比較レビュー:実は実用性高し。クローズドセルタイプのスリーピングマット特集

スリーピングマット(パッド)は、テント泊で必須な道具であるにも関わらず、何かと軽視されがちな気がします。

ただ、特に冬場になると地面がどんどん身体の熱を奪っていくため、いくら良いシュラフを使っていても、マットの性能が低いとシュラフの効果は半減どころか、眠ることができず、疲れは溜まるばかり…。しっかりと目的にあったマットを選ぶことは、シュラフと同様、眠り心地に直結してきます。

そんなスリーピングマットですが、エアー・セルフインフレーティング・クローズドセルタイプの3種類に大別できます。それぞれのタイプに長所と短所がありますが(詳しくは、こちらのページで解説しています)、今回取り上げるのは「クローズドセル」タイプです。

クローズドセルタイプの特徴はというと、まず価格的に手に取りやすい。それだけでなく、空気を入れなくても、広げればすぐに使える気軽さ。空気抜けなどの心配がないため壊れにくい。さらにマットとしてだけでなく、ちょっとした座布団にも、バックパックの背面パッドにもと、作りがシンプルなだけに汎用的な使い方ができるなど、断熱性や快適さでは他のタイプに敵わないとしても、目的やシーンによってはまだまだ活躍できる場面はたくさんあります。近年ではウルトラライトハイキングなどで圧倒的な使いやすさを見せ、見直されてもいます。今回そんなクローズドセルマットにスポットライトを当て、主力製品を比較してみました。

目次

今回比較したスリーピングパッドについて

今回比較したスリーピングパッドは以下の5モデル。スリーピングパッドでもクローズドセルのみとしました。比較結果は、スリーピングマット全体の相対評価ではなく、クローズドセルのスリーピングマットとしての評価です。

  • NEMO スイッチバック
  • Therm-A-Rest Zライトソル
  • BigAgnes サード ディグリー フォーム
  • Evernew FPmat125
  • mont-bell フォームパッド180
  1. 快適性:クッション性や肌当たりによる寝心地・座り心地の良さ、岩や枝の突き上げ等を防いでくれるかなど
  2. 断熱性:地面からの冷気をどれだけ遮断してくれるか。保温性。
  3. 重量:本体の重量そのものの評価(いずれもレギュラーサイズで評価)
  4. 収納性:畳んだときの大きさ。畳やすさ・嵩張りにくさ。
  5. 使い勝手:セッティングのしやすさや畳みやすさ、パッドの上で寝る以外の作業しやすさや、パッド自体を他の用途にも応用できるかなど
  6. 耐久性:単純な破れにくさもですが、使い物にならなくなるリスクがどれだけ少ないか

テスト結果&スペック比較表

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総合評価★★★★★★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★☆☆
アイテムNEMO(ニーモ・イクイップメント) スイッチバック レギュラー NM-SWB-RNemo
スイッチバック
THERMAREST(サーマレスト) アウトドア クローズドセルマットレス Zライト ソル 【日本正規品】Thermarest
Zライトソル
サードディグリーフォーム レギュラーBigAgnes
サード ディグリー フォーム

エバニュー(EVERNEW) Fpmat 125 EBA504Evernew
Fpmat 125

mont-bell フォームパッド180mont-bell
フォームパッド180
参考価格S:5000円
R:6200円
S:4800円
R:6200円
H:2900円
S:4400円
R:5900円
100:2600円
125:3000円
90:3800円
120:4300円
150:4500円
180:5000円
ここが◎
  • 快適性
  • 断熱性
  • 安心感
  • 耐久性
  • 全体的なバランス
  • とにかく軽い
  • 高い汎用性
  • 比較的安価
  • 収納袋が便利
ここが△
  • 収納性
  • 収納性
  • 収納性
  • 断熱性
  • 断熱性
快適性★★★★★★★★★☆★★★★☆★★☆☆☆★★★☆☆
断熱性★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★☆☆★★★☆☆
重量★★★☆☆★★★☆☆★★★★☆★★★★★★★★★☆
収納性★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆★★★★★★★★★☆
使い勝手★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★★★★★★★☆☆
耐久性★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★★☆
スペック
アイテムNEMO
スイッチバック
Thermarest
Zライトソル
BigAgnes
サード ディグリー フォーム
Evernew
Fpmat 125
mont-bell
フォームパッド180
サイズS:51×130
R:51×183
S:51×130
R:51×183
H:51×30
S:51×122
R:51×183
100:50×100
125:50×125
90 :51×91
120:121×51
150:151×51
180:51×181
収納サイズS:13×10.75×51
R:13×14×51
S:14×10×51
R:14×13×51
H:7×30
S:13×51
R:15×51

100:25×2.0×50
125:25×2.5×50

90 :15×5.5×51
120:15×7×51
150:15×9×51
180:15×11×51
厚み23mm20mm11mm5mm16mm
公式重量S:300g
R:415g
S:290g
R:410g
H:57g
S:227g
R:340g
100:160g
125:200g
90 :177g
120:237g
150:297g
180:357g
実測重量R:428R:398gR:364125:199g180:318g
単位あたり重量R:2.34g/cmR:2.17g/cmR:1.99/cm125:1.59g/cm180:1.76g/cm
素材ポリエチレン架橋ポリエチレンEVAフォームポリエチレンポリエチレン
参考使用温度-7℃〜-9〜2℃
R値2.02.6
付属品スタッフバック

各モデルインプレッション

優れた快適性で新たなスタンダードへ
NEMO スイッチバック

長年ThermarestのZライトソルがクローズドセルのスリーピングマットではスタンダードで、競合する相手もほとんどいないほど定番でした。しかしここにきてNEMOがその状態を打ち砕くべくリリースしたのが、このスイッチバックです。スイッチバックは、アコーディオン型・凹凸のある表裏・片面に金属膜を蒸着させているなど、基本的な構造はZライトソルと同じです。しかし細かい部分 に工夫を凝らし、機能性を向上させています。

凹凸は丸ではなく、六角形。この形状が凸部分の形状維持に一役買っています。

まず凹凸部です。各凹凸はすべて六角形をしています。この形状のおかげで凸部分がつぶれにくくなっています。そしてその高さを高くすることにより、温かい空気を溜めるスペースを増やし保温性を高めています。そのおかげで、マットの厚みも増し2.3cmとなり快適性も高めています。この厚みは今回のマットの中では最厚です。厚みを増していますが、Zライトソルより重量・収納時の厚みもほとんど差がありません。

2種類のフォームを使い分け、快適性・耐久性を向上させています。

フォームは、異なる2種類の素材を使い分けています。肌に当たる部分には肌触りの良い柔らかい素材を使い、地面側には長時間使っても圧縮しにくい硬めの素材を使うことにより、より快適性・耐久性を高めています。とわいえR値は2.0で、Zライトソルの2.6と比較すると値上では劣っています。しかし実際に屋外で試使用したときには、断熱性・保温性にそこまで差は感じませんでした。そこまで寒い環境で使ったわけではないので、適正温度下限辺りで使えば差が出てくるのかもしれません。しかしNEMOとしても、そこまで寒い環境ではもっとR値の高いマットを使うか、重ねて使うことを想定し、そこまでR値にはこだわっていないのかもしれません。

性能的には圧倒的な人気を誇るZライトソルに勝る事はありませんが、クッション性を高めながらも重量・収納性を抑えていることから、これまでのスタンダードを打ち破る対抗馬となりそうです。ここに切り込んだ心意気は評価したいです。

保温性と安心感が抜群の絶対王者
Therm-A-Rest Zライトソル

いわずとしれたクローズドセルスリーピングマットの王道、Therm-A-RestのZライトソル。その使用率も非常に高く、キャンプサイトで使っている人を見ないことはないほどです。それ故、安心しきって他のマットと比較検討せず購入している人も多いはずです。しかしそれでも高い汎用性から、どんな種類のハイカー・キャンパーを後悔をさせない安定感があり、間違いのない選択肢の一つです。このZライトソルは2012年に発売されましたが、その基となるZライトは1989年に発売されほとんど形状が変化していないことからも、完成度の高さも伺わせてくれます。

アルミ層が上面ですが、夏は黄色を上面にすることで、体温の跳ね返りを減らし快適に使用できます。

そんなZライトソルは、折りたたみ式のアコーディオンタイプ。実際のフォームの厚みは数ミリですが、規則的に配置された卵のパックのような凹凸により、快適性はある程度は保証されています。この凹凸は快適性を高めるだけでなく、暖かい空気を凹み部分に溜め込み、保温性・断熱性を高める効果も果たしています。加えて片面にはアルミ層を蒸着させ、体からの熱を反射し凹部分に溜め込むことにより、その効果をより高めています。そのおかげで、厚さ数ミリのフォームでありながら、3シーズン使用できるR値2.6のマットとなっています。

NEMOのスイッチバックの凹凸は特殊な配置ですが、他の類似マットはZライトソルを見本に作られ、完成度の高さを伺わせます。

その人気の秘密は耐久性にもあります。ほとんどの使用者が、購入から一度も買い換えること無く何年も使い続けていることでしょう。嵩張るため収納性は悪く、バッグの外に付けざるを得ないので、岩や木に引っ掛けるので皆ボロボロのものを使っています。耐久性が高いというより、多少破れたりしても性能が落ちずスリーピングマットとして使い続けられるということでしょう。今あるクローズドセルのスリーピングマットの基礎を築き上げながらも、未だに高い性能を誇る、まさに道具のお手本のような逸品です。

2層構造でスペック以上の性能を発揮する軽量ロールマット
BigAgnes サードディグリーフォーム

BigAgnesのサード・ディグリーフォームパッドは、今回比較するマットの中では唯一のロールタイプです。ロール式ゆえ敷く時には癖がついているので端を押さえないと反り返ったり、アコーディオンタイプのものより嵩張る、収納に手間取る(数秒の差ですが…)などと、やや使いにくい面はありますが、フレームレスバッグに丸めて入れればフレーム代わりにもなり、尖った岩などの上に敷いても破れるようなことはなさそうなので、やや無茶な使い方にも耐えてくれそうです。キャンプサイトでヨガマットの代わりにもなってくれます!工夫に寄ってはかなり他の使い方がたくさんある汎用性の高いスリーピングマットです。

表のグリーンフォームには、ダイカットという穴が規則的に配置されています。ここに体からの熱がたまり、断熱保温性を向上させています。

素材には、EVAフォームが使用されています。EVAフォームはランニングシューズのミッドソールにも使われる素材で、適度な硬さ・密度・クッション性をもち耐久性も高い素材です。11mmという薄さながら2層に分かれたフォームがそれぞれの役割を持ち、その厚み以上の快適さ・保温性をもたらしています。表面グリーンフォームには楕円の穴ダイカットがいくつも開けられており、ここに体から出る熱を溜め込み、保温性・断熱性を高めています。裏面のグレーフォームはには波状の加工がされていて、フォーム自体を触った感じではやや硬めで快適さは感じられないが、実際凹凸のある場所で寝てみても厚み以上に快適で、地面の凹凸を緩衝してくれているのを実感します。

裏面のグレーフォームは波状加工がしてあるので、フォームは固めですがある程度の快適性が確保されています。

メーカーの参考使用温度は2℃〜−9℃となっています。実際に−9℃の気温下では試していないのでなんともいえませんが、さすがにこの薄さで−9℃はつらいように思えます。スリーピングバッグでいう、エクストリーム温度・最下限ギリギリの温度でしょう。しかし薄さ・軽さ以上の保温・断熱性、そして快適性を持ち合わせているバランスの良いマットレスです。快適性はやや劣るものの、3シーズンは単体で、冬季はエアーマットのブースターとして使うのが理想的です。高い耐久性・比較的安価なこともあり、クローズドセルマットのあの銀ギラしたいかにもな感じが嫌な人には新たな選択肢となってくれるでしょう。

とにかくストイックに無駄を省いて突き詰められた合理性には脱帽
Evernew Fpmat 125

厚みは5mmと超薄。寝心地は快適ではありませんが、岩などの凹凸は緩衝できます。

厚さ5mmの超軽量な折りたたみマットです。5mm厚と今回比較したマットの中では最薄でありながら、適度な硬度・反発性があり、肘をついたり膝立ちしない限り底付きはありません。しかしスリーピングマットといえども、厚みは5mmしか寝心地に関しては地面に直接寝るよりマシ、という程度。しかし実測重量200g以下と超軽量で、場所を気にせず寝床にできるというのは、他のスリーピングパッドに対して、かなりのアドバンテージです。

バッグの背面パッドの代わりに使用する事もできます。ゴッサマーギアのKUMO36の背面パッドとはほぼ同じサイズで代用可能。

しかしこのFpmatの特筆すべき特徴はそれだけではなく、この薄さ、軽さのおかげでかなり幅広い汎用性にあります。折りたたんでも2.5cm厚なのでフレームレスのウルトラライト・ファストパッキング用バッグのフレーム・背面パッド代わり、水を吸わないので降雨・降雪時の座布団・荷物置き、穴が空きやすいインフレート・エアーマットの下敷き、など使い道が豊富です。長期の山行にエアーマットレスを持っていき、穴が空いて使い物にならなくなった!なんてことになると目も当てられません…地面の状態が予測できないような初めてのテント場に行くときなどは、このFpmatはお守り代わりにもなり重宝するでしょう。

この薄さなので断熱性は期待できず、四季を通して使うには厳しい。寝心地もお世辞にも良いとはいえず、やや向上させるという程度なので、単体での使用は相当ストイックなウルトラライトハイカーくらいに絞られてしまうかもしれません。しかし超軽量で汎用性・耐久性も高く、そして価格もかなり抑えられているので、そういった意味ではメインではなくサブとして万人に勧められる良質なマットレスです。

快適性・断熱性・重量・大きさ・価格…恐ろしく無難な一品
mont-bell フォームパッド180

Nemoのスイッチバック、ThermarestのZライトソルと同様、アコーディオンのように折り畳めるマットです。大まかな構造も同様で、両面に凹凸をもたせ地面からは距離を取り冷気を遮断し、体側は熱を溜め込み保温性を上げる、という基本的な構造は変わりありません。

裏面にはやや硬めのフォームを張り合わせ、耐久性・断熱保温性を向上

しかし2つと異なる点がいくつかあります。まずはアルミの層がないという点です。アルミを蒸着させることにより、より寒冷な場面でも使うことができるため、このモデルはその分断熱性・保温性では水をあけられています。しかし裏面には耐久性と断熱性を高めるために、密度の高いポリエチレンの薄い層を貼り合わせ、耐久性・断熱性を向上させています。パッドの厚さも1.6cmで他と比べると薄めで、クッション性も物足りなさがあります。寝るだけであれば、神経質に比較しない限りは不満はありませんが、膝や手をフトした時に着くと、底付きを感じてしまいます。その分収納時は薄くなるのでコンパクトに収納できます。アコーディオンタイプは収納しづらい…という欠点があるので、少しでも薄くなるのは良いポイントでしょう。重量もその分軽く、実測重量で318gとNemo スイッチバックより100gも軽量でした。

専用の収納袋のおかげで、バッグに外付けした際も傷や引っかきを防げます。

唯一収納用のスタッフバッグが付属するモデルでもあります。このタイプのマットは体積がかさばるためバッグ内に収納するのは難しく、移動中はバッグの外につける必要があります。すると木や石に擦れたり引っ掛けたりして傷つけてしまうこともあります。それを防ごうとするとマットに合ったカバーなどを見つける必要がありますが、なかなかいいサイズのものはないので、スタッフバッグを付けてくれるのはかなり気が利いてます。

まとめ

クローズドセルのスリーピングパッドは、耐久性が高いので、長期間付き合うことになると思います。しかし、かなり嵩張るためたくさん保有できない道具のうちの一つでしょう。値段が安めとはいえ、自分のニーズにあったものを購入することで無駄なく済むでしょう。

人気のTherm-A-Rest Zライトソルに待ったをかけたNEMO スイッチバック。正直そこまで明確な差は感じられませんでしたが、スイッチバックはマットを厚くして快適性をより向上させたにも関わらず、重量・収納時の厚みを抑えています。またフォームを使い分け耐久性を高めているため、数年使うと差が出てくるかもしれません。あえていうならば、より快適性重視のスイッチバック、断熱保温性重視のZライトソルを選ぶのが良さそうです。mont-bell フォームパッドは、断熱性もクッション性も劣りますが、夏しか使わない、冬は割り切ってエアーマットレスの下に敷くような使い方をするのであれば、軽量でよりコンパクトになるので選択肢に入るかもしれません。サイズ展開が豊富なのも◎。

BigAgnes サードディグリーフォームは今回唯一のロールタイプです。フォーム自体は11mmと薄く作られていますが、特殊なフォームの形状のおかげで快適性・断熱保温性はある程度確保されています。軽いので、両方が適度に確保された使い勝手のいいマットを探している人にはうってつけです。特にフレームレスバッグを使っているようなウルトラライトハイカーには、ショートサイズもラインナップされていることから、丸めてバッグにいれればフレーム代わりにもなるため機能性を重複させられ合理的な仕様が可能です。Evernew FPmat125も同様にバッグのフレーム代わりにもなる使い勝手のよいマットですが、厚さ5mmと非常に薄く、快適性とは程遠いマットです。しかし岩や枝などの突き上げからは守ってくれるため、なんとか寝られるマットにはなってくれます。その分重量は200gを切る超軽量。ストイックなウルトラライトハイカーや、ファストハイカーは重量と快適性のバランスが取れているので、満足度は高いはずです。

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