当サイトのレビュー記事はアフィリエイトリンクを通して製品を購入いただくことで少額の収益を得ています。

世界の2大アウトドア展示会から、少し未来のアウトドア道具をのぞき見してみる【ISPO & Outdoor Retailer 2021冬】

欧州・北米両大陸の2大アウトドア用品展示会「ISPO」と「Outdoor Retailer」。

このサイトでは開始当初からほぼ毎年現地に足を運び、また足を運べなくてもネット等を駆使して展示会情報をチェックしてきました。そこでは有名ブランドの話題作から斬新なアイデアのニューフェイスまで、日本での取り扱いがないアイテムまで含め世界のアウトドアシーンのリアルが感じられるのはもちろんですが、メーカーの中の人から直接話を聞くことで製品に込められた熱量に直に触れるといった刺激的な体験も提供してくれます。そんなアウトドア展示会は、世界中のアウトドア関係者にとって重要なイベントであったことは間違いありません。

しかし今年は残念ながらどちらのイベントもオンライン開催となってしまい、実際に現地に行くことはできませんでした。またWEB展示をチェックしてみたものの、参加ブランドの数も大幅に少なくなっているようです。すっかり意気消沈と言いたかったところですが、オンラインとはいえ今年も斬新なアイデアや優れた技術力がキラリと光る魅力的な新製品に数多く出会うことができ、逆風をもろともせず進み続ける世界のアウトドア産業の熱量と底力をあらためて実感。

そこで今回は、2つのオンライン展示会を覗き見してビビッときた新製品(あくまでも欧州・北米市場向けなので、日本での取り扱いは不明)をピックアップしてみましたので、簡単な解説とともに紹介していきます。

ISPO & Outdoor Retailer 2021冬 注目アイテム

Ortovox Diract Voice

今年のISPO Product of the yearを受賞したのは、スイスに拠点を置くスノースポーツを中心とした総合アウトドアメーカーOrtovoxの最新ビーコン。何よりも新しいのは捜索モードで「音声ガイダンス」によるサポート機能で、1秒を争うスピードが要求される雪崩事故現場でより迅速で間違いのない動作を可能にしてくれます。コンパクトさと洗練された使いやすいスイッチ類もいい。
画像:ISPO.COM

Advenate MyONE

出るべくして出た、ありそうでなかったドイツのアウトドアブランドAdvenateによるセミオーダー式アウタージャケット。色柄だけでなくポケットの有無や丈の長さ、スリムorルーズフィットなどを自由に選択可能。生地は防水・防風・透湿性に優れた厚手のSchoellerを採用し、なおかつ欧州産のエコ素材を使用してBluesign認証。
画像:advenate.com

CEBE VERSATILE HELMET

フランスのスノースポーツギアブランド、CEBEの最新ヘルメットは、常に最適なエアフローを実現できるように、前面が持ち上がるウルトラベントシステムを採用。ハイクアップの際でも頭部の快適な風通りが実現できれば、いちいちザックに付け外ししなくてすむので大いに助かります。しかもスキーと登山の両方で安全性が認定されています(EN1077&EN12492)。これはちょっと期待!
画像:ISPO.COM

earlybird skis CHICKADEE

とにかく今年も引き続き多い、エコ&サステナブルを意識した新製品。こちらの一見何の変哲もない、クラシックなキャンバーとチップ&テールロッカーの組み合わせ、センター幅90 mmのツーリングスキーですが、実は持続可能な原材料を使用した100%カーボンニュートラルで製造されてるといいます。環境にやさしいバイオベースまたはリサイクルの原材料と、有害なフッ素を含まないスキーワックスによって構成されている、世界初の循環経済型スキーといえます。
画像:earlybirdskis.com

Elan Voyager

ズバリ見たまんま「折りたたみ式のオールマウンテンスキー」です。これまでも何度か小さなメーカーがこういった折りたたみスキーを作っているのを見たことはありますが、70年以上にわたるスキーづくりの伝統を誇る名門スキーブランドが手掛けたというところが新しい一歩。これがあれば車に専用のキャリアなどを必要とせず、気兼ねなく放り込めるのはもちろん、構造もスマートでセッティングも簡単、スキーとしての性能も信頼できるとあって、これからもっとバックカントリー領域にもバリエーションが増えていってくれることを期待せずにいられません。
画像:elanskis.com

Out Of Electra

イタリアで創業された新興ゴーグルメーカーであるOut Ofは細部に渡って先端技術と高品質にこだわったゴーグル作りを掲げる非常に興味深いブランド。ISPO GOLDを受賞したこのモデル「Electra」は、周囲の明るさに合わせてレンズの明暗を電子制御でコントロールできる、史上初のバッテリーレスエレクトロニックゴーグル。技術の奇抜さだけでなく、100%UV保護、防曇処理、多層ミラーコーティングなどプレミアムな性能を当然のように備えたツァイスブランドの高品質レンズなど、実用面でも信頼できそうでうす。
画像:out-of.com

Mammut Climbax

毎回多くの野心的な新作をこの展示会でお披露目してくれるマムートですが、今回特に目を引いたのは両腕に装着して使うリストバンド型のクライミングトラッカー。スマホアプリと組み合わせることで、クライミングに関するデータを記録および解析できるといいます。Mammut Climbaxリストバンドは、仰角、手の使用、登攀時間、休憩時間などを記録します。その他の詳細についてはまだ謎に包まれていますが、本来であればオリンピックデビューであったはずの今年、スポーツクライミングを始め世界中でクライミング人工が爆発的に増えると予想されるなか、こうしたアクティビティとしてより深く楽しむためのギアが登場するのは必然と言えるでしょう。
画像:www.mountainblog.eu

Haglofs Nordic Expedition Down Jacket

北欧はスウェーデンを拠点とするアウトドアブランド、ホグロフスがリリースするダウンジャケットのフラッグシップモデル「Nordic Expedition Down Jacket」は、いくつかの点で世界で類を見ない技術を採用し、今年のProduct of the yearを受賞。極寒のコンディションでも最大限の機能性と快適さを実現するために作られたこのアウターには、新しい断熱材として期待されるプラチナグラフェン断熱材とグースダウンを組み合わせたという革新的なインサレーションが採用されています。完全防水でコールドスポットを排除した構造や、優れた調湿機能、ビレイ用のセーフティストラップなど、過酷な北極圏の山岳地帯での行動を安全・快適にしてくれる機能性の高さがギア好きの心をくすぐります。
画像:ISPO.COM

Salewa Ortles Couloir Boot

日本ではなぜかイマイチ知名度が上がらないけど技術的・クオリティ的に尖った良作が多いSALEWAが今年ISPO GOLDを受賞した新作は、たった725グラムの重さのハイテク登山・アイスクライミング用マウンテンブーツ。イタリア・アルプスの高山オルトレス山から取られたであろう名前が示すように、東アルプスのタフでテクニカルな地形を想定して作られたといいます。ヒンジジョイント付きの軽量で丈夫なカーボンフレームは、剛性と柔軟性の両方を提供するように設計され、歩行時・登攀時の双方での安定性に優れています。防水メンブレンと暖かいインナーブーツ・アウターゲイターを備え、冬山での使用はもちろん問題なし。これは正直、期待大です。

Samaya ASSAUT2 ULTRA

一昨年のISPOではじめて出会ってからというもの、常に新製品を注目していたフランスの新しいアルパインテントメーカー。カーボンポールと2層のダイニーマ®ファブリックによるシングルウォールのシンプルなドーム型テントは重量わずか980グラム。それでいて耐水圧20,000 mm、透湿性40,000 g/m2/24hというハイスペックに対応し、過酷な高山でこれ以上ない快適性を提供してくれるようです。個人的にはカーボンポールの耐久性だけが気になるところですが、まだまだ「これ!」というシングルウォールテントに出会ったことがない自分にとっては目が離せない存在です。
画像:samaya-equipment.com

Odlo i-Thermic Baselayer

冬シーズン向けのアパレルシーンにおいて近年着実に進歩を遂げつつある「電熱」グッズ。個人的にも今シーズンはじめて色々なギアを試してみて、その自然な使い心地と実用性の高さには驚かされました。北欧ブランドOdloのi-Thermicシリーズはウェアラブルサーマルテクノロジーclim8®と共同で、早くからバッテリー式発熱ウェアの開発の先頭を走ってきました。今シーズン新たにお披露目されたのは軽量発熱ベースレイヤー。肌に快適にフィットし、肌面と外側の温度を測定しながら、腹部などに配置された発熱体が快適な温度を保つように暖かさを提供します。実際に試してみないと分かりませんが、ベースレイヤーとしての着心地・汗処理能力さえクリアできていれば、厳冬期のアクティビティでは非常に頼もしい存在となってくれるでしょう。
画像:www.odlo.com

Julbo EVAD-1

100年以上の伝統を誇るフランスの老舗アイウェアブランド、Julboは長年培ってきた技術と経験をベースとしながら、新しい技術にも貪欲にチャレンジを続け、世界中のアウトドア愛好家から信頼を集めています。そんな伝統と革新が詰まった新作「EVAD-1」は、日本人だけでなく世界中の人々が眼鏡の未来として思い浮かべるであろう、スカウター的な統合ヘッドアップディスプレイを備えたコネクテッドスポーツグラスです。重量わずか35グラムで通気性の高い調光レンズのスポーツグラスは最大12時間にわたってアスリートの視野内の脈拍や速度、距離などのパフォーマンスデータを表示します。もちろん計測データはBluetooth接続でスマホのアプリに記録することができます。未来きたで。
画像:julbo.com

Greyp Bikes

静かに、そして着実に進化を続けるもう一つのジャンルが「E-バイク」市場。日本は確かに電動ママチャリを早くから普及させていたかもしれませんが、こと趣味系のジャンルに関しては世界がどんどん先に進んでいるようです。クロアチア発の新鋭E-バイクメーカーGreypの新作「G6.2 E-MTB」は一言でいうと「世界初の完全コネクテッドE-マウンテンバイク」。その洗練されたルックスもさることながら、4G SIMカードが内蔵され、常にインターネットに接続。フロントとリアにはビデオカメラが搭載、GPS・加速度計・気圧計を内蔵し、Bluetooth接続も可能と、まさにマウンテンバイクの外見をしたスマートフォンです。盗難防止のための遠隔カメラ操作・閲覧が可能といった小技も効いてる。極めつけはバッテリーで、一般的な状況では1回の充電で100キロ前後も走行可能らしい。色々とスゴイ。Outdoor Retailer Innovation Awards受賞。
画像:greyp.com

IGNIK HEATED SLEEPING BAG LINER

いままで個人的には正直言って要らない子だった、シュラフのライナー(インナーシーツ)。でもこの電熱ライナーなら使いたいかも。よりサステナブルな暖房・断熱製品を目指して元アウトドアブランドの幹部であったファウンダーによって立ち上げられたIGNIKは、この新しい電子発熱式スリーピング・バッグ・ライナーによってスリーピングバッグのゲームチェンジャーにならんとしてます。ファブリックに組み込まれた高導電性の炭素繊維による発熱体は業界初、特許出願中のRadiant Carbon Strand (RCS)テクノロジー(高耐久・防水・洗濯機洗浄可能)。電源はモバイルバッテリーが使えるというのも嬉しい。生地のポリエステルはBluesign認証の100%リサイクル生地で、当然環境にも最大限の配慮が払われています。
画像:ignik.com

まとめ:次回はアウトドア・ライフスタイル編

以上、公開できる範囲から、さらに厳選してお届けしました。次回はお待ちかね、マウンテン・キャンプ・ライフスタイル系のアウトドアギアを紹介します!