世界のトップ・アウトドアブランドを陰で支える日本のレインウェアメーカーに、優れたレインウェアは何が違うのか聞いてきた

世界が求めた「前垣」品質

過酷な環境での完璧な防水機能が求められるレインウェアやハードシェルといった防水ジャケットの世界で、長らくその確かな防水性能の高さで抜きん出た存在と言われてきているのが、GORE-TEXを使ったレインウェア。

その理由のひとつに、GORE-TEX製品が、設計から最終製品サンプル・製造といった、完成までの数多くの段階で提供元であるゴア社による厳しい基準をクリアしなければならないから、ということはよく知られています。

実際に生産する際には、こうした厳格な水準やテストをクリアできると認められた工場のみが製造を許されているという話ですから、GORE-TEX製品を作れる工場は、その技術とクオリティにおいて、半端な工場であるはずがありません。

その製造を許された工場の中でも、世界の名だたるトップアウトドアブランドからの注文が絶えないレインウェアメーカーのひとつが、日本の、それも繊維王国として知られる石川県にあるというのを知ったのはつい最近のこと。

創業から100年以上、GORE-TEXのレインウェアをはじめとした最先端の高機能レインウェアを作り続けて30年以上、現在でもグローバルブランドのレインウェア製造を手掛けているそのメーカーこそ、石川県金沢市に構える株式会社前垣です。

その前垣がこのたび、企画から製造までをすべて自社で行なった、新しいファクトリーブランドを立ち上げます。

そこで今回Outdoor Gearzine では、個人的にも長らく知りたかったGORE-TEX製アイテム製造の秘密、さらにこれからMakuakeにてお披露目するという新しいブランドとはどんな製品なのかについて聞いてきたことを、数回にわたりお伝えしていきます。

ブランド・プロダクト・素材・工場、すべて高水準を求められるのがGORE-TEXのレインウェア

話してくれたのは、株式会社前垣の佐越さん。

GORE-TEXの製品を作るためには、他の一般的なレインウェアを作るのと比べて何が違うのでしょう?

「確かに、認証工場でしかGORE-TEXの製品が作れないというのは本当です。私たちは日本で30年以上、さらに中国・ベトナムの工場でも認証を受けてきました。しかし、それは工場に限ったはなしではありません。例えば誰かが新しいアウトドアブランドを立ち上げて、私たちにGORE-TEXの製品を発注しようとしてもまず不可能です。はじめにゴア社からGORE-TEX製のプロダクトを作るに値するブランドとして認証を得てからでないと、企画することすら許されないのです。

また防水ウェアの肝であるシームテープ処理についてもGORE-TEXの場合、市販のシームテープではなく、ゴア社が指定したシームテープしか使用することはできません。それはある面で不自由ではあるかもしれませんが、テープが裏地の素材と同じ素材であることによって、貼ったときに馴染みがよく、剥がれにくくなり、ウェア全体としての防水性・品質はしっかりと担保されます。そういった細かい点でさえ、完璧にコントロールされているのがGORE-TEXの衣類なのです。

そうやって承認されたブランドが、承認されたデザインで、承認された素材を使用し、承認された工場で、承認されたテストを通過し、はじめてGORE-TEX製品は生まれるというのが、高品質の大きな理由のひとつです。」

左がGORE-TEXのシームテープ。裏地とまったく同じ素材で作られている。右のようにその他のウェアのシームテープの場合、必ずしもまったく同じ素材とは限らない。

「こうした世界で最も厳しい基準を通過した製品は、やはり他とは違います。私たちはGORE-TEX以外のレインウェアも製造していますので、さまざまなコンセプトのレインウェアを作ってきました。そこで感じるのは、GORE-TEXのウェアを作ったことがあるデザイナーの作ったデザインと、無いデザイナーのデザインでは、明らかに大きな実力差があることです。GORE-TEXじゃないレインウェアの場合、時々「こんなデザインじゃ絶対に防水できないな」とすぐに分かる物があったりします。GORE-TEX製品のデザイン経験者であれば、見た目だけでなく、どうすればしっかりと防水ウェアとして機能するかを知っています。そんな時は、私たちの方で設計の粗をフォローするような提案をすることもよくあるのです。」

最高峰の防水レベルは、職人の動作一つひとつにまで宿る

そして本題の、優れたレインウェアの品質とはどんな部分に現れているのかについて、聞いてみました。

優れたシームテープの圧着処理は、高い防水性には欠かせない技術であるという。

「一般のユーザーにとっては、裏地にシームテープが貼ってあるレインウェアが水漏れしないのなんて当たり前のように思われるかもしれません。しかし、世の中にごまんとある防水製品のすべてが(生地のそのものの性能としてではなく、縫製された衣類として)きちんとした防水機能を備えているかというと、実際にはそんなことはなく、作りの甘いレインウェアは少し過酷な雨になるとすぐに作りの甘い部分から浸水してきてしまいます。もし世の中のすべてのレインウェアでGORE-TEXの防水試験であるレインテストを行えば、きっとすぐにボロが出てくるモデルも多いのでないでしょうか。

特にレインウェアの防水性にとって重要なのが、縫い目などからの浸水を防ぐためのパーツであるシームテープの接着です。シームテープは、縫い目に沿って糊の付いた防水生地を熱圧着して接着していきます。

シームテープの熱圧着処理マシンは、熱風や蒸発した糊が人体に影響しないよう安全配慮までされている。

真っ直ぐの縫い目に沿ってシームテープを貼るだけならば、一見すると比較的簡単に見えるかもしれません。しかしファスナーの上下末端や脇下の縫い目が重なる部分といった複雑な箇所のシームテープ処理については、簡単にはキレイにしっかりと接着できないのが実際です。

そこで生地の質や圧着箇所に合わせて、貼る際の圧力の強弱(強すぎても生地に痛みを生じたり、弱すぎれば防水が甘くなる)、吹き付ける熱の温度、進行スピードなどをすべて別々に調整しています。

段差がある部分、複雑なカーブを描いている部分などは職人の熟練された技と勘も必要になってくる。

さらにテープを貼るマシンの操作についても技術が必要です。ブレがなくまっすぐ圧着することは当然ですが、さらに熟練した技術になってくると長いテープを一度も止まることなく一気に圧着することができます。作業が止まると、その部分は圧着の放熱も止まるため、ごく微妙ですが、接着が甘くなりますから。むらなくきれいに、しっかりとシームテープが接着されている製品は、目を凝らしてじっくり見ると、シームテープの脇に糊が微妙にはみ出しているのが分かると思います。このはみ出しがテープの剥がれを防ぐために重要なのですが、はみ出し過ぎてもいけない。

前垣のレインウェアはこうした細部の品質を積み重ね、さらに製造過程の途中途中で定期的に、決められた時間に決められたパーツで耐水度のチェックを行い、常に防水性が担保されていることを確認しながら作られていきます。それが製品全体としての質・重厚感・安定感につながってくると信じているからです。前垣がGORE-TEXが行うレインテストでも高い合格率誇るのにはしっかりとした理由があります。」

耐水度を計測する機械が工場内に常備され、途中の工程でも防水性が担保されていることを確認しながら生産する。

前垣の新しい挑戦 ~ファクトリーブランド「F/ACSION」のMakuakeプロジェクト立ち上げ~

そんな、長らくGORE-TEXをはじめとした最高品質の防水ウェアを製造してきた前垣が新たな挑戦をはじめます。

世界のトップアウトドアブランドに求められてきた最高水準の高い防水ウェア製造技術を駆使して、その高い品質をアウトドアだけでなく日常でも堪能できる、都会的な全天候型ウェアを幅広く展開していくファクトリーブランド、F/ACSIONです。

12月17日(火)からMakuakeにて特別価格先行販売が開始されます。興味のある方は明日のMakuakeをチェック

このブランド、どんなコンセプトで、どんな特徴や魅力を備えているのか。詳細は次回に続く!

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