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【忖度なしの自腹比較レビュー】長年アウトドア業界に携わる中の人が、小屋泊まりにもテント泊にも使える中型バックパックの注目・人気モデルを背負い比べてみた

周りの山仲間たちがどんどんテント泊デビューをしている中、今年こそはと色々チェックされている方のために、今年手に入る中型バックを比べてきました。

自分が山を始めた30年前と比べると装備は格段に小さく、軽くなっています。昔ならテント泊には60L以上が常識でしたが、テントや寝袋がどんどんと小さく、軽くなり、食料もフリーズドライが充実してきたので、今や30Lクラスのバックパックでもテント泊に使えるようになっています。

そこで今回はこれからテント泊を始める人だけでなく、そろそろ軽量化、コンパクト化を考えてる経験者の方にも参考になればと思い、あまり極端な軽量装備を使わなくても納められる40~50Lクラスで比較して見ました。

“テント泊もできる”中型バックパック比較レビューについて

比較候補を選ぶ

今回選んだ7アイテムはこの春(2021)お店で購入できるモデルの中から新作を中心に、メジャーな人気モデルはもちろん、「実はすごいのよ」という実力派モデルも含め、平たくいえば個人的に気になるモデルを絞りに絞った結果残った7モデルです。また、裏の選考基準は”軽量化”。使っている素材やパーツから軽さを意識しているものを中心にピックアップしました。

さらにトータル重量が10㎏超えてくるので、しっかりとしたフレームがあることも選択基準としました。なおファストパッキングも好きな自分としては、1点だけ「超軽量」クラスのモデルを一緒に試してみました。通常のトレッキング系のパックとの違いもお伝えできればと思います。

  • deuter フューチュラ Pro 40
  • GRANITE GEAR PERIMETER 50
  • GREGORY パラゴン48
  • mont-bell チャチャパック 45
  • Osprey ケストレル38
  • VAUDE ブレンタ44+6
  • (参考出品)Arc’teryx エアリオス45

評価のポイント

今回の比較テストにおける評価指標は以下の6つ。なお、なぜこの指標が大切かということについては、以前書いた「バックパックの選び方」を参照ください。

  1. 快適性・・・背中のフィット感や肌当たり、通気性といった気持ちよく背負うために必要な要素。
  2. 安定性・・・重い荷物を背負ったり、歩いたり動いたりしたときのストレスの無さ、安全性。
  3. 収納性・・・パッキングのしやすさ。容量のそのものというよりかは、出し入れのしやすさ、整理のしやすさ等。
  4. 使いやすさ・・・背面調整機能やストラップやジッパーの品質など、単純な収納性や背負心地に分類できないものも含めた使い勝手の良さ。
  5. 耐久性・・・採用されている生地の強度やパーツ類の壊れにくさ。
  6. 重量・・・容量あたりでの重さ。

テスト環境

今回は低山ながらも北アルプスのような岩場もあるハイキングコースをテント泊装備(概ね10kg)を入れて上り下りし、比較しました。

ザックに詰めた装備はこちら。

  • テント
  • テントマット
  • 寝袋
  • 寝袋カバー
  • マット エアー+クローズドセル
  • クッカー
  • カトラリー
  • ガスストーブ
  • ガス缶
  • テーブル
  • 防寒着(上のみ)
  • レインウェア 上下
  • 着替え(ロングTS2枚、靴下2セット)
  • エマージェンシーキット

上記のキット総重量:5,680g

自分の場合、この装備で外気温マイナス5℃くらいまで、一般的にも夏山であれば十分対応可能な装備です。

テントは比較的新しい軽めのモノですが、寝袋はオーソドックスな3シーズン、マットもエアーの軽めのモノ、プラス保険とリラックス用にクローズドセル。テーブルもあるので、まだまだ軽くする余地は十分あるリストです。実際の山行にはこのリストに行動中の水分と食料がプラスされます。

また自分の場合は水分2L(2㎏)食料は日数によりますが、1~2㎏くらいが加わります。アルコールはお好みで!

テスト結果&スペック比較表

総合評価AAAAAAAAAAAAAB+
アイテムGREGORY パラゴン48deuter フューチュラ Pro 40VAUDE ブレンタ44+6Osprey ケストレル38GRANITE GEAR PERIMETER 50(参考出品)Arc’teryx エアリオス45mont-bell チャチャパック 45
ここが◎
  • 快適性
  • 軽さ
  • 腰への荷重分散
  • 背中の通気性
  • ヒップベルトの安定感
  • コストパフォーマンス
  • コストパフォーマンス
  • 使いやすさ
  • フィッティングの細かさ
  • 軽さ
  • サイドポケット
  • 素材
  • 軽さ
  • レインカバー 
ここが△
  • 背面通気
  • 価格
  • 調整できない背面長
  • サイドポケットへのアクセス
  • 細部の仕様
  • 耐久性
  • 重量
  • フィッティング
  • 安定感
  • メインルームへのアクセス
  • 価格
  • 安定感
  • ヒップベルト 
  • ボトムファスナー
快適性★★★★☆★★★★★★★★★★★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆
安定性★★★★★★★★★★★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★☆☆☆
収納性★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★☆☆★★★★☆
使いやすさ★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★★☆
耐久性★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆
重量★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆★★★★★★★★★★★★★★☆
スペック
生地・素材
  • ボディ:210D/100Dナイロン
  • ボトム:210Dナイロン/135D ポリエステル
  • メイン:210Dナイロン (RECYCLED)
  • ボトム:600Dポリエステル
  • メイン素材 :300Dポリアミド(79%)、ポリエステル(21%)、PUコート
  • コントラスト素材 : 600Dポリエステル50%リサイクルポリエチレンコート
  • メイン=210Dx630Dナイロンドビー
  • アクセント=420HDナイロンオックスフォード
  • ボトム=500Dナイロンパッククロス
100D×210D ロビックナイロン
  • 1000D Cordura
  • 210D コーデュラナイロン6.6、6.5ツイスト 200d LCPグリッド
  • 本体:(正面・トップリッド):100Dバリスティック®ナイロン・トリプルリップストップ
  • (底部、側面):210Dナイロン・リップストップ
フレーム材金属フレーム+硬質ボード金属フレーム+硬質ボード金属フレーム+樹脂ボード金属フレーム、硬質ウレタン金属フレーム+硬質ボード硬質ウレタン+樹脂補強金属フレーム+硬質ボード
実測重量(g)(1リットルあたり重量比)1600(33.33)1620(40.5)1520(34.54)1540(40.52)1400(28)1090(24)1390(30.88)
サイズ (cm 高さx幅x奥行)77×36×2565×34×2467×32×3175×31×29N/A71×37×3176×33×23
メイン収納へのダイレクトアクセス 
耐久荷重(kg)18.1  9〜1618N/A 
背面長 (cm)46~56N/A44~5041~49、49~5846~53.5N/A53
背面調整機能   
レインカバー  
その他特徴       

各モデルのインプレッション

GREGORY パラゴン48

#さすが優等生 #スキのない出来る奴 #総合1位

ここが〇

  • パックは着るもの はい、その通り!
  • 軽さ グレゴリーとしては

ここが△

  • 背面通気 あんまり感じない
  • 値段 やっぱりちょっと高い

バックパック界の大御所、バッグのロールスロイスといったキャッチコピーはなんとなくうなずいてしまうほど。天邪鬼な自分は今まで一度も使ったことがなかったのですが、比較レビューにこのブランドがないのはおかしいということで、軽さ重視のパラゴンをピックアップ。

クラスに必ずいる優等生、しかも身軽でとっつきやすい、みたいな人です。(完璧じゃん!)

パックの命ともいえるショルダーストラップとヒップベルトにはしっかりお金がかけられていて、身体への当たりは優しく、かつ重量はしっかり分散されてしっかり保持するデザイン。

腰だけでなく、肩にもしっかり荷重が分散されるのがドイツ系のパックとの違い。

 

素材やパーツも使いやすさを大前提に、強度と軽量化の両立が意識されていて、それぞれのバランスを考えながら強度が必用な部分とそうでない部分がしっかりと考えられていてさすがといった感じ。

しかもパーツは一個一個操作しやすいし。

気になる点はあんまりないんですが、通気のために開けた背中があんまり意味ない点は指摘しておきたい。せっかくのスペースなのに背中のコンタクト部分にウレタンフォーム使ったらもったいないです。この機能の分だけお金払ってると思うとちょっと残念な感じ。ハイドレーション用のフックも自分のところ専用なところは感じが悪い。ほとんどイチャモンレベルですが。

フロント、サイドポケットへのアクセスも良好。メインルームも問題なし。ボトムへのアクセス。外部アタッチメントもほぼ今どきのスペック通り。ほんとに優等生。ちょっとくらい欠点あったほうが好かれるのに。

今回初めてちゃんと使ってみたグレゴリー。想像通りの優等生加減にげんなり。本当によくできてます。お金に余裕がある方で、失敗したくないという方にはおすすめです。日本の山域ならどこに行っても大きな問題にはならないでしょう。そのかわり山では同じ商品、カラーに必ず出会います。山小屋で間違って持っていかれないように注意しましょう!時間が無くて通販でしか買い物できない人が安心して買える中型バッグです(自分は使わないけどw)。

[グレゴリー] GREGORY PARAGON68 パラゴン48 バサルトブラック S/M 1268441375
GREGORY(グレゴリー)

deuter フューチュラ Pro 40

#一番びっくり #生まれ変わったドイツの雄 #腰で背負わせたらNo.1

ここが〇

  • 腰への荷重分散 さすがのドイツブランドこだわりを感じる
  • スースーする背中 反対側が見渡せます。

ここが△

  • 調整できない背面長 フィッテイングに差がでます。
  • サイドポケットへのアクセス 自分はかなり使うので

2021からブランドロゴデザインも一新したドイツブランドのドイター。主力アイテムもモデルチェンジして個人的には気になっていた商品。昔からごつくてがっしりしたイメージの商品が多いドイツのパックですが、かなりのイメチェン。眼鏡を取ったらイケメンだったみたいな。

重量こそ1,620gと決して軽量とは言えませんが、金属製のフレームとヒップベルトが優秀なんで背負った時の身体への負荷はへたなULパックよりも軽く感じるくらい。10㎏超えてくる場合、腰に荷重がかからないと後半肩が痛くて辛くなって来ます。登りがキツイ後半にこの不快感はいただけない。きれいな景色が楽しめない。その点このパックは左右の腰にしっかり荷重分散されるので肩にはほとんど重さを感じなくてもしっかり歩けます。岩稜帯での足捌きでもヒップベルトが極端に押し上げられることもなくしっかりと腰に密着。

フレームから伸びるテープがヒップベルトに繋がっているのが素晴らしい!

また、背中がガッツリ開いてるため、背中は蒸れないけど、腰の部分にはパット!しかもきちんと仕事してます!ただし、身体から荷室が離れるため、安定感はその分マイナス。この点はもう物理的に両立しないので、最終的には好みの問題になりまね。

収納スペースやアタッチメントに関しては不足しているものはないけど、個人的には十分ではない点もちらほら、サイドポケットのサイズは十分だけど、アクセスが厳しい。相当肩がやわらかくないと背負ったままではボトルは取り出せない。

今回のテストの中で一番気になっていたアイテムでしたが、変化にビックリ。

汗っかきで背中が開いてないと嫌だ!という方には一度はお店で試してもらいたいアイテムです。細かい部分で好みの違いがあるとは思いますが、今どきの必要条件はクリアしています。バックパッキング文化のアメリカブランドとは違って、外付けギミックは少なめですが、アルパインの要素が高い、北アルプスなどならいっそこのくらい割り切った方が個人的にはオススメです。

ドイター フューチュラ プロ 40 アイビー×カーキ D3401321-2237

VAUDE ブレンタ44+6

#ドイツの隠れた逸材 #今回一番びっくりした奴 #最優秀努力賞:総合2位

ここが〇

  • ヒップベルトの安定感 本当にビックリした
  • 価格 これだけ出来ててこの価格 値段設定間違えてない?

ここが△

  • 比べると残念な細部 機能的には問題ないが、コストカットの影響が
  • 細かいパーツの耐久性 使い続けないとわからないが、軽量化の影響からか?

海外での知名度と日本の差が一番激しいファウデ。ドイツ国内ならドイターよりも有名かも。ウェアやテントなども手がける総合ブランドでパックも充実。今回は軽さでこの商品を選んだけど、大当たりでした。隣のクラスに来た転校生、話してみたらチョー良い奴だったってありません?

競合ブランドの調査は完了してデザインに落とし込んでみたら思いのほか良くできましたといったっ感じでしょうか。まずはフィッティングの良さを声を大にして言いたい。特に腰回りのフィッティングが優秀でグレゴリー、ドイターと遜色ないレベル。

背中のスースー感は今回の中で1番です!

機能的な部分は必要十分で、サイズやデザインに関しても問題なし、確かにこれでも機能するよねって感じのコストカットや軽量化。デザイナーは日本人か?って感じのリバースエンジニアリング。

オリジナリティはあまり感じないが、その分そつなくすべてをクリアしています。気になる点があるとすれば、細かい部分のクオリティ、メイン部分はお金がかかっているのですが、細かいところでチープな素材だったり、パーツが大きかったり、掴みづらかったり。ただし大勢に影響はないところばかりなので気にするほどではありません。

このブランドも知ってはいたけど、使ったことがなかったブランドの一つ。今回初めて使ってみてあまりの真っ当さにただただビックリです。その分評価が甘いかも。それでもこの価格でこのパフォーマンスなら自信をもっておすすめいたします。業界の人以外で山で見たことないし。

VAUDE(ファウデ) Brenta 44+6 44+6L 3330(blue sapphire) 14395

Osprey ケストレル 38

#バックパックの水準器 #コスパNo.1 #ツボを押さえた機能性にニンマリ

ここが〇

  • コスパ! この価格でこれだけの機能がついてます。
  • 使いやすさ 細部にわたって合理的かつユーザー本位。

ここが△

  • 重量 ちょっとかわいそう、軽量タイプは別にあります!
  • フィッティング 好みが分かれそう。自分はOKです。

グレゴリーと並ぶアメリカブランドの雄 オスプレイ。こちらはコスパNo.1の異名を世界中で轟かせていて、アメリカだけでなくヨーロッパでも成功しているブランド。今回は軽さ重視のモデルでは無く、ド定番のケストレルを敢えてピックアップしました。とびぬけて目立つわけではないけど、しっかり者で時々ヒカル奴。隠れファンがいるタイプ。

価格がこなれていて、機能性も必要十分なオスプレイ。その中でもド定番のこのバックには目立った穴がありません。テント泊でも十分に使いやすい機能性、使用しているパーツのデザイン、ポケットのサイズなど、あるべきものがついている。

コンプレッションベルトがフロントポケットと連動しており、荷物をしっかりと押さえることと、フロントポケットの中身が飛び出さないことを同時にこなします。昔からこの辺のこだわりはポイントを押さえていて評価が高い部分。

ハイドレーションも収納位置がメインルームの外側についている点も、過去にハイドレーションの中身をメインルーム内でぶちまけたことがある人なら思わずニヤニヤしててしまう点かもしれません。

では欠点はないのかというと、気になる点はあるんです。それはフィッティング。背面のデザインにもよるのでしょうが、腰への荷重は左右二分されますが、比較的中心によりやすく、背中下部にもかかります。

ショルダーは後ろ方向に引っ張られる感じが強く、強制的に姿勢を正されている感じです。背中が丸まりがちな人には違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。このあたりは個人差もあるので一概に欠点とは言えませんが、気になる人には妥協できない点だと思います。

個人的には今回のランナップの中で一番多く使っているブランドのオスプレイ。いつもながら安定のコスパの良さです。日本のどの山域でもきちんと使えるデザインですが、フィッティングはバッグの重要な要素なので、お店で一度背負ってみてから評価してください。

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GRANITE GEAR PERIMETER 50

#フィッテイングへのこだわり #ショルダー・ヒップベルトも調整できるんです #サイズ調整力No.1

ここが〇

  • フィッティング 背面長だけでなくショルダーの取り付け幅、ヒップベルトも調整可
  • 軽さ 金属フレーム付きでこの軽さ

ここが△

  • 安定感 岩稜帯だと結構ストレス
  • メインルームへのアクセス 他と比べるとやっぱり大変

UL界の大御所、バックパッキングの故郷アメリカのグラナイトギアから面白いアイテムが出たのでピックアップしました。

設計思想が基本的に違うので、同列に語るのには少し気が引けるのですが、軽量パックを語るなら候補に入れないわけにはいかないブランドの一つ。クラスでは目立たないけど、部活ではメチャ元気なあの人みたいな存在です。

このサイズでもフレームレスを作るようなUL界ですが、このバックには樹脂製のプレートのほかに金属フレームを装備。しかもショルダーの取り付け位置が高さだけでなく、幅まで調整できるのは比較的小柄な日本人にはうれしい機能です。

また、パック外側には上下2段に分かれたフロントポケット、メッチャ大きなサイドポケット、色々挟めるトップリッドとボトムパネルなど、メインルームに入りきらない装備をあれこれ収納できるので50Lの容量以上に沢山の荷物を運べるのもこのパックの良い点です。

細かいパーツなどにも軽量化へのこだわりが感じられて個人的にはニヤニヤしてしまう部分。他社のパックと比べても概ね遜色ない機能性です。

ただし、調整可能なショルダーとヒップベルトですが、取付方法がポイントで可動域が大きすぎるんです。岩稜帯に入ると左右のブレが大きくて身体が振られてしまいます。これは使用する山域によっては看過出来ない部分で使用する場所を選ぶと言わざるをえません。

腰への荷重も乗ってくるのですが、左右に分散はされずに尾骨の上中心部に集中します。人によっては擦りむけてしまう人もいるのでお店でチェックしてください。

また、このサイズになるとメインルームへのアクセスが上部のみの言う点も少し厳しい。テント場に着いた時に雨が降っていたりすると出来るだけ早くテントを組み立てたいのですが、テントはザックの下の方。テントを出すためにメインの中身を全部外に出すと荷物は濡れちゃいますよね。そんな時に、ボトムのファスナーのありがたさを一番実感できるんです。

個人的には久しぶりのグラナイトギア、バックパッキングの匂いがプンプンするバックパック。北アルプスの岩稜帯を進むような山行にはおすすめしませんが、信州トレイルを3,4泊なんて使い方なら良いお供になりそう。落ち着いたカラーリングやUL系のフォルムはそっち系の人の琴線に触れえるのでは。

mont-bell チャチャパック 45

#班長がちょっと頑張ってスリムになった #軽さNO.1

ここが〇

  • 軽さ 45Lで1400g切りはよく頑張りました。
  • レインカバー 何かあったのかと思うくらいのこだわり

ここが△

  • ヒップベルト なんかついてないみたい
  • ボトムファスナー そこじゃなくて、底を開けてくれ

みなさんご存じの日本ブランドモンベル。長く山ヤをやってる人にとってはここ10数年の変貌ぶりにはただただ驚くばかり。昔からゼロポイントなど、バックパックも作っている言わずと知れた総合ブランドですが、今回は軽量の中型パックをそこからピックアップしました。頑張っているんだけど、ちょっと方向が違う人っていますよね。

メイン素材、補強素材、金属フレームすべて軽量化を考えて選択されていて、トータルの重量1,400gを切っている。このサイズでは十分軽い部類。カタログスペックを見てこのアイテムをピックアップ。あるべきポケットはその場所に、あるべきパーツも揃っていて、この価格は企業努力の賜物。特にビルトインされたレインカバーは今回のテストの中ではピカ一のつくり込み。

サイドポケットはサイズこそ平均だが、しっかり出し入れ出来る。

ただ、使ってみて?マークが一番多かったのも事実。一番気になったのがフィッティング。自分は身長170㎝ 体重62㎏ 背面長49㎝ 現代日本だと比較的平均かやや小さい部類ですが、海外ブランドですか?といったサイズスペック、しかもワンサイズ、背面長の調整なし。

トレッキングパンツのサイズは日本ブランドでM、海外でSを使っているのですが、ヒップベルトが大きい。クッション部分のサイズ、デザインが自分とは全く合わないので、腰に荷重がかからない。尾骨の上に荷重が集まるデザインなのですが、ずれ落ちて下腹部のバックルが食い込む感じ。結果、肩のみで背負っている状態になってました。

また、雨蓋を開けずに直接メインルームにアクセスできるボトムのジッパーアクセスも若干使いにくい。細かく話し出すとポロポロ出てくるので割愛しますが、他のバッグに付いているからうちもつけてます、的なデザインが多く、今回の中ではパーツ類に?が一番多いパックでした。

初めて使ったモンベルのパックですが、サイズが合わないことも影響してか、残念な感じになってしまいました。身長180㎝以上位の方なら全く別の印象かもしれません。このサイズのパックはフィッティングが非常に重要なので、金額的な部分で選択肢が限られる方もお店でしっかりとフィッティングをしてから選んでくださいね。

(参考出品)Arc’teryx エアリオス45

#とんがってるカナダの雄 #ファストパックに殴り込み #便利なポケットいっぱい

ここが〇

  • サイドポケット ここだけで買ってしまいそう
  • 素材 この厚みのリップストップで白ですよ

ここが△

  • 高い 昔よりはやすくなったんですけどね
  • 横ブレ ふつうに使うならそこまで酷くない

泣く子も黙るアークテリクス、ビームスも大好き、山やらない人のほうがいいもん持ってるブランド。

カナダのハーネス屋さんがトップブランドですよ、素晴らしい。良いもん作ってます。今回は変化球と自分の興味もあって参考出品がてらにチェックしました。ちょっとすましたイケメン、どこにでもいるでしょ一人くらい。

ファストパック用と聞いてもピンとこない人には田中陽樹さんといえばわかるでしょうか?彼のように普通の人よりも速いペースで山の中を移動する人達がファストパッカー、彼らの山の形がファストパッキングです。かなり乱暴ですが。早く移動するために装備は出来る限り少なく、重量も軽く、大きさも小さくなっていきます。そんな人達にとって、45Lは普通の70Lクラスのイメージ。このパックはそんな位置づけです。

出来る限り休憩は取らないので、移動しながら食べたり、飲んだりすることが多いこの形態。そのため背負ったままの状態でアクセスできる場所にポケットがいっぱい付いてます。

ショルダーハーネスやヒップベルトはもちろん。サイドポケットも重量で、この部分に比較的大きめの装備もしまってしまいます。レインウェアや大量の行動食、時にはカメラなんかも。このバックはそのサイドポケットが他のモデルと比べて格段に大きく、開口部の調整ができるの最大の特徴。

レインカバーなんて使わないから、縫い目を出来る限り減らしたシンプルな構造と高い撥水、防水性のある素材。

ショルダーストラップも薄めながらもパットの入ったもので幅広、ストレッチするメッシュポケット付き。

気になる点とすれば貧弱なフレームとヒップベルトでしょうか。

ただし、今回比較した軽量中型パックとは使用される状況が違うので、ミドル級の試合にフェザー級の選手が出場するようなモノと考えればご納得いただけるでしょうか?ファストパック用としてみると十分魅力的な商品です。高いけど。

アークテリクス(ARC’TERYX)エアリオス 45 バックパック(aerios-45-backpack)カラー:Pixel

まとめ

今回はこの春に入手可能な中型(40~50L)軽量パックの実地テストレビューをお送りしました。

選定に当たってはお店でチェックするのではなく、ほとんどwebの検索、確認からだったので極端な評価が出てしまったものがあったので、少し申し訳なく感じています。でも、実際に商品を買っての比較レビューなんで、メーカー忖度なしで好き放題書かせていただきました。ただし、あくまでも一個人の感想ではあるので鵜呑みにすることなく、皆様各自ご自身の身体で確認してくださいね。

個人的な順位付けなら(テント泊山行)

  • 1位 グレゴリー
  • 2位 ドイター、ファウデ
  • 4位 オスプレイ

フィッティングの良い順番です。グラナイトギアやアークテリクスはちょっとジャンルが違うので、そんなアクティビティの時ならOKです。モンベルに関してはサイズが合わないから自分は無理です。

本当にきちんとサイズの合ったパックとそうでないものとは雲泥の差があるので、是非機会を作ってお店で相談してみてください。10㎏超えるような場合はヒップベルトで大きな差が出ます。

フィッティングは次の4ステップです。

  1. 骨盤左右の上の方の出っ張りにヒップベルトの中心(大体へこんでいます)を当ててベルトで固定します。
  2. ショルダーストラップを締めます。
    この時、ショルダーストラップの付け根が肩甲骨の上端辺りに来るように背面長を調整してください。
  3. チェストストラップを締めます。
    高さは脇の下の延長線上に来る高さです。
  4. トップスタビライザーを締めてパックを身体に近づけて終了です。
    パック上部とショルダーストラップをつないでいるテープです。
    締め付けすぎるとショルダーストラップが引きあがってズレるので注意してください。

個人的には初めて使うブランドもあってとても新鮮で有意義なレビュー企画でした。一個人とはいえ、皆さんの道具選びの指標の一つとしてお役に立てれば幸いです。

それでは、新しい道具と楽しい山旅を!忖度なしバンザイ!

けろっぱ

山に興味を持ってふらふら入り始めてはや30年以上。山岳会には入らず、本や雑誌、webの情報を自分の身体で検証しながら楽しんでいたら何故か某アウトドアギアメーカーで働くようになっていました。一年中週末は山で遊ぶスタイルで、ピークハント、縦走登山はもちろん、源流域のフライフィッシング、沢登、BCスキー、トレラン、ファストパッキング、オリエンテーリング等々季節に合わせて楽しんでいます。ギアが大好き、気になるアイテムはついついサンプル!と言い訳しながら買っていたのですが、この度縁あってこちらで書かせてもらうことになりました。この業界でお世話になっているのですが、忖度なしで1ユーザー目線でレビューさせていただきます。 新しいギアから広がる皆さんのアクティビティに多少なりとも貢献できるように頑張ります!