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BlackDiamond パーシュート トレッキングポール レビュー:天然コルクとしなやかストラップの握り心地が一度使うと手放せない、オールシーズン対応のトレッキングポール

登山やハイキングにおいて歩行の補助をしてくれる「トレッキングポール」。

歩行時に脚・膝にかかる負担を軽減してくれたり、下りでは安定感を高めてくれます。

このアイテムは山の装備の中でもやや地味な部類に入るかもしれませんが、実はあると無いとで行動時の疲れにくさにも大きく影響する侮れない存在。また一見シンプルな作りですが意外と奥の深い道具で、操作性やグリップの形状、素材によって使い心地は大きく変わってきます。ちなみに昨今ではトレッキングポールをテントの支柱として活用できるタイプの軽量テントも増え、今やトレッキングポールの役割は「杖」だけにとどまりません。

そんなトレッキングポールのなかから、今回紹介するのはクライミング、バックカントリーからトレッキング用のギアまで幅広く手掛ける「ブラックダイヤモンド」の最新モデル「パーシュート」シリーズです。この中からベーシックな伸縮式モデルと、折り畳み式のFLZモデルを実際に山で試用してみて感じたインプレッションをレビューしていきます。

結論から言うと、操作性の高さやグリップの握りやすさなど、私がこれまで使用してきたトレッキングポールの中でも群を抜いた使いやすさに驚かされました。

BlackDiamond パーシュートの主な特徴

エルゴノミック(人間工学)に基づいた握りやすいナチュラルコルクグリップが使用され、握りやすく、操作性の高い新開発のフリックロックプラスが採用されたプレミアムなトレッキングポール。素材には航空機グレードのアルミ合金のシャフトが使われ、トレッキングバスケットに加え、スノーバスケットが付属した4シーズン使用可能なトレッキングポールです。素材などの仕様はそのままに、「伸縮式(衝撃吸収機構あり・なし)」と「折りたたみ式」がラインナップされています。

この記事では伸縮式の紹介をベースに、後半では折りたたみ式モデルをメリットや伸縮式との使用の違いになどに触れながら紹介します。

おすすめポイント

  • 快適な握り心地のナチュラルコルクグリップ
  • 軽い操作で調整が容易なフリックロックプラス
  • フィッティングが容易なストラップ
  • これ一つで4シーズン対応できる
  • 2サイズ展開で身長や用途にあわせて選べるサイズ

気になったポイント

  • カーボンポールなどと比べると軽くはない
  • FLZのバスケットは折り畳みしやすい反面、岩角や草に引っかかりやすい

主なスペックと評価

名前BlackDiamond パーシュートBlackDiamond パーシュートFLZ
ペア重量(g)
  • S/M=474g(実測値)
  • M/L=508g(実測値)
  • S/M=500g(実測値)
  • M/L=532g(実測値)
連結方法伸縮式折り畳み式
ロックフリックロックプラスフリックロックプラス
サイズ(cm)
  • S/M=100~125cm
  • M/L=100~140cm
  • S/M=110~125cm
  • M/L=125~140cm
収納サイズ(cm)
  • S/M=57.8cm
  • M/L=63cm
  • S/M=36.8cm
  • M/L=42.6cm
シャフト素材航空機グレードのアルミ合金航空機グレードのアルミ合金
グリップ素材
  • コルク
  • Bloom(エクステンショングリップ)
  • コルク
  • Bloom(エクステンショングリップ)
衝撃吸収機構× ※ショック機構内蔵モデルあり×
スノーバスケット付属付属
エクステンショングリップありあり
ティッププロテクター付属付属
Outdoor Gearzine評価
快適性★★★★★★★★★★
重量★★★☆☆★★★☆☆
固定・調整★★★★★★★★★★
収納性★★★☆☆★★★★☆
耐久性★★★★☆★★★★☆
汎用性★★★★★★★★★☆

詳細レビュー

実際に使ってみて感じたことをレビューします。低山から2000m程度の雪のないトレイルで、日帰りハイキングを中心に1泊のテント泊などで使用してみました。

快適な握り心地のナチュラルコルクグリップ

汗をかいても滑りにくいコルク材で抜群の握りやすさ

使ってみてまず感じたのは握りやすさとコルクという素材の良さについて。

ナチュラルコルクグリップはエルゴノミックデザイン(人間工学)に基づいて設計されているので快適な握り心地で、長時間握っていても疲労を感じませんでした。

それと、グリップに使われている素材のコルクについてですが、汗をかくようなシーンでも滑ることもなくグリップしてくれます。天然素材であるコルクは強い衝撃で削れてしまうこともあるのでフォーム素材のグリップに比べ耐久性は劣りますが、一度使ってみると質感の良さと握りやすさに虜になってしまいました。

握りやすいグリップだからこそ、余計な力を入れなくともしっかりと地面を捉えることができ、歩行のサポートや安定感の向上に繋がっていると感じます。

コルクのグリップの下にはフォーム素材のグリップエクステンションがついていて、フィールドの状況に応じて短く持ちたい時に活躍してくれます。トレッキングポール自体の長さを変えるほどでもないけど、高低差のある段差など、瞬間的に短く持ちたい時に便利でした。

フォーム素材Bloomを使用したエクステンショングリップ

軽い操作で調整が容易なフリックロックプラス

力を必要としないロック機構のフリックロックプラス

もともと筆者が使用していたトレッキングポールはかれこれ10年ほど前のモデル……長さ調整の時には指の力が必要で、それだけでななく、注意を怠ると手の皮まで一緒に挟んでしまい、痛い思いをすることもしばしば(経験ありませんか?)。

その点、パーシュートのフリックロックプラスはそういったストレスがまったくありません。指の力を使わずとも軽く弾くような感じで簡単にロックが解除され、固定の時も「パチ」っと簡単に固定することができます。

優しく指で押せば簡単にロック可能

このフリックロックプラスのおかげで操作性が抜群に良くなっていて、登りや下りでの細かい長さ調整も面倒に感じなくなりました(それでも面倒な時はグリップエクステンションがあるから扱いやすかったです)。

フリックロックプラスの調整用レンチはシャフトの中に内蔵されているので、紛失する恐れがなく、また調整したいときにすぐ使える。細かいけどありがたい仕様。

しなやかで肌当たりがよく、フィッティングも容易なストラップ

しなやかな質感でで蒸れにくい素材が使用されたストラップ

トレッキングポールをしっかりと手にホールドさせ、不意に落下など紛失を防ぐためのストラップ。

大体のトレッキングポールに付属している機能ですが、メーカーによってその構造は変わり、トレッキングポール選びの要素の一つにもなります。

クライミングのハーネスから着想を得たストラップは非常にしなやかで肌当たりもよく、適度なパッド感があって肌に食い込んだりもせず、手にしっかりとフィットしてくれます。

「R」と表記されているベルトを引っ張ると簡単にフィットさせることができる

このストラップは長さ調整が簡単にできるところも魅力で、調整ベルトを引っ張るだけなのですが、力を必要とせず、スルスルと簡単に調整できます。

「それではすぐに緩んでしまうのではないか」

筆者も初めて使った時はそう思ったのですが、それが不思議と使用時には緩みません。

使用中はしっかりとフィットしてくれるストラップ

使用中は緩むことのないストラップですが、ストラップ本体を引っ張ると簡単に緩めることができるのでホールド感の調整は容易。

ストラップには左右を示す「L」「R」の表示がありますが、グリップの形状は握ってみたところ、差は感じませんでしたのでどちらで使っても同じです。

ちなみに、フリックロックプラスの調整用のレンチが右シャフトに内蔵されているので、「L・R」の表記があることでレンチを使いたい時にはどちらのシャフトにレンチがついているかすぐに分かるようになっています。

これ一つで4シーズン対応できる

スクリュー式で取り付けが容易なバズケット

パーシュートにはスノーバスケットが付属していて、スクリュー式で取り付けが簡単にできます。

冬季の雪山登山での使用も考えている人にはパーシュート1本でオールシーズンカバーすることができ、用途に応じて複数のトレッキングポールを所有する必要がなくなるのでトータルで考えると経済的です。

ブラックダイヤモンドはアフターパーツが豊富なのも魅力。ポール先端のテックティップカーバイトは摩耗しても交換が可能だったり、必要に応じてラバータイプに変更することもできます。

2サイズ展開で身長や用途にあわせて選べるサイズ

ワンポールテントのポールとして使用

トレッキングポールの用途は歩行をサポートする「杖」だけにとどまりません。

昨今ではより軽量な道具を使い、UL(ウルトラライト)パッキングでハイキングや登山を楽しむ人が増えてきました。

山岳テントはまだまだドームテントが主流ではありますが、一つのポールで立ち上げるワンポールテントを選んで使っている人も多くなっています(筆者もその一人)

ワンポールテントはフレームとして使うポールが一本な分、ドームテントと比較して軽量なのが魅力のテントですが、支柱として使うポールをトレッキングポールで代用することで装備点数を減らすことができ、より軽量化できます。

パーシュートの採用している素材であるアルミはカーボンに比べ重く、衝撃吸収性は劣りますが、回復不能なほどには折れにくいというメリットがあります。特にパーシュートのアルミ合金は航空機グレードの優れた耐久性を備えた素材であり、テントのポールとしても安心して使うことができました。筆者にとっては「軽さ」だけでなく「信頼性の高い耐久性」は両立させたいポイントです。

トレッキングポールは基本的に身長に合わせて選びますが、パーシュートはサイズが「S/M」「M/L」の2展開。S/Mが100〜125cm、M/Lが100〜140cmで調整可能でなので、身長に加え、テントのポールとして使う人も持っているテントのサイズに合わせてサイズを選択することができます(M/LはS/Mよりも34g重たくなります)

「コンパクトさ」を重視するなら折りたたみバージョンのFLZ

右がパーシュートの折りたたみタイプFLZ

伸縮式のタイプは簡単に伸縮できるのが魅力ですが、収納サイスが57.8cmで、バックパックのサイドポケットに収納した時に飛び出てしまいます(M/Lは63cm)。トレイルランニングなどの身軽なアクティビティにとっても伸縮式ポールの長さは相性が悪すぎます。

バックパックから飛び出た状態だと、木々に覆われた登山道を低い姿勢で通過する時などに引っかかりやすく注意が必要です。森の中など周囲に危険のない場所ならさほど気にする必要もないかもしれませんが、両サイドが切り立った崖になっている場所では注意が必要です。

安全面の観点から、トレッキングポールをよりコンパクトに収納したい人には折りたたみタイプのパーシュートFLZがおすすめ。

上が伸縮式、下が折りたたみ式

実際にバックパックのサイドポケットに入れてみると折りたたみタイプのコンパクトさは一目瞭然

ゆっくりと慎重に歩く登山なら気にならないかもしれませんが、スピードハイクやトレイルランニングとなるとそうもいきません。起こりうるリスクを考え、できる限りのリスクを排除する必要があります。スピードハイクやトレイルランニングでの使用も視野に入れている人は収納サイスが小さくなる折りたたみタイプをチョイスするのがベター。

折りたたみタイプのパーシュートFLZは3つに折りたたみでき、さらに上部には伸縮機能と長さ調整機能が備わっているハイブリットなトレッキングポールで、使用感は伸縮式と差を感じませんでした。ただし、伸縮式と折りたたみ式では「重量」と「調整可能域」「収納サイズ」の仕様が若干が異なります。

名前パーシュート(伸縮式)パーシュートFLZ(折りたたみ式)
ペア重量(g)
  • S/M:474
  • M/L:508
  • S/M:500
  • M/L:532
調整可能域(cm)
  • S/M:100-125
  • M/L:100-140
  • S/M:110-125
  • M/L:125-140
収納サイズ(cm)
  • S/M:57.8
  • M/L:63
  • S/M:36.8
  • M/L:42.6

まとめ:軽快なアクティビティに必要な全ての要素がバランスよく備わった、王道かつスマートな一本

「軽さ」を優先させるのであれば選択肢は他にもあるかもしれませんが、「重量」と「耐久性」のバランスを考えるのであればパーシュートは初心者から上級者まで使う人を選ばずに誰でも使うことのできるトレッキングポールであると感じました。

それだけでなく、フィット感の高いストラップや、握りやすい形状のグリップは登山、ハイキング、トレイルランニングなど幅広い山岳アクティビティにおいて一本でオールシーズンカバーし、万能に使うことができます。

そして最後に価格について。海外ブランド製品でありながら驚くほど低価格。とはいってもここまでのお手頃価格は8月までで、輸入代理店であるロストアローの異次元の割引キャンペーンが終わってしまうとこの低価格も終わってしまうかもしれませんので気をつけましょう。

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