Review:icebreaker メリノウール ベースレイヤー ゾーンシリーズ 最新メリノウールは「暖かい!」だけじゃないんです。

1995年の創業当時、ウールだという理由で見向きもされなかった時代はどこへやら。

高品質な極細繊維のおかげでチクチクしない、縮まないので家庭用洗濯機で洗濯できメンテナンスが容易、吸湿性も高く保温力も高いなど、それまでのウールの概念を覆すicebreakerのメリノウールは徐々に市民権を得、現在では登山家からハイカー、ランナー、クライマーなど幅広いアスリートに選ばれるまでに至りました。今では容易なメンテナンス性と高い防臭効果のおかげで、ビジネスマンから旅行者の日常着にまで広がりを見せています。

近年ではその快適性だけでなく、洗濯が少なくてすんだり(水の節約)、暑さ寒さに強い、難燃性(燃えたとしても炭化して皮膚に付着しにくい)といった特性が災害時などでも有用だと見直されてきているとか。

今回はそんなicebreakerのメリノウールベースレイヤーのなかでも、新しいラインナップであるゾーンシリーズの秋冬モデルを実際に使用してみました。

近年ではさまざまなアクティビティ向けに豊富なバリエーションのベースレイヤーが登場しています。すでにメリノウールを愛用している人からまだ着たことのない人まで、この最新モデルがこれまでと違ってどんな魅力を備えているのか、さっそくみていきます。

目次

メリノウールの特性をおさらいしてみる

icebreakerのメリノウールは、ニュージーランドの標高1800mで育て上げられた羊の原毛を使用しています。夏は35℃、冬は−20℃にもなる寒暖差の大きい過酷な気候で育った羊の毛には、以下に挙げるような天然のプロテクションが備わっています。これらの機能が冬季をはじめ夏の暑さに至るまで、さまざまな厳しい環境でのアクティビティで快適に過ごさせてくれるのです。

吸湿性と調湿性

メリノウールは化繊とは異なり、繊維自体に吸湿性があるため、汗をかかなくても常に人から発する水蒸気を吸湿し蒸散させ続けてくれています。運動をして汗をかき出すと、それに加え毛管現象より積極的に吸い上げてくれるので、肌面はいつもドライな状態が続きます。

繊維自体に高い吸湿性を持つメリノは、汗をかく前の段階から体が発する水蒸気を吸収して大気中に発散させます。また、運動してかいた汗は毛管現象で吸い上げて気化させるので、肌はいつもドライで快適に保たれます。しかも湿気をいったんため込むウールは化繊のように肌をカラカラになるまで乾かしてしまうことはなく、天然素材らしい、程よいドライ感を実現してくれます。

温度調節

冬季の寒い時には、汗を吸水するときの吸着熱と体温を、メリノウールの極細繊維が作り出すエアポケットにため込むため、衣服内温度を適切に保ってくれます。逆に夏の暑い時には、適度な通気性と緩やかな吸湿・蒸散で帰化冷却を促してくれます。

抗菌防臭

嫌な匂いの原因は、汗に含まれる脂肪と塩分が繊維に付着してしまうこと。これにより雑菌が繁殖し嫌な匂いを発生させています。メリノウールには、この原因の雑菌が付着しにくいので、結果匂いが発生しずらく、洗濯せずとも何日も不快なく気続けられます。

他にも、UVカット、毛玉になりにくい、そして家庭用洗濯機が使えるなど、通常のウール製品では考えられないような機能が備わっています。そんな上質なメリノウールを使ったicebreakerの製品は化繊とは違い、石油を使わず自然から作りあげられているためリサイクル可能で、現代社会が目指すべきサステナビリティ(持続可能社会)の精神も企業理念の一つとなっています。

icebreakerのベースレイヤーについて

icebreakerは今でこそ多様なウェアやアクセサリーを数多く展開していますが、特に創業からブランドの代名詞ともいえるベースレイヤーのラインナップは非常に充実。季節や用途・目的に合わせて適切なモデルを選べるようになっていますおり、2019シーズンではメリノウールの配合率・分量(厚み)・編み方などの違いによって以下のようなラインナップが用意されています。

  • 「ゾーン」シリーズ
  • 「テック」シリーズ
  • 「オアシス」シリーズ
  • 「アナトミカ」シリーズ

各ベースレイヤーには使用されているウール生地の重さ(厚み)によって、260・200・150の数値がつきます。これらの数値は1m2あたりの重量を表していて、260であれば1m2あたり260gのメリノウールが使われているということになります。そのためこの数字が大きい方が生地は厚くなり、より保温力も高くなります。

ゾーンシリーズ

ゾーンシリーズは、メリノウールに化繊を混紡することにより、メリノウールの本来の長所にストレッチ性などを加え、フィット感を高めて活動量の多いアクティビティで快適に使用できるように設計されたベースレイヤーです。大きな特徴としては、発汗量の多い場所などにメッシュ生地をマッピングしているところにあります。背中・脇・体幹側部などに薄めのメッシュ生地によってより通気性・速乾性を高めています。

生地厚は260、200、150があり、それぞれメリノウールの割合が異なります。150はより運動量の高いアクティビティ向けで、メリノウールの割合は低く、その分化繊を多く配合することにより速乾性・保温性・耐久性の調整しています。200、260と数値が上がるにつれメリノウールの配合割合は高くなり、保温性は高く、対応する運動強度は低くなります。

「テック&オアシス」シリーズ

テックとオアシスはどちらもメリノウール100%の生地を使用した、ロングセラーの定番シリーズです。両モデルの違いは生地の厚さで、テックが260g/m2、オアシスが200g/m2です。クルーネックとハーフジップモデルが用意されています。タイトフィットのゾーンと比べるとデザインやフォルムはよりベーシック。同じ重量でも保温量は高めなので、運動量の低いアクティビティでのレイヤリングや、寒い季節のカットソーとして日常生活でも使用できる汎用性の高いモデルです。

「アナトミカ」シリーズ

アナトミカは、ゾーンやテック、オアシスとは異なり、より日常生活での着用やアンダーウェア、または肌着としての使用を念頭におき開発されています。そのため、生地を薄く軽くしつつ、同時に洗濯によって劣化しにくいよう、より耐久性のあるナイロン芯の周りにウール糸を巻きつけた構造のコアスパン糸を配合しています。ロングスリーブから、ショートスリーブ、タンクトップ、そしてボクサーパンツといったラインナップの幅広さもそのコンセプトの表れでしょう。生地厚は年中使用できるように150g/㎡と薄く、日常はもちろんのこと、旅行でもかなり重宝しそうです。

icebreakerのベースレイヤーラインナップ比較表

スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら

アイテム260 ゾーン200 ゾーン150 ゾーン260 テック200 オアシスアナトミカ
生地本体部分
メリノウール97%
ライクラ®3%

メッシュ部分
メリノウール98%
ポリウレタン1%
ナイロン1%

インサート部分
メリノウール 100%

本体部分
メリノウール96%
ライクラ®4%

メッシュ部分
メリノウール98%ポリウレタン1%
ナイロン1%

 

本体部分
メリノウール83%
ナイロン12%
ライクラ®5%

メッシュ部分
メリノウール85%
ナイロン14%
ライクラ®1%

メリノウール100%メリノウール100%メリノウール83%
ナイロン12%
ライクラ ®5%
生地厚260g/m2200g/m2150g/m2260g/m2200g/m2150g/m2
バリエーション
  • ロングスリーブ クルー
  • ロングスリーブ ハーフジップ
  • ロングスリーブ フード
  • ロングスリーブ クルー
  • ロングスリーブ ハーフジップ
  • ロングスリーブ クルー
  • ロングスリーブ ハーフジップ
  • ショートスリーブ クルー
  • ロングスリーブ クルー
  • ロングスリーブ ハーフジップ
  • ロングスリーブ クルー
  • ロングスリーブ ハーフジップ
  • ロングスリーブ
  • ショートスリーブ
  • タンクトップ
快適性★★★★★★★★★☆
通気性★★★★☆★★★☆☆
速乾性★★★★☆★★★☆☆
吸汗性★★★★☆★★★★★
耐久性★★★☆☆★★★★☆
保温性★★★☆☆★★★★★

詳細レビュー

今回は、icabreakerが展開するベースレイヤーのうち、運動量の高めのアクティビティ向けである260ゾーン150ゾーンを実際に使用し、レビューしました。それぞれ260はロングスリーブハーフジップ、150はロングスリーブクルーネックを選定しました。

260 ゾーン ロングスリーブ ハーフ ジップ

260ゾーンー表

260ゾーンは生地厚260/㎡とicebreakerのベースレイヤーでは最も分厚いもので、メリノウールの割合も97パーセントと高めです。そこにライクラを3%混紡させ、ストレッチ性を高めています。さらに快適性を高めるために、ボディーマッピング技術を利用し、適所に異なる生地を配置しています。発汗量の多くなる背中面や、脇〜体幹側面には、メッシュ生地を配置し通気性を向上させ、摩耗することが多く耐久性が求められる腰回りと肘下には、厚めのワッフル織の生地を配置させています。

背面、脇、体幹側面にはメッシュパネルを配置し、通気性を向上させています。袖部分には厚めのワッフル生地を配置。

フィットはスリムフィットで、ダブつくことはありません。しかしそれによって動作に支障が出ることもないので、ストレスはありません。数%ライクラを混紡するだけで、こんなに違うのか。と思わせてくれます。肩周りの動作もラグランスリーブのおかげで良好です。袖がやや長めですが、サムホールがついている事を考慮すれば、気にならないほどの長さです。サムホールの部分は、生地が二重になっていて、耐久性を向上させています。

サムホール部分(薄い灰色部分)は、生地が二重になっていて、耐久性を向上させています。

さすが最厚な生地だけあって、暖かさと保温性はかなりのものです。汗をかいてもメリノウールがすぐさま吸い取ってくれるので、寒い時期に使っていれば汗が気になることはありません。吸い取った汗の蒸散は化繊に比べゆっくりなので、放射冷却で体の熱を一気に持っていかれることもありません。化繊は吸い取った汗を保有せずすぐに蒸散させてしまうので、特に寒い時期はそれで冷えてしまうこともありますが、メリノウールではその心配はありません。

活動量の高いランニングでは、走っているうちはかなり暖かく、これ一枚で冬でもランニングはこなせてしまうほど。ただ、風が吹くとどうしても寒さを感じてしまうので、トレイルランなど山へいく時は上に一枚防風のジャケットを羽織るだけで、かなり幅広く対応できそう。しかし前述したとおり、かなり暖かいので、本当に寒い時や雪国以外ではランニングに使用するには、暖か過ぎるかもしれません。どちらかというと、冬山登山やバックカントリースキー・スノーボード、クライミング、アイスクライミングなどの、動と静のメリハリがあり寒暖差が生まれやすいアクティビティにこそ、このモデルの特性が生かされるでしょう。

この260には、今回レビューしたハーフジップの他に、クルーネック、ハーフジップフードの3種類が用意されています。個人的にはこの260であれば、ハーフジップ、あるいはハーフジップフードが良い選択なのではないかと思っています。ジップは結構長く、おおよそ鳩尾のあたりまであります。一番下まで開けると一気に熱気が放出されるので、非常に便利です。

ジッパーは長めで、鳩尾のあたりまで下げることができます。このおかげで、一気に熱を放出できます。

それに加え、ジップモデルは首まで生地があるので、ジップを上げ切ればネックウォーマーがわりにもなるので使い勝手がとても良いです。もともと生地が厚く保温性の高いモデルなので、このように調整できる機能があると、より使える幅も広がります。

150 ゾーン ロングスリーブ クルー

150ゾーンは生地厚150g/㎡と、icebreakerのベースレイヤーの中では最薄です。メリノウールの割合も83%と割合も低めですが、これはコアスパン糸を採用していることに由来します。コアスパン糸は、ナイロン糸にメリノウールを巻き付けているため、耐久性が高く、洗濯回数が増えてもヘタれることなく長期間にわたって使い続けられるメリットがあります。同様にライクラの割合も若干高めで、速乾性、ストレッチ性をメリノウールの利点を損なうことなく高め、ランニングなどのより運動量の高いアクティビティに適した作りとなっています。

260ゾーンと同様に、汗をかきやすい背中上部、脇下~体幹側部にはメッシュ生地を配置し、通気性を向上させています。これが結構効果的で、特に脇のあたりは汗が溜まりがちですが適度に発散させてくれるので、快適です。いくらランニング向けのモデルとはいえ、通気性を高めすぎてしまうと風が吹いてきた時や、気温が下がる場面では使えなくなってしまいますが、背中と同様に発汗量が多い胸部あたりにはメッシュは配置せず、適度な保温性を維持してくれています。

150zone 背面メッシュパネル

背中には大きくメッシュパネルが配置されています。

メッシュ生地は、透かすと穴が空いているのがよくわかります。

適度なストレッチ性のおかげで、「ストレスなく動作できる」というベースレイヤーに必要な条件も問題なくクリアしています。ランニングの動作もですが、クライミングのようなダイナミックに腕を動かす動作でも、キツく感じるようなことはありません。特に袖の作りはラグラン仕様になっているため、肩周りの動きはストレスフリーです。

腕が上げやすいようなパネル配置になっているので、ストレスなく動きやすい。

袖口は、冷気が吹き込まないようサムホール使用となっているので、末端の冷え対策もバッチリです。

サムホールがついているので、袖口からの冷気の侵入を防ぎ、手の冷えも抑えてくれます。

縫製も丁寧な仕上がりで、裏面はシームレスになっており、肌あたりもスムースです。

肌に当たる裏側は、ストレスがないようにシームレスに縫い合わせています。

今回レビューしたのは、ロングスリーブのクールネックでしたが、他にもショートスリーブのクールネックと、ロングスリーブのハーフジップが選分ことができます。ショートスリーブは生地も150g/㎡と薄いので、メリノウールの防臭効果も相まって、夏季でも一日中走っていても不快感なく使用できそうです。特に高低差のあるトレイルを行く場合はかなり快適に使えそうです。ハーフジップの利点はやはり通気性をあげられること。湿気が籠もってきたら鳩尾あたりまであるジッパーを下げれば、一気に換気でき、非常に便利です。しかしハーフジップモデルは首回りまで生地があるので、気になる人もいるかもしれません。ネックウォーマーの代わりになるので、便利ではありますが、それが必要な寒さの時はジャケットも持っていくはずなので、そちらで対応した方が、ベースレイヤー自体の汎用性は上がるかなと、個人的には思いました。

まとめ

icebreakerが展開するベースレイヤーの概要と、ゾーンシリーズを実際に使用してみたレビューをお送りしました。ゾーンシリーズは、メリノウール100%のテックオアシスに比べると、化繊が入っている分フィット感や機動性は高く、汗も適切に処理をしてくれるため、運動量の多いランニング、トレイルラン、ファストパッキング、クライミングなどに非常にマッチするベースレイヤーです。積極的に活動する人には、メリノウール100%のベースレイヤーよりも、ゾーンシリーズの方が衣服内気候の調節がしやすく、常に不快なくアクティビティに集中していられるでしょう。

特にゾーンシリーズの中でも150は、生地自体が薄くそもそも通気性が高い。そこにメッシュパネルでさらに通気性を向上させているため、常に発汗し続けている、ランニングやトレイルランニング、ファストパッキングのような運動量の多いアクティビティで性能を発揮させることができます。しかしやはり薄いので、止まってる時間が多いと冬場は寒さを感じます。そういったアクティビティ、登山やアイスクライミングでは260を選択することで、ストップアンドゴーが多くても、保温力が高いので止まってる時でもしっかりと体温を保持してくれます。特にハーフジップの調整機能はこの260でこそ活きてきます。

メリノウールは臭わないよく言われますが、使ってない人からすれば半ば信じがたいことだと思います。しかし、かなり汗をかいても、そのまま干しておけば翌日には何事もなかったかのように臭わず使い続けられます。僕自身最初はかなり驚いたものです。この機能は、縦走や旅行などで荷物を減らすことができるので、かなり重宝するはずです。僕自身icebreakerのボクサーパンツに旅行中は助けられています。登山やトレイルランなどのアクティビティだけに使うのではなく、日常にもメリノウールを取り入れてみると、この肌触りや着心地の良さの虜になり、衣装ケースの下着類が一新されるはずです。

icebreakerの製品情報はこちらの公式サイトから

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