ISUKA トレイルマットレス レビュー: 日本の山を知り尽くしたシュラフメーカーが作る、快適さと使い勝手の良さを追求した実用性抜群のマットレス
1gでも装備を軽量したい人にとって「軽さ」は正義。
ですが、許容範囲を超えた快適さの犠牲は楽しいどころか、ただの苦行となってしまいます。
「装備は軽くしたい、でも快適性も捨てきれない」ということを考えている人にこそ今回紹介するギアは魅力的と言えます。
紹介するのは日本のシュラフメーカー、ISUKA(イスカ)が2024年に発売したスリーピングマット「トレイルマットレス」です。
自然界の中で寝ることについて重要なのはシュラフですが、そのシュラフと同じくらい重要になるのがスリーピングマットです。
快適な睡眠をとることは疲労を癒すだけでなく、満足度にも直結します(楽しみにしていた山行で一睡もできなければキツイですから)
イスカのトレイルマットレスは「快適性」と「実用性」のバランスの取れたスリーピングマットで、必ずしも平坦な場所で寝ることができないアウトドアのフィールドでもしっかりとマットの上で寝ることができるように考え抜かれて作られたマットです。
この記事では「トレイルマットレス」を実際に使用してみて感じたことをいいところも気になるところもしっかりとレビューしていきます。
目次
イスカ トレイルマットレスの主な特徴
イスカはは1972年に創業した日本のシュラフブランド。シュラフを中心にシュラフカバーやバックパック用のレインカバーなどの登山用品を取り扱っています。
イスカといえばシュラフが有名ですが、マットも作っていて、2024年に新発売されたのが紹介する「トレイルマットレス」です。
トレイルマットレスはR値が2.7の3シーズン用のスリーピングマットで、空気を入れて使用しますが、中にウレタンフォームが入ってエアマットとクローズドセルマットの中間的なマット。
マットの厚さは2.5cmでしっかりと空気を入れることで底つきもなく快適、空気とウレタンフォームがしっかりと反発してくれるので快適に横になることができます。
サイズは「Reg」「Mid」の2種類がラインナップされ、違いは長さで、ユーザーの身長に合わせて選ぶことができます。
マットの表面は20Dポリエステルを使用、デザインになっている模様はシリコンプリントで滑り止め効果があり、裏面には全面に滑り止め加工の施された30Dポリエステルを使用していて、必ずしも平らではない自然の中でもマットがずれにくくなっています。
表と裏でひっくり返して使う2WAYバルブはふくらませる際に空気の流出を防ぐインフレーションバルブと、たたむ際にマット内に空気の流入を防ぐデフレーションバルブを搭載しており、設営・撤収の手間を大幅に改善させています。
トレイルマットは快適性が高く、実用性に優れたスリーピングマットです。
お気に入りポイント
- セルフインフレータブルマットで抜群の寝心地
- 春先〜初秋まで3シーズンカバーできる断熱性
- 裏面と表面に滑り止めが付いているから斜めでもマットの上で眠れる
- 2WAYバルブで設営・撤収がらくらく
- 2つ折りで収納できる収納バック
気になるポイント
- 展開する2種類のサイズの差が少ない
- 収納サイズが大きい
主なスペックと評価
名前 | ISUKA トレイルマットレス Reg | ISUKA トレイルマットレス Mid |
---|---|---|
構造 | セルフインフレータブルマット | |
R値 | 2.7 | |
サイズ | 51×183×2.5cm | 51×168×2.5cm |
収納サイズ | Ø12.5 x 27cm | Ø11.5 x 27cm |
重量 | 520g | 460g |
素材 | 表面:20dポリエステル 裏面:30dポリエステル(全面滑り止め加工) | |
付属品 |
| |
Outdoor Gearzine評価 | ||
快適性 | ★★★★☆ | |
設営・撤収の容易さ | ★★★★☆ | |
重量 | ★★★★★ | |
携帯性 | ★★★★☆ | |
耐久性 | ★★★☆☆ |
詳細レビュー
セルフインフレータブルマットで抜群の寝心地
トレイルマットレスは空気でふくらませて使うタイプのマットですが、内部にはフォームが入っているので、クローズドセルマットとエアマットのちょうど中間に当たるようなマットと言えます。
マットの厚さは2.5cmながら、しっかりと空気を入れると底つきしにくい反発力で、横になってみると柔らかすぎず、硬すぎず快適な寝心地でした。
横向き派の筆者ですが、接地面積が小さくなり、一点にかかる荷重が大きくなる横向きの状態で寝ても底つきなく寝ることができます。
トレイルマットレスのラインナップは2種類。長さ183cmのRegサイズと168cmのMidサイズがありますが、両者の長さの違いは15cmで重量差は60g。少しでも軽量にしたい筆者としてはMidサイズよりもさらに短い、上半身をカバーできるショートサイズがあるといいなと感じました。
春先から初秋まで3シーズンカバーできる断熱性
トレイルマットレスのR値は2.7(R値とは断熱性の高さを数値で表したもので、数値が大きいほど断熱性が高くなる)
暖かくなってきた春先から夏のピークを越えた初秋までの3シーズンでの使用はカバーすることができ、クローズドセルマットと併用することで冬場の低山などであれば十分に使うことのできるスペックです(寒さの感じ方は人によるので参考程度でお考えください)
トレイルマットレスは内蔵されたフォームが横方向にしか肉抜きされておらず、体が設置する表面には全面にフォームがあるためR値以上に断熱性の高さを感じました。
裏面と表面に滑り止めが付いているから斜めでもマットの上で眠れる
山岳地帯のキャンプ指定地ではテントを設営するフィールドは必ずしも平坦ではありません。人気のキャンプ地では平坦な場所から埋まっていき、到着時刻が遅くなると設営できる場所は限られてきます。
時には傾斜がある場所にしか設営することができず、就寝中に気がつくとマットからずれ落ち、寒さで起きるなんてことも(経験ありますが、結構辛いです)
トレイルマットレスは裏の全面に滑り止め加工が施されているので、テント内に置いた時にずれにくくなっています。
それと、表面のデザインの模様もシリコンプリントで滑り止め効果があるので表裏ダブルの滑り止めで傾斜があってもマットからずれにくくなっています。
重力に逆らうことはできないので限度はありますが、少なくとも体感で少し斜めに感じるレベルであればこの滑り止めが効果を発揮してくれ、マットからズレることなく眠ることができます。
2WAYバルブで設営・撤収がらくらく
筆者がフォームが内蔵されたふくらませるタイプのセルフインフレータブルマットを積極的に使用てこなかった理由として、撤収の「めんどくささ」があります。
特に内部にフォームの入っているタイプは反発力があり、圧縮するのに力がいるので撤収時に専用バックへの収納が大変ですが、トレイルマットはその「大変」を解決してくれています。
その秘密は2WAYバルブ。マット内部の空気の流出を防ぐバルブは他ブランドのマットでもよく見かけますが、マット内部への流入を防ぐ機能のついたマットはめずらしいのではないでしょうか?
空気をいれるバルブのキャップを外すと、表裏でひっくり返せる構造になっていて、設営の時にはマットの内部から空気の流出を防ぐインフレーションバルブ(写真上)、ひっくり返すとマット内に空気が流入するのを防ぐデフレーションバルブ(写真下)として使えます。
デフレーションバルブがついていることで力を入れなくていなくても圧縮されたフォームが膨らむことがなく、簡単にぺったんこになってくれます。
2WAYバルブは全開にすれば一気に空気を抜くこともできるので撤収時の「めんどくささ」を大幅に改善していています。
現時点ではトレイルマットレスに合う専用のポンプサックがないため、設営時は口でふくらませないといけませんが、内蔵されたウレタンフォームが自然にふくらんでくれるため、エアマットほど苦労はしません。設営よりも撤収時の効率があがっているのでかなり扱いやすさを感じました。
2つ折りで収納できる収納バック
2WAYバルブと同時に撤収のしやすさにつながっているのが収納サイズです。
トレイルマットレスの収納バックはマット本体をちょうど半分に折りたためばぴったり入るサイズになっていて、これが収納しやすくしてくれています。
他ブランドのマットは収納サイズを小さくするために三つ折りで収納するサイズになっていることががよくありますが、収納バックよりも折りたたんだマットが大きくなってしまい、はみだしてしまうことってありませんか?(筆者はよくあります)
収納バックにぴったりと入れるためには撤収時に収納バックのサイズを確かめながら折りたたみ、丸める必要があります。それに対しトレイルマットレスは半分に折りたためばOKなので、サイズを確かめる必要もなく半分に折って丸めれば収納可能。
ズボラできちんと収納するのが苦手な筆者にとってこのポイントはかなりおすすめです。
半分に折って収納できることはお気に入りのポイントですが、収納サイズについては少し気になるところもあります。
エアマットにくらべれば収納サイズが大きい
半分に折って収納できることはお気に入りのポイントですが、収納サイズについては少し気になるところもあります。
筆者からすると、寝心地、断熱性、取り扱いやすさを考慮すると許容範囲内ですが、同様の構造・断熱性の他社マットを比較してみると収納サイズはやや大きめ。
わずかな差ではあるものの、「コンパクトさ」にこだわりたい人にとってはこの収納サイズは懸念点と言えます。
トレイルマットレスはクローズドセルマットと比べれば圧倒的にコンパクトになり、携帯性のアドバンテージはありますが、エアマットに比べれば「コンパクトさ」に軍配が上がるのはエアマットです。
良くも悪くもクローズドセルマットとエアマットの中間的なセルインフレータブルマットのトレイルマットレスは収納サイズは懸念点と言えます。
まとめ:「寝心地」「携帯性」「扱いやすさ」のバランスの取れたおすすめマット
イスカ トレイルマットレスを紹介しました。
自然の中での快適な睡眠は満足度に直結します。快適な睡眠にぴったりなスリーピングマットを選んで山へ出かけましょう!
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Yosuke(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
一年中アウトドアを楽しんでいるフリーのライター。 自身の経験や使ってみて良かった道具を発信しています。