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SALOMON SPEEDCROSS 6 GORE-TEX レビュー。歴史を刻み続ける究極のオフロード・ランニングシューズはさらに悪路に強く、走りも快適に。

その昔、まだ「トレイルランニング」というアクティビティが確立されていなかったころから歴史を切り開いてきた、トレイルランニングシューズのシンボル的存在がまたしても完成に向かって一歩前進しました。

オフロードを軽快に移動するためのシューズに求められる「タフさ」と「スピード」を兼ね備えた、サロモンのトレイルランニングシューズのなかでも不動の人気モデルであるSPEEDCROSSシリーズが今シーズン、3年ぶりのモデルチェンジ。2006年に誕生し、2008年のUTMBで優勝したキリアン・ジョルネが履いたことで世界中を驚かせたこのシューズは、そのシンプルで力強いコンセプトを脈々と受け継ぎながら、16年たった今でもシーンの先頭に立って着実に進化を遂げています。

自分は4代目から履いていますが、とにかく林道から泥やぬかるみ・草付き・岩場と平坦な地形から怪しい地形までオールラウンドで信頼できる安定感と、履きやすさ、走りやすさを兼ね備えたバランスの良さで、何だかんだ浮気しても最終的にまた戻ってきたくなる、個人的にはそんな故郷のようなお気に入りシューズです。果たして6代目で何が変わったのか。台風明けのぬかるみとゴツゴツした岩場のミックスしたトレイルという格好のテストフィールドで前モデルと履き比べながらその進化・変化を実感してきましたので、さっそくレビューしていきます。

SALOMON SPEEDCROSS 6 GORE-TEX の主な特徴

サロモンのみならず世界のトレイルランシューズ代表といっても過言ではない歴史と人気と実績を誇る SPEEDCROSS シリーズが第6世代へとアップデート。不整地やぬかるみなどフィールドのあらゆる地形での優れたグリップ(牽引力)と、アグレッシブかつ安定したランニングパフォーマンスというオリジナルからの特性をしっかりと受け継ぎながら(時にはカジュアルなシーンにも受け入れられながら)、今作ではさらなる軽量化に加え、泥落ちの良さや濡れた路面でのグリップ向上などよりタフなオフロードに適応したアウトソール、柔軟で順応性が増したアッパーによる快適な履き心地など、トレイルを走るための基本性能の向上が随所に見られ、前作にも増してよりSPEEDCROSSらしい正統進化を遂げています。GORE-TEXの防水透湿モデル、またラストもノーマルに加えてワイドタイプもラインナップし、トレイルからストリートまで多くの人々に愛される可能性を秘めた一足。

おすすめポイント

  • ウェットな路面やぬかるんだ地形でより安定したグリップを実現する改善されたアウトソール
  • さらに軽量化され軽快に
  • 足全体を優しく包みつつ、トゥボックスもゆとりある快適な履き心地のアッパー
  • 優れた衝撃吸収と反発力を兼ね備えたミッドソール
  • ソール厚が薄くなり、重心が低くなったことでより安定して機敏な走り心地に
  • 二重のシュータン構造による防水性とフィット感の高さ
  • クイックシューレースの使いやすさ
  • GORE-TEXによる優れた防水透湿性

気になったポイント

  • より硬い路面が多いコースや、スピード重視のランナーにとっては、靴の頑丈さからくるカタさが気になるかもしれない。

主なスペック(前モデルとの比較)と評価

項目SPEEDCROSS 6 GORE-TEXSPEEDCROSS 5 GORE-TEX
重量328g 340g 
スタックハイト33mm/23mm35mm/25mm
ドロップ10mm10mm
アッパー
  • Quicklace™
  • SensiFit™
  • リップストップナイロン生地
  • GORE-TEX
  • Quicklace™
  • SensiFit™
  • GORE-TEX
ミッドソールEnergyCell™+EnergyCell™+
アウトソールMud Contagrip®(CONTAGRIP TA)Mud Contagrip®(CONTAGRIP TA)
快適性★★★★★ ※前作よりUP
重量★★★☆☆ ※前作より若干軽く
グリップ★★★★★ ※前作よりUP
プロテクション★★★★☆
クッション★★★★☆
安定性★★★★☆

詳細レビュー

前作よりもスタイリッシュな面がまえになり、履き心地も確実にUPした快適アッパー

外観や履き心地を大きく左右するアッパーは、今回のアップデートで基本的な部分での変化こそ見られないものの、微妙な見直しがなされています。この変更はあまり公式では触れられていないのですが、見た目はもちろん、特に履き心地に関しても確実に改善されている部分です。

それは下写真のように5・6世代を並べて実際に見比べてみると、前作(写真右側)は甲部分だけだった伸縮性・通気性の高いメッシュ部分が、最新バージョンではつま先までをカバーするように変更されていることが分かります(下写真)。

これによってつま先部分はよりフィット感がアップし(下写真)、さらにトゥボックスが柔らかくなったことで足指の動きが妨げられず、より快適な履き心地へと進化していました。もちろんこのGORE-TEXモデルはメッシュの裏に防水透湿メンブレンが貼られているためダイレクトにメッシュの伸縮性が影響するわけではないのですが、それでも圧着部分が省略されたことで柔軟性・可動性は明らかに向上していました。

さらに見た目もよりスッキリ、シュっとしていい面構えに仕上がっています。またこの柔軟性によって足型の狭めの人から広めの人まである程度幅広いランナーにフィットしやすくなっていますが、さらにGORE-TEX以外のモデルの場合はワイドサイズも用意されているため、足型が合わないから履けないという可能性がほぼないのも素晴らしい点です。

もちろん、サロモンシューズの代名詞である「SensiFit™」は健在。靴紐を締め上げれば土踏まずから足全体を優しく包み込むようにフィットしていく、その極上の履き心地はいつもながら素敵です。

甲にあてられたメッシュカバーは目が細かく、小石や砂粒の侵入を防いでくれるありがたい作り。GORE-TEXバージョンでは内側に貼られた防水透湿膜によって水の侵入も防いでくれます。シュータンはこのカバーとは分離して配置された二重構造になっており、ソフトで肉厚な素材が優しく、そしてしっかりとホールドしてくれます(下写真)。

ヒールカップは軽量ながらもかかとをカバーする十分な深さとしっかりと良好なホールド感で相変わらずの頼もしさ。シュータンや足首の周りのパッドは前作以上に手厚く心地よく感じられ、かかとのサポート感も前作以上に気に入りました。

ワンタッチでしっかりとしたホールド感を実現するシューレースシステム「QUICKLACE」も相変わらず便利。シュータンボックスの大きさもちょうどよく、走っている最終のブラつきを防いでくれます。

マッドでタフなコンディションでのパフォーマンスが向上したアウトソール

今回のアップデートの目玉のひとつが、ただでさえタフな路面に強いこのシューズがさらに盤石になったといわれる、再構築されたアウトソールです。

まず素材は数種類あるサロモンのアウトソール・ラインナップのなかでも、とりわけ濡れた路面や柔らかいぬかるみなどでの牽引力とブレーキングに重点を置いた「Mud Contagrip®」を採用。さらにSPEED CROSSの象徴でもある深いくさび形状のシェブロンラグ(下写真の右)は、新たにセンターラインに「Y字」形状のラグパターンをミックスすることによって泥落ちをよりスムーズにし、濡れた柔らかい路面でのグリップ力を向上させています(下写真の左)。

個人的にはそもそも第5世代でも溝の間隔が広くなって泥に強くなっていたこともあり、6で劇的にぬかるみで滑らなくなったとか、泥落ちが良くなったというほどの明らかな変化は感じられていないものの、相変わらず最高!ってことに変わりありません(もし同時に履き比べることができる人がいれば、6の方が緩んだ地面への食い込み具合がよいことが微妙であれ気づくはずです)。

溝の深さは1mmほど浅くなった(約5mm)とはいえ、相変わらず鋭く高いラグは着実に路面をとらえ、岩場や泥などのウェットなトレイルでも臆することなく強く踏み出すことができました。蹴り出し時やブレーキを掛ける際のグリップ力も素晴らしい。またここ最近で改善されたロードでの安定感も損なわれることなく、さらにオールラウンドなトレイルシューズへと一新されています。

ちなみにロードで履きすぎるとこの手のソールはどうしても減りが早いので、ロードで走りやすくなったとしてもこれはあくまでオフロード主体のコース向きであることは言うまでもありません。

高反発・高クッション・高耐久の「EnergyCell™+」と「薄・軽」くなったミッドソールは、走り心地をより軽快に

前モデルからミッドソールに搭載された「EnergyCell™+」は今回もしっかりと実装され、着地時の衝撃吸収力と蹴り出しへの反発力を長時間保つことによって軽量ながらも十分なサポートを提供し、安定感抜群のロングライドを実現します。プロテクションとサポート性を両立させた剛性の高いかかと周りも、優れた安定性に貢献していることも忘れてはいけません。

かかとでのブレの少ない着地から前足部での踏ん張りの利く蹴り出しまでスムーズに連動し、オフロードを走る醍醐味を味わえます。下の動画は下りで障害物の多い、比較的走りにくい場面での試走の様子ですが、しっかりとブレーキングできるし足さばきも円滑に行えていました。

そして今回はヒールの厚みがヒール・フォアともに約2mmほど薄くなり(ドロップは前作と同じ10mmのまま)、重量も若干の軽量化につながっています。微妙な違いと思われがちですが、試しに左右で5と6を別々に履いて走り比べてみると(下写真)、そのライド感の違いは思いのほかはっきりと現れました。

まず何といっても軽くなったことで足運びが楽に。そして足裏と地面の距離が縮まり地面の凸凹感もより繊細に伝わることで、素足で移動している自然な感覚に近づいたといえます。また重心がより低くなったことで安定感も向上。もちろん同時に履いたからこそ敏感に感じられている部分もありますが、走り心地の軽快さ・気持ちよさでいえばはっきりと新バージョンに軍配が上がります。

もちろんソールが薄くなることでクッション性の低下が懸念されますが、薄くなったといってもヒール厚は依然として33(非GORE-TEXモデルは32)mmと決して物足りなさを感じるようなレベルではないのでご安心を。より地面への繊細なタッチを可能にしながら、地面からのごつごつした岩による突き上げもしっかりとやわらげてくれていました。

ハードな障害物や水に対する十分なプロテクション

今回アッパー側面の生地に採用された合成素材は摩耗や引き裂きにも強いリップストップ生地に。またつま先からかかとの周りにかけての補強材は熱圧着され重量を最小限に抑えつつ、岩や木の枝・根などからの衝撃をしっかりと和らげてくれます(下写真)。初代SPEEDCROSSからの伝統である踵周りを引き締めるように張り巡らされた補強は、プロテクションだけでなくヒールのサポート性までも高めてくれます。

高い反発力とプロテクションを両立したSPEEDCROSSのミッドソールは、タフなトレイルでの盤石の快適さと安定感をもたらしてくれますが、一方でランニングシューズのような柔軟なフィーリングを求める人にとってはやや重厚過ぎるかもしれませんので、そこだけは注意が必要です。例えば同じオールラウンダーといってもサロモン センスライドシリーズのようなよりロード寄りモデルのソールの柔軟性を比較してみると、下写真のようにかなり違ってきます。

まとめ:こんな人におすすめ

「トレイルランニング」がまだ「マウンテンレース」と呼ばれていた時代に「軽量でグリップ力があり、保護力のある靴を」というコンセプトのもと生まれた16年目のSPEEDCROSSは、この第6世代でも誕生当初の確固たる遺産をしっかりと受け継ぎながら、より強く、より快適へと着実に進化を続けていました。

新モデルは悪天候や柔らかな悪路の多い日本のトレイルシーンにピッタリであるばかりでなく、よりドレッシーに、走りやすくなったことで、トレイルラン・ビギナーから普段使いメインのライトユーザーまで幅広い層に受け入れられる可能性をひしひしと感じました。実際自分はこのモノトーン柄のシューズを手に入れてから、日常生活に履きまくっております。デザイン性と歩きやすさだけでなく、防水だから雨の日でも気兼ねなく履き続けられるため、自分にとって贅沢過ぎる「究極のオールラウンド・シューズ」として重宝しています。

山を走ってみようと思った人が初めてトレイルランシューズを履くのにふさわしい安全性とバランスの良さを備え、攻めた走りをしたい人からファストパッキングのようなアクティビティで早く歩きたい人、ウルトラライトな装備で歩きたい人など、プロテクションとスピードのどちらも求めるすべての人におすすめの1足といえます。

製品の詳細情報については公式通販サイトをご確認ください

NEWS:高尾山の麓にSalomonのコンセプトショップがオープン!

サロモンは10月1日、高尾山の麓にオープンするTMH.(TAKAO MOUNTAIN HOUSE)に、新たにコンセプトショップ「SALOMON TOKYO TAKAO CONCEPT」をオープンしました。すでに「SALOMON RUNNING BASE TAKAO」で高尾山のトレイルランナーへのサポート施設を運営しているサロモンですが、このコンセプトショップではサロモン製品の販売はもちろん、新たに価値観を共有できるブランドや企業とのコラボレーションやショップ2階のコミュニティスペースを活用したイベント等、サロモンの持つマウンテンスポーツのDNAから生まれる価値観を高尾山の魅力と共に全世界に発信していくとか。

走りやすいコースとサポート施設の充実した高尾山は、トレイルランニングを始めるのにはもってこいの場所でもあります。初めて山を走る人、それからもちろん山歩きを楽しむ人まで、ぜひ一度足を運んでみるといいですよ。

TMH.(TAKAO MOUNTAIN HOUSE)

麓の⺠家をそのまま活かした低開発な設計で再活用する「山の家」TMH. ( TAKAO MOUNTAIN HOUSE )。高尾山が持つ「自然資源」「立地」「集客」「都心との距離感」といった豊富な魅力を最大限に活かし、山や麓での新しい過ごし方を提案し、更なる麓の活性化と価値向上を目指します。

さまざまな企業・ブランドへの期間レンタルスペースとして、高尾山の麓ならではのコンテンツ開発や新しいコミュニケーションの場を提供し、登山はもちろん登山目的以外でも楽しめる場としても広く集客を目指すと共に、山側を代表する「高尾山」の麓の新たな発信拠点となる場を創ります。