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SALOMON ELIXIR MID GORE-TEX レビュー:サロモンの新ハイキングブーツは規格外の厚底クッションなのに驚くほどの安定感と推進力でロングトレイルにもってこい

日本で「ロングトレイル」という明確な理念に基づいたルートが誕生してから15年あまり。今では全国で地道なルート開拓・整備が進み、専門ガイドや雑誌も刊行されるまでに。この長距離を何日もかけて歩くスタイルは日本でも徐々にではありますがアウトドア愛好家たちに浸透してきているようです。

かつては限られた人たちのためのアクティビティだったのが、今では誰もが気軽にチャレンジできるまで普及してきたのには、文化や環境の成熟だけでなく、優秀な道具の普及も大きく影響しています。

なかでも最も重要なギアのひとつはなんといってもシューズ。今回紹介するSalomonの新しいハイキングシューズ、ELIXIR(エリクサー)MID GORE-TEXは、そんなロングトレイルを歩くために求められる特徴が満載の新コンセプトブーツ。早速レビューしてみたいと思います。

SALOMON ELIXIR MID GORE-TEX の主な特徴

SALOMON ELIXIR MID GORE-TEXは、快適な長距離ハイキングをはじめとして幅広い用途をカバーするようデザインされた軽量ハイキングブーツ。ソフトでプレミアムなクッション性を備えた「EnergyFoam™」を採用した非常に厚手のミッドソール、横方向のブレを抑え安定した着地を可能にする「Active Chassis™」、「sensifit™」構造の適度なフィット感と贅沢なパッドを含んだシュータンとカラーによる足を包み込むようなホールド感のアッパーなど、数十キロにおよぶ長いルートも足への疲労を軽減しながら快適に歩くことができます。つま先とかかと部分が緩やかにカーブしたReverse Camberソールはスムーズなストライドを促進し、荒れた地形でも滑りにくい5mmラグの「All Terrain Contagrip®」アウトソール、ヌバックレザーのプロテクションとGORE-TEX防水メンブレンなど、オフロードでも安心のグリップとプロテクションも備え、長い旅路で押し寄せる多くの困難を乗り越えてくれるでしょう。今回レビューしたミッドカットの他、ローカットモデルもアリ。

おすすめポイント

  • 厚底ソールの高い衝撃吸収力と横ブレしにくい安定感を両立した疲れにくいミッドソール
  • 転がるように軽快な足運びを可能にするアウトソールのReverse Camber形状
  • ロードからトレイル・オフトレイルまで幅広い地形でグリップする5mmラグのAll Terrain Contagrip®アウトソール
  • 岩や枝、根などにも安心の、堅牢性と耐久性に優れたヌバックレザープロテクション
  • GORE-TEXとガセットタンによる高い防水(透湿)性

気になったポイント

  • ゴツくて軽快さには欠ける
  • 通気性、速乾性は高くない
  • 厚めのパッドの分、靴内はやや狭く感じられ、つま先の当たりがやや硬めなので、靴のサイズはゆとりをもって、靴下も厚めを意識した方がいい

主なスペックと評価

項目SALOMON ELIXIR MID GORE-TEX
重量474g 
スタックハイト37.3mm/30.3mm
ドロップ7mm
アッパー
  • SensiFit™
  • ヌバックレザー/合成テキスタイル
  • フラットレース
  • リサイクル素材
  • GORE-TEXⓇ
ミッドソール
  • EnergyFoam™
  • Active Chassis™
  • Reverse Camber形状
アウトソール5mmラグのAll Terrain Contagrip®
Outdoor Gearzine 評価
快適性★★★★☆
重量★★★☆☆
グリップ★★★★☆
プロテクション★★★★☆
クッション★★★★★
安定性★★★★☆ ※数十キロ担ぐような重荷での行動時を除く

フィールド詳細レビュー

履き心地と耐久性(外観とアッパー):まるでバスケットシューズ?垢抜けたフォルムに贅沢な快適さとプロテクションを搭載

ここ数年、サロモンの新シリーズにはデザイン的にも攻めたものが多い。今回のエリクサーも、Y2Kファッションを思わせる厚底&ゴツめのフォルムにマットな質感の落ち着いたカラーリング、そして山靴らしからぬフラットな靴紐。機能や使い勝手を云々する以前にこの思い切った見た目の新鮮さはインパクト十分です。

アッパーはフロント部分の合成メッシュの周囲を柔らかいヌバックレザーで覆うように構成されており、さらにつま先を突き傷から守るための樹脂製バンパーで補強されています。

重量は500g前後と、登山靴としては決して重くはありませんが、軽量ハイキングブーツとして考えるとやや重ため。同社の人気モデルX ULTRAシリーズと比べると比較的丈夫な生地が配置されており、プロテクションに関しては軽量ハイキングブーツとして申し分ありません。

足を入れた際の感触としては、厚めのパッドのせいかいつもよりも若干狭く感じられました。ただこのモデルもサロモンおなじみの「Sensifit™」構造アッパーを採用し、足裏から甲にかけて優しく包み込むように足全体をホールドしてくれる基本的な快適さは感じられ、履き慣れていくことでこの程よい密着感が心地よく感じられてきました。

シュータンから履き口および足首周りには肉厚のパッドが当てられており、足首のサポートは非常に高く、ミッドカットというよりハイカットに近い安心感です。また後述するハイボリュームのミッドソールと共に快適なフィット感と贅沢な肌当たりを感じることができます。

快適性、クッション性ともに充実した一体型シュータンはくるぶしあたりまでの十分な高さ。防水透湿性を備えた信頼のGORE-TEXも相まって、小石や小枝、砂利、水などの侵入をかなり防いでくれます。

靴紐のセッティングは意外とデリケート。ゆとりを持ったサイジングと厚めの靴下推奨。フラットシューレースはこまめな結び直しで最適なフィットに調整を

ただこれまでさまざまなサロモンシューズを履いてきた自分としては、本モデルの若干タイトなサイズ感とシューレースシステムのシビアなフィッティングにはやや悩まされました。一般的なフラットレースを採用し、生地に直接紐を通している部分とメタルのアイレット・フックのハイブリッド構造になっているのですが(下写真)、場所に応じて締め具合を調節できる柔軟性と固定力の高さは感じられるものの、生地に直接通している部分は一度締めると良くも悪くも緩みにくく、普段のノリで締め過ぎると足が窮屈になったままになってしまうことも。

まがりなりにもエリクサーは登山靴であることを考えれば当然かもしれませんが、なるべく厚手の靴下を履くということは大前提として、サイズ選びでもいつもよりも大き目のサイズを意識してみることをおすすめします。自分の場合、右の足のサイズが左よりも4mmほど大きいため、左足はすこぶる快適でしたが、右足の方は微妙につま先が当たる感じがしたため、歩き始めでそれに気がついてからは、紐の締め具合をこまめに調整しながら歩くこと数キロ。そのうちに丁度よい締め方に慣れ、違和感は緩和されていきました。

パッドが厚めで足先が硬めな分、いつもよりゆとりをもったサイズを意識した方がいい。最適なサイズ選びはより慎重に。

歩き心地(ミッドソールとアウトソール):極上のクッションだけじゃない!安定性・推進力・グリップを兼ね備えたサロモンならではの厚底ソール

外観の部分でも書きましたが、このブーツ一番のハイライトは何といってもゴージャスな極厚ミッドソールといって間違いないでしょう。サロモンのハイキングブーツでここまで思い切って厚底に寄せたモデルは見たことがありません。

「EnergyFoam™」による極厚ミッドソールと横ブレを抑制する「Active Chassis™」の組み合わされたエリクサーのソール構造。

厚底ソールを構成している素材の正体は同社の高クッションランニングシューズにも多く採用されている「EnergyFoam™」。これは従来のEVAに加え、よりも軽量かつ耐久性・反発性に優れたオレフィン [OBC] を配合した軽量フォームで、衝撃吸収力に長けているだけでなく、長時間のハイキングでもクッション性と適度な反発力を持続し、疲労を軽減と踏み込み時のさらなるバネを与えてくれます。

この厚みと衝撃吸収力によってプレートが入っていないにもかかわらず不整地での路面からの突き上げも感じにくい。

さらにつま先からかかとにかけて船底のように緩やかなカーブが施されたソールのReverse Camber形状は、着地から踏み込みまでのスムーズなストライドを誘導し、足取りを自然に前へと推し進めてくれます(下写真)。

船底のように緩やかなカーブが施されたReverse Camber形状のソール

ゴージャスなクッション性に抜群の安定性をもたらす「Active Chassis™」

もしソールの特徴がこれだけだったならば、エリクサーは厚底シューズの先駆者である他メーカーのそれと比べても大した違いはないなと思われて終わりだったかもしれません。エリクサーが他の厚底高クッションシューズと一味違うユニークかつ優れた部分は、この高クッションミッドソールと組み合わされた安定性向上パーツ「Active Chassis™」にあります(下写真)。

アッパーとミッドソールの間、外側面に埋め込まれたパーツが「Active Chassis™」。

ミッドソールのサイドに挿入されたこの硬質の樹脂パーツは、柔らかいフォームの沈み具合をコントロールし、着地時の足の横ブレを抑えて正しい体重移動をサポートしてくれます。

ソール外側に配置された「Active Chassis™」によって横方向へのブレを防ぎ、着地がより安定する。

実際に歩いていて感じるのは、かつての厚底シューズにありがちだった着地時の「フワフワ(グラグラ)」という感覚ではなく、不安定さのない確実なランディング感覚です。まるでフルサスペンションのマウンテンバイクでダウンヒルするかのような快適さであり、凸凹した緩やかなトレイルを跳ねるように移動する感覚は、歩くことそのものをシンプルに楽しませてくれます。

幅広い地形と方向でのグリップ性能をカバーするAll Terrain Contagrip®コンパウンドとバランス重視で適度にアグレッシブなラグパターン

多様な地形を相手にするロングトレイルのハイキングでは、それに伴ってなるべく幅広い地形にまんべんなく対応できるグリップ力が求められるところ。

エリクサーのアウトソールコンパウンドはまさにそういった幅広い地形での確実なグリップ力を確保するAll Terrain Contagrip®ラバーコンパウンドが採用されています。

さらにシューズを裏返してみると、アウトソールの面積は通常のシューズに比べて微妙に広くなっており(下写真)、より安定性とグリップ力を向上させようとしている意図が感じられます。ラグパターンは泥の排出性やブレーキと踏み込みを意識された比較的オーソドックスでバランスがとれており、高さも深いところで5mmとやや深め。ただポイントの一つ一つは大きめなので耐久性はあるようです。乾いた表面だけでなく、岩のガレ場やぬかるんだオフロードでも確実なグリップ力を発揮するようにデザインされています。

実際には湿った土交じりのトレイルから岩のごつごつした急斜面、フラットな砂地、草地と歩いてみましたが、粘り強くクセの無い幅広ソールはおおむね問題なく危険を回避してくれました。

まとめ:長距離でも疲れにくい、なのに普通のハイキングブーツと同じ感覚で歩きやすいという新しさ

ここ1カ月程度エリクサーを履いて日常から山歩きまでかなり使用してみましたが、クッション・サポートのバランス、快適さ、テンポのよいスムーズなストライド感にはかなりシビれました。これらの特徴は、細かな岩のホールドにつま先立ちする必要があるテクニカルなトレイルや急傾斜には適しているとはいえませんが、それらを除いたあらゆるトレイルで、前への勢いと小気味よい足取り、そして長時間歩いても安心の疲れにくさを提供してくれました。これはロングトレイルに強いというだけでなく、当然キャンプをはじめライトなアウトドアアクティビティ全般にも「ちょうどいい」使い勝手を提供してくれるということでもあります。

もしあなたがこれまで歩いたことのない長距離のロングルートにこれから挑もうとするのならば、このプレミアムなクッションと確かなサポートの融合した新世代の厚底ハイキングブーツを選択肢に入れてみてはいかがでしょう。

「SALOMON ELIXIR MID GORE-TEX」の詳細と購入について

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