比較レビュー:春秋、夏、シーズン別にトレッキングパンツのベスト候補を穿き比べてみた
目次
テスト結果&スペック比較表(中厚手タイプ)
スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら
各モデルのインプレッション
The North Face マグマパンツ
ここが◎
- ストレッチ性
- シルエット
ここが△
- やや生地がゴワつく
細身でしっかりとした作りながら、非常にストレッチ性が高いので動きやすく、ストレスを感じさせません。それに加え、股や膝などの可動部には立体裁断を用い、より高い機動性を実現しています。生地はしっかりしていますが通気性は高く、表裏とも凹凸があるので表は撥水性、裏は汗をかいてもサラサラ感が持続し、快適性は高いです。
ポケットは両腰に2つ、右臀部に1つの合計3つ。臀部のポケットはジッパー付きですが、他2つはジッパーが付いていないので注意が必要です。ポケットは3つともメッシュになっており、ベンチレーションの役目も果たしてくれます。
さすがに冬山のでの使用には耐えられそうにないですが、シルエットもよく、街穿きとしても違和感なく活躍してくれそうです。
Mammut ソフテック トレッカーズパンツ
ここが◎
- ストレッチ性
- 耐久性
ここが△
- 盛夏には暑すぎる
- ややゆったり過ぎるシルエット
生地にMammutオリジナルの二重織り生地 SOFtechを使用した、防風性・ストレッチ性に優れた3シーズン対応のソフトシェルパンツ。生地はやや厚手ながら、非常にストレッチ性はあるので、トレッキングでの動きに対しての機動性は十分確保されています。裏地はやや凹凸がある肌触りの良い生地なので、汗をかいてもベタベタすることはありません。今回の比較モデルの中では、もっとも正統派トレッキングパンツと言える作りです。
ポケットはサイドに2つ、バックに1つの合計3つ。全てジップ仕様で内側も丈夫な作りなので重いものを入れても心配ありません。他にはこれといった機能はないものの、シンプルだからこそ見た目もスマートで、飽きなく長く使うことができます。
3シーズン用とは言いつつ、生地が他のパンツと比べると厚めなので、真夏の低山では暑すぎるかもしれません。しかし早春・晩秋、そしてタイツを穿けば冬の低山までこなせる、出番の多いパンツになるでしょう。
finetrack カミノパンツ
ここが◎
- ストレッチに頼らない高い機動性
- 高い通気性
ここが△
- デザイン
ストレッチ性のある糸を使用しストレッチ性を持たせているのではなく、finetrack独自の方法で編み上げ、ストレッチ性を持たせているため、長年着用してもストレッチ性が落ちません。生地はある程度厚さがあるので耐久性も高く、登山だけでなくクライミングなど耐久性が求められるアクティビティーでも使用できます。腰周り、両ひざは独自の立体裁断のおかげで、生地のストレッチ性に頼らずとも足上げなどはとてもスムーズで、ストレスなく穿き続けられます。
ポケットは、両腰に2つ、右臀部に1つの合計3つ。3つともジップ仕様です。2つのポケットの下にはfinetrack独自の換気システム・リクンベントを採用しているので、溜まった熱気を簡単に放出し快適性を維持します。
撥水性が低下した場合、有料ですが撥水復活サービスもあり、国内ブランドならではの安心感は高ポイントでしょう。ただ、ファイントラックにしては頑張っているスリムなシルエットもやっぱりどこか野暮ったさが残る。。
Mountain Hardwear ロックグラウンドパンツ
ここが◎
- ベンチレーション
- 絶妙なフィッティング
ここが△
- 耐久性
丈夫なリップストップ生地で、横よりも縦のストレッチがよく効くパンツです。フィッティングは適度にタイトですが、膝周りは少し余裕があるのと、膝のスリットのおかげで膝周りの動きはとてもスムーズです。他のパンツに比べタイトすぎずないので、ゆったりとパンツを穿きたい人にはしっくり来そう。生地の耐久性も高いので、様々なシーンで活躍しそう。
ポケットはフロント(メッシュ仕様)2つ、バック(ジッパー仕様)2つ、両モモサイド(メッシュ仕様)2つの合計6つです。フロント・モモのポケットは全て内側はメッシュ仕様になっていて、膝にもメッシュのスリットが入っているので、かなり積極的に換気してくれ、夏でも快適に穿き続けらます。
ただメッシュ部分が多く、縫合部が弱いので、ハードに使っているとすぐ破れが来そう。特に膝のスリットのメッシュ部分は、登山やハイキングのような動きであれば大丈夫ですが、クライミングなど大きい動きが多いアクティビティーだと、すぐに破れてしまいそうです。
Norrona Bitihorn lightweight pants
ここが◎
- 通気性
- 多様なポケット
- 軽量性
ここが△
- 縫い目が多く肌触りがややごろつく
2種類の素材を適所に使い分け、耐久性と機動性を確保したトレッキングパンツ。モモの付け根からひざ下、臀部から膝裏までのよく伸縮する部分にストレッチ素材を配置し、他の部分には薄手のナイロン生地で補強し、耐久性、機動性を両立させています。裾は全体の1/3ほどをファスナーで広げることができ、細身ながら様々なシューズにも対応できます。他のパンツに比べ丈が少し長めですが、裾を絞れるので気になりません。
ポケットはフロント×2(ジップ・メッシュ仕様)、バック×2、左もも(ジップ仕様)の合計5つ。フロントポケットはとても小さいですが、左腿のポケットは大きめでストレッチ素材なので収納力は高め。特徴的なのは両足の膝上側面にあるベンチレーション。これを開けることでかなり積極的に換気が可能です。しかしメッシュ生地があるわけではないので、タイツなど穿いていないと素肌が思いっきり露出するので注意が必要です。他にも裾のフックを靴に引っ掛ければ、ゲイター代わりにもなるという機能もユニークです。
Patagonia コージー・パイク・パンツ
ここが◎
- サイドポケットの形状
- シーンを選ばない
ここが△
- ストレッチ性
見た目はシンプルでスリムながら機能性に溢れ、Pataganiaではありそうでなかったハイキング用パンツです。膝のあたりから裾まで細くなってゆくテーパード仕様で見た目はスリムながら、裾にはファスナーがあり脱ぎ着しやすくハイカットブーツでも綺麗に見せてくれます。生地の厚さは絶妙で摩擦などには強そうで、腰回りの作りはとてもしっかりしていて耐久性は高めです。
ポケットはフロント×2、左臀部、右腿の合計4つ。全てジッパーで閉じることができるので物を落とす心配は不要です。特に腿のカーゴポケットは大きくマチ付きで、6インチのスマホでも収納可能です。パンツ自体の通気性は高くないですが、全てのポケットはメッシュ仕様になっているので、ある程度の換気は可能です。
4Wayストレッチの生地と膝周りの立体裁断のおかげで、ハイキングのような歩く動作には問題ありませんが、高く足を上げるような動作にはストレッチ性が足りず突っ張りを感じるので、歩くだけと割り切れば、使いやすいパンツです。見た目もシンプルなので、普段穿きにも重宝するでしょう。
まとめ
2019年最新モデルや定番モデルから、真夏のトレキングで活躍する軽量・薄手タイプから、春から秋までながーく使える中厚手タイプまで様々なモデルを集めてレビューしてきました。
タイトなフィッティングで、裾に向かって細くなっていくテーパードスタイルのモデルが多く、現在のトレッキングパンツにおけるトレンドになっているようです。そのため見た目がスタイリッシュになることからも、トレッキングだけでなく、街穿きとしてもアウトドアウェア感なく使えるモデルが多くありました。
薄手部門ではArc’teryxのサブリオパンツが薄手で軽量ながら、しっかりとした作りなので、トレッキングから縦走まで使えそうです。しかし薄手なので、気温が下がってくると厳しそうではありますが、薄手でタイトな作りなので重ね着もしやすく工夫次第では息長く活躍できます。Houdiniのルシイドパンツも同じような使い方ができるでしょう。パッカブル仕様の2モデルも下山後やキャンプサイトでの着替え用にもできるので、そういった意味でも夏以外ではメインにはならないが、活躍の幅は広いでしょう。
The North Faceのマグマパンツ、Mammutのソフテックトレッカーズパンツ、finetrackのカミノパンツは適度な厚みのある生地、それでいて動きを妨げないストレッチ性、通気性を兼ね備え、まさにトレッキングのためのパンツといった作りです。しかしマグマパンツ・ソフテックトレッカーズパンツはトレッキング以外の動きをするとややつっぱりを感じるので、他のアクティビティーには行かせそうにはなく、その分カミノパンツは汎用性が高そうです。
ただトレッキングパンツといっても、季節や低山or高山、その他様々な環境に合わせたものがリリースされています。もちろん特化したものをそれぞれ揃えられればいいのですが、なかなかそうもいきません。今回紹介したものの中から、それぞれのパンツの特徴と、自分がトレッキングパンツに求める機能がマッチした一枚を見つけられれば幸いです。