付きのエマージェンシー袋はなかなかないのが現実だったりするので、これは重宝します。細かいポケットなどが付いていて中で整理もしやすく、このカテゴリでは写真のドイターファーストエイドキットドライが一番のお気に入りです。

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枕になるスタッフサック

最後は今回一番の変わり種サック。テント泊などでわざわざ専用の枕をもっていく人ははっきりいって少数派でしょう。ぼくも最近までは長方形のスタッフサックを枕代わりにしているのですが、どうしても滑りやすくて寝心地はそこそこ。やはり枕はあった方が間違いなく快適です。どうにかして荷物を増やさずに快適な枕を持って行けないか・・・という悩みを見事に解決してくれるのが、スタッフサックの片側面が肌触りの良いフリース地になっているその名も「ドリームサックピロー」。若干の出オチ感も漂いますが、あったらあったで以外と愛着が湧いてしまうのもこの手のアイテムの良いところですよね。

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