SALOMON TECHAMPHIBIAN 5 レビュー:夏のアウトドアを遊び尽くすための万能型ウォーターシューズ
夏のアウトドアの主役といえば、何といっても河原や渓谷、湖畔、海辺などでのウォーターアクティビティ。
その際、軽い水遊び程度であればたいていの場合はシンプルなサンダルでも事足りますが、ボートやカヌー、ラフティング、フィッシングなど水辺に長時間いることが多いアクティビティや、ライトな沢登りやキャニオニングなど水の中を安全に歩きたい場合には、しっかりとした水陸両用「ウォーターシューズ」が欠かせません。
今回はそんな夏を彩るウォーターシューズのなかでも、幅広いアドベンチャー領域をカバーするサロモンならでは、歩いてよし、浸ってよし、リラックスしてよしのグッドバランスなロングセラーモデル TECHAMPHIBIANシリーズが第5世代にアップデートしたということで、さっそく川遊び、沢沿いの山道歩きで試してみることにしました。
目次
SALOMON TECHAMPHIBIAN 5の主な特徴
水辺のアウトドアから軽いハイキングまで幅広く対応する多用途性が魅力のウォーターシューズ。足を保護する適度な補強と通気・排水・速乾性に優れたメッシュによるアッパーは水の中でも高い快適性とプロテクションを提供。特殊なサイプが施された粘着性の高いコンパウンドで構成されたアウトソールは濡れた路面やオフロードでも抜群のグリップ力を発揮します。ストラップで調節可能な折りたたみ式ヒール、簡単に着脱・調節できるクイックレースシステム、調湿と防臭効果を備えたS.Café® 再生素材のソックライナーなど、日常使いでの利便性も多く備えています。
おすすめポイント
- ぬれた路面でも驚くほど粘り強い防滑性に優れたアウトソール
- 快適なクッションと反発力を備えたミッドソール
- 優れた通気・排水性と速乾性に優れたメッシュアッパー
- リラックス時に便利な折りたたみ式ヒール
- 夏の日常履きからハイキングまで幅広く対応する多用途性
気になったポイント
- 調節可能なヒールストラップはきつく締めても歩いているうちに若干緩む(緩み過ぎというところまではいかない)
- 排水性が高い反面、細かい砂粒はどうしても入ってきてしまう
主なスペックと評価
項目 | SALOMON TECHAMPHIBIAN 5 |
---|---|
重量 | 公称重量:301g(27cm片足実測285g) |
ドロップ | 9mm(トゥ 17.9mm / ヒール 26.7mm) |
アッパー |
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ミッドソール |
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アウトソール | Water Contagrip® |
快適性(フィット感) | ★★★☆☆ |
重量 | ★★★☆☆ |
排水・速乾性 | ★★★★★ |
プロテクション | ★★★★☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
グリップ | ★★★★★ |
多用途性 | ★★★★★ |
詳細レビュー
濡れた岩でも並外れたグリップ力を発揮したアウトソール
TECHAMPHIBIAN 5を履いてみてまず真っ先に驚いたのがココ。
沢登りや渓流釣り用のシューズを多く履いてきた自分からすると、たいていのウォーターシューズはいくら事前に「滑りにくいよ!」といわれたとしても、実際に履いてみると(まぁ、こんなもんだよね)と心の中でつぶやくことがほとんどだったのですが、今回はガチで違った。下手したら渓流シューズと言われても気づかないかも知れない!?それくらいの高いグリップ力に、心の中で歓声をあげました。
本作のアウトソールに使われているコンパウンドは本格トレイルランシューズでも実績がある、耐久性と粘着性に優れた「Contagrip® FD」。それが濡れた路面やツルツルと滑りやすい岩場でもしっかりグリップするように凹凸は浅めで、なるべく接地面積が広くなるようなラグパターンにデザインされています(下写真)。
さらにこの凸部分をグイっと広げてみると何と、まるでスタッドレスタイヤのような特殊なサイプが施されており、濡れた路面で滑りにくいウォーターシューズとしても、不整地でしっかりと踏み込めるウォーキングシューズとしても最大限にグリップをきかせられる仕組みになっています(下写真)。
この滑りにくさは(実際本格的な沢登りで履けなかったのである程度推測にはなりますが)渓流シューズのソールとまったく同じとはいかないまでも、日帰りの小さな沢歩きや渓流釣り程度であれば十分役に立ってくれるレベルです(苔むした岩では沢用シューズでも多少滑ってしまいます)。
ちなみに舗装道路でなら、この浅めのラグパターンはサロモンの多くのトレランシューズに見られるような深めのラグに比べれば確実に歩きやすくて消耗もしにくいので、その意味では日常履きとしてもかなり有利な特徴であるといえます。
快適なクッションと反発力を備えたミッドソール
最もサロモンらしい部分でもあり、地味に気に入っているのがミッドソール部分で、ここには衝撃吸収力と反発力、耐久性に優れた「EnergyCell™」が搭載されています。多くのランニングシューズに搭載されてきたこのクッション素材が、かかと26.7mm、前足部17.9mm(9mmドロップ)とそこそこしっかりと厚みをもって配置されていることで、路面の凸凹からダメージを受けることも、長時間歩きで疲れるといったことも感じにくい(下写真)。
とはいってもソール全体は硬いというよりもむしろ柔軟で、路面の凹凸も程よく感じられます。
つまりこのシューズは水辺だけでなく、玄関からフィールド、水遊びや山歩き、キャンプでの夜、そして家路に着くまでずっと履いていもおかしくないほどシューズとしてのバランスの良さを備えているのが分かります。この点はボートやカヤックなどに的を絞ったウォーターシューズには真似できない、サロモン製ウォーターシューズの大きな魅力のひとつです。
通気・排水性に優れ、靴下でも素足でも快適な履き心地をキープするアッパー
ウォーターシューズが水中でのアクティビティを前提としてデザインされている以上、靴の濡れに対する快適さが求められるのは言うまでもありませんが、その点も本作はまるで水陸の垣根などないかのように、水辺でも陸地でも同様の履き心地の良さを感じさせてくれます。
トゥーボックスの遊びはやや少なめで、薄手靴下から素足まで、履くときの足を選ばずピッタリと足をホールドしてくれます。そして前足部から甲にかけては、おなじみのクイックレースシステムによって簡単に、そしてしっかりとフィットしてくれます(下写真)。
また調節可能なヒールストラップ式のかかとはシーンに合わせてホールド感を調節できます(下写真)。これは靴下を履いている、いないという状態に合わせてかかとのホールド感を調節できるので、当初非常に調子が良かったのですが…。
結構早い段階で緩みがちになってしまい、ぎちぎちに締めた状態で長時間履き続けるのが難しくなってしまいました。ただ緩々で履くに堪えないという状態になるわけではないのでそこまでシビアな使い方でなければ問題ないのですが、せっかく気に入っている構造だけにちょっと惜しい。
ストラップ式の構造によるもうひとつの利点として、かかとを折り畳んでスリッポンにもできてしまうという点が挙げられます。リラックス時にラフな使い方をしたいときにはとにかく超便利。
さらにはかかとがつぶれるということは、それだけコンパクトにパッキングできるということ。テント泊や旅行などでのサブシューズとしてカバンに詰め込める手軽さは地味に魅力的だったりします。
通気・排水性と速乾性に優れたメッシュアッパー
普通のシューズでずぶ濡れになったことがある人なら分かると思いますが、靴の中に水が入ってそれがずっと残り続けているときの不快感といったら…。つまり水が入ることを前提としたウォーターシューズにとって、排水性と速乾性の良し悪しはその靴の快適さにとっては死活問題といっても過言ではありません。
ただ排水性を上げるためにはなるべくアッパーを生地で覆わなくすることが近道ですが、やりすぎてしまうと今度はシューズのプロテクション低下につながります。これでは山道を歩くためのシューズとして不十分。
そこでTECHAMPHIBIAN 5ではアッパーに速乾性と耐久性に優れた素材と、排水(通気)性に優れたメッシュを適材適所にマッピングすることによってバランスのとれた排水対策を講じています。
例えば石や岩のあいだに足をはさんでもケガしないよう、つま先~外周にかけては適度な補強がなされ、その合間にピンポイントでメッシュの排水部分が配置されています。このようにどの箇所でも耐久性と排水性が両立するように各機能がまんべんなく散りばめられています(下写真)。
また水抜けスピードをできる限り最大化するためサイドのメッシュは大きめにしたりと、この辺りも丁寧に考慮されており、靴がどんな向きでどんな状態にあろうとも抜群の排水性を発揮してくれました。もちろんこの排水性能は日常履きとなれば風抜けの良さとなり、汗ばむ夏の街中で履いたとしても快適であり続けます。
ただその反面、外からの異物の流入しやすさは、若干期待を裏切られた部分でした。
たとえ足先やシュータン部分の細かいメッシュ部分では小石や破片の侵入を防げたとしても、サイドの粗いメッシュやかかとのスリット部分から侵入する砂粒まではどうしても防げません(下写真)。
そこでもし河原や海でできる限り砂利等の異物感を避けたい場合には、速乾素材やネオプレーンなど何かしらの速乾・保温性ソックスと共に履くのが個人的にはベストな履きこなしだと感じました(下写真)。
長時間の使用にうれしいソックライナー
どうしても濡れていることが多くなるウォーターシューズでどうしても厄介なのが「ニオイ」の問題。そこでTECHAMPHIBIAN 5ではコーヒーの粉から作られた「S.Café®」という再生素材をインソールに採用。臭気制御と調湿機能を兼ね備え、環境に配慮しながら不快感も解消してくれるスグレモノです。
まとめ:水辺でのアウトドアから山歩き、普段履きまで応えてくれる真夏の便利シューズ
TECHAMPHIBIAN 5ははじめこそ水中での使用を重点的に試していましたが、その後いろいろな場面で履いているうちに、水辺はもちろん、仕事やジムや休日、旅行、キャンプにと、夏のほぼあらゆる場面で活躍できるスニーカーであることに気づかされました。試してはいないけどきっと野外フェスにも重宝すること間違いなし。それくらい、軽量で水抜けと通気性に優れた快適な履き心地、舗装路から濡れた不整地まで安定したグリップ、クセのないデザインは様々なシチュエーションで履いても違和感なくフィットしてくれます。ただ本文でも触れた通りかかとのホールド感は専門のランニングやハイキングシューズとまではいかないので、あまりに攻め過ぎた使い方はしないよう気をつけたいところです。
ともあれ、使い方によっては夏の多様なアウトドアに「これ一足で」対応できる使い勝手の良い万能型ウォーターシューズ。夏の計画で今から頭がいっぱいのみなさんにこそぜひ試してみてもらいたいシューズです。
SALOMON TECHAMPHIBIAN 5の詳細と購入について
製品の詳細についてはTECHAMPHIBIAN 5 (メンズ)/TECHAMPHIBIAN 5(ウィメンズ)それぞれの公式通販サイトもあわせてご確認ください。