【寒冷地の普段使いに最高のダウンジャケット】冬は極寒のコロラド州スチームボート発、Big Agnesの『ショベルヘッドジャケット』は細部まで大満足
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ダウンジャケットといえば、本格的な冬場の防寒具と思っている方も多いでしょう。しかし、6月や9月でも平均最低気温が10度を下回る筆者の住む北海道では薄手のダウンジャケットはほとんどオールシーズンの防寒着です。そんな北海道に住む、筆者が手放しに絶賛できるダウンジャケットをみつけたのでご紹介します。
目次
Big Agnes(ビッグアグネス)の『ショベルヘッドジャケット』とは?
北米でテントの大きなシェアを持つコロラド州に本拠地のあるアウトドアブランド
OUTDOOR GEARZINEの愛読者のみなさんはすでにご存じかもしれませんが、Big Agnes(ビッグアグネス)は北米においてアウトドア用テントで大きなシェアをもつアウトドアブランドです。2021年に創設20周年を迎えた比較的若いブランドですが、コロラド州ルート群の郡庁所在地であるスティームボートスプリングス、人口約13,000人の山までわずか数分という環境にあるオフィスで何度も実際のフィールドでテストを繰り返したユニークで実用性の高い製品を送り出してくるブランドとして多くのユーザーの信頼を勝ち得ています。
そんなビッグアグネスの地元スティームボートスプリングスのファンたちのなかでいちばん人気のダウンジャケットが「ショベルヘッドジャケット」(実勢価格32,780円)だと言います。サイズはS、M、Lのスリーサイズ展開、カラーは今回実際に使用してみたグレープリーフブラックのほかにブラックとインディゴが用意されています。重量は約454g(Mサイズ)です。
おすすめのポイント
- 普段使いにもちょうどいい絶妙な厚み
- 撥水加工済みのリップストップナイロン製のシェル
- 肌触りのよい撥水加工済みのポリエステルライニング
- 胸ポケットに自身を収納できるパッカブル構造
- ファスナー付きの大型ポケット3つのほかに内ポケットが2つ
- まくりやすい袖口の構造
- 通常のダウンより27倍長くドライな状態を保つダウンテック撥水ダウンを採用
- サムホールとフードで上半身をくまなく温めてくれる
- 地球環境に優しい素材と製造工程
気になったポイント
- 強いて言うなら価格
主なスペックと評価
項目 | Big Agnes ショベルヘッドジャケット |
---|---|
カラー | ブラック、インディゴ、グレープリーフブラック |
サイズ | S、M、L |
重量 | 約454g(Mサイズ) |
シェル | ブルーサイン認証済、GRS認証済、撥水加工済ポスト-インダストリアルリサイクル20dリップストップナイロン100% |
ライニング | GRS認証済、撥水加工済ポスト-コンシューマーリサイクル20dポリエステル100% |
インサレーション | 700FP 撥水加工済 ダウンテック[TM] |
寸法 |
|
快適性(着心地) | ★★★★☆ |
保温性(暖かさ) | ★★★★☆ |
携帯性(持ち歩き) | ★★★★★ |
使い勝手 | ★★★★☆ |
重量 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
満足度 | ★★★★★ |
詳細レビュー
こんなに不満のないダウンジャケットは生まれてはじめて
ちょっと信じてもらえないかもしれませんが、北海道千歳市に住む筆者にとってダウンジャケットは冬の防寒具ではありません。極論するなら、7月と8月以外はいつも常備している上着です。春先は6月くらいまで、秋口は9月くらいから朝夕の寒い時間帯は薄手のダウンジャケットを着ています。
筆者の感覚では真夏以外はだいたい念のためダウンジャケットは用意しているといった印象です。さすがに大げさかと思い、Weather Sparkで千歳市の月ごとの最低平均気温を調べてみたところ、6月で12度、9月も12度しかありません。さらに東京の月ごとの最高気温の平均を調べてみると12月で12度、2月が10度、3月が13度です。千歳市の6月や9月の寒い時間帯は、真冬の東京の昼間と変わらない気温という結果でした。
そのため、夏以外はいつもダウンジャケットを用意しているのです。さらに筆者の場合、星空の撮影や朝日の撮影といった仕事のために、真夏でも冷え込みがきつくダウンジャケットが必要になることも珍しくありません。さらに暖房を本格稼働させていない季節の変わり目は、自宅兼仕事場で1人仕事をしているときも家の中でダウンジャケットを着ていることもよくあるのです。
もうほとんど第2の皮膚と言ってもいいくらいの頻度でダウンジャケットを着ているので、持っている枚数も多いですが、買い換えも多く、そしてほとんどのダウンジャケットで多かれ少なかれ、不満があったのです。しかし、今回試した「ビッグアグネス」の「ショベルヘッドジャケット」は、強いて言うなら価格(といってもここ最近のアウトドア用品の価格高騰具合と品質からすれば全然許せる範囲ですが)以外はほぼ不満はなし、ほぼパーフェクトな満足度でした。ちょっとびっくりです。なにがそんなに気に入ったのかを詳しく紹介していきたいと思います。
着ていることを意識しないで済む絶妙な厚さと重さ
季節にもよりますが、筆者は一日中室内着のようにダウンジャケットを着ていることも多いので、重さを感じたり、着ていると疲れてしまうダウンジャケットは問題外です。そのため、しっかり保温してくれながら軽いことがかなり重要。その点ビッグアグネスの「ショベルヘッドジャケット」はMサイズで約454gとなっています。
約454gのダウンジャケットが重いか、軽いかと言われても判断が付かないのが普通でしょう。一般的なフード付きのパーカーが約700gと言われているので「ショベルヘッドジャケット」はその2/3程度の重量です。また、長袖のTシャツが1枚だいたい300g程度と言われていますから、室内着として一日中着ていても、肩が凝ったり、疲れたりすることはありません。ちょっと寒いなぁと思ったときに気軽に羽織ることができます。
さらに重要なポイントとしては、シェルやライニングの素材があります。「ショベルヘッドジャケット」はシェルが撥水加工済ポスト-インダストリアルリサイクル20dリップストップナイロン100%、ライニングが撥水加工済ポスト-コンシューマーリサイクル20dポリエステル100%です。筆者は以前非常に軽いダウンジャケットを試したこともあるのですが、シェルやライニングの素材の問題なのか、動く度にこすれるような音がして、この点が気になり、長く愛用できなかった経験があります。これに対して「ショベルヘッドジャケット」は生地がしなやかで柔らかく、動いても気になる音などは発生しません。そしてライニングにも撥水加工がされており、これには防汚効果もあるので、半袖のTシャツの上に直接「ショベルヘッドジャケット」を着ることも多い筆者にはうれしいポイントです。
また「ショベルヘッドジャケット」はインサレーション(断熱材)として700FPの水に濡れても保温力の落ちない撥水加工済みのダウンである「ダウンテック」を採用していますが、この量も絶妙。FP(フィルパワー)の高い、ダウンがたくさん入っているものがよく感じてしまいますが、ダウンの量が多すぎて厚いと動きづらかったりしますし、逆に少なすぎると保温力が心配なりますが、「ショベルヘッドジャケット」がこのバランスが絶妙と言えます。
袖口、ファスナー、ポケットの数と大きさ、位置、そして動きやすさ
もうひとつ、筆者が常用のダウンジャケットで残念と感じるポイントの1つに「簡単に袖がまくれるかどうか」があります。外で着る防寒着だから袖をまくる必要はない、そう考えているのか、これができないダウンジャケットはかなり多いのです。しかし、自宅での室内着や冬キャンプなどで着るなら、トイレに行って手を洗うこともあるでしょうし、そのまま料理をしたり、食器を洗うこともあります。こんなときに袖がまくれないダウンジャケットは非常にストレスを感じるわけです。
「ショベルヘッドジャケット」は袖口がしっかりとしたゴム仕様なので、簡単に袖をまくることができ、まくった袖も簡単には落ちてきません。とても快適。筆者は「ショベルヘッドジャケット」を着たままの温度調整の際にも袖をまくってダウンジャケットを着てることが多いので、小さなことに感じますが、この点はとても重要です。
また細かいことをと思う方もいるでしょうが、ダウンジャケットのファスナーもとても大切なポイント。着脱の際に使用するメインのファスナーはもちろん、各ポケットのファスナーも気持ちよく開け閉めができることが必須条件と言えるでしょう。しかし、ダウンジャケットの場合、思っている以上にファスナーが生地を噛んでしまい、開け閉めができなくなることが多いのです。ダウンジャケットが脱げなくなったり、財布やスマートフォンが取り出せなくなったりと非常にイライラします。
筆者にとってファスナーの出来があまりにも悪いダウンジャケットは、いくら他が良くても普段使いのレギュラーとしては失格です。これに対して「ショベルヘッドジャケット」はファスナーの開け閉めはとても滑らかで、手袋をしていても操作しやすい長めのジッパータブが付いており、非常にストレスなく使いやすくなっています。
そのこだわりにもかかわらず、筆者はダウンジャケットに最低3つのファスナー付きのポケットが必要だと思っています。理由は財布、スマートフォン、カギ束の3つをそれぞれ違うポケットにしっかりとフタをして入れたいから。キズが付くのでカギ束とほかのものはいっしょに入れたくありません。また、スマートフォンと財布をいっしょに入れると、そのポケットだけ大きく膨らむので格好が悪くイヤなのです。結果、最低3つのファスナー付きポケットが必要になります。
「ショベルヘッドジャケット」はファスナー付きの左の胸ポケットが1つ、ハンドウォーマーポケットが左右に1つずつでこちらもファスナーが付いているので3つのファスナー付きポケットがあります。そして、すべてが大型のスマートフォンが十分入るサイズ。さらにハンドウォーマーポケットの裏側にメッシュの内ポケットが2つ付いているので、ポケットの数や大きさは十分と言えます。個人的には右胸の部分にもファスナー付きのポケットか、内ポケットがあると、さらにうれしいです。しかし、ファスナー付きのポケットが2つ、ものによっては1つといったダウンジャケットも多いので、ポケットの充実ぶりはとてもうれしい。
筆者は新しいダウンジャケットを買うときなどは、必ず試着の際に身体の左右から大きく腕を頭の上に上げ、バンザイのポーズから伸びをしてみることにしています。さすがにアウトドアブランドやスポーツブランドのダウンジャケットでこの動きができなかったことはありません。しかし、ファッション系のブランドのダウンジャケットで、この動きがかなり行いにくいものがあり驚いたことあります。
普段使いもするダウンジャケットですが、冬のキャンプや車中泊の際には寒ければ、ダウンジャケットを着たまま寝ることも珍しくないので、動きやすさは最低限の条件です。「ショベルヘッドジャケット」は実際に着たままお昼寝などをしてみたのですが、非常に動きやすいうえに、レギュラーフィットなので動きやすく、全体にやわらかいので熟睡できます。そのまま眠れる点も筆者にとってはダウンジャケットの重要な性能と考えています。
「ショベルヘッドジャケット」は、これらの細かなポイントでも不満を感じることはありませんでした。かなり優秀です。
基本性能はほぼ理想的、さらにプラスαの機能にも大満足!
重さや生地の感触、袖口の仕様、ポケットの数、動きやすさなど、筆者にとってはダウンジャケットの基本性能といった部分だけでも「ショベルヘッドジャケット」のようにほぼパーフェクトというものはほとんどありません。いままでは、着てきたダウンジャケットではどこかしら我慢していたわけです。
そして「ショベルヘッドジャケット」は高い基本性能だけでなく、プラスαといえる機能も備わっています。それが胸ポケットに「ショベルヘッドジャケット」自体を収納できるパッカブル構造とサムホール、フードです。
胸ポケットに「ショベルヘッドジャケット」自体を収納できるパッカブル構造は、カタログの表記されていたものの「ショベルヘッドジャケット」はかなりしっかりしたダウンジャケットなので、いくら大きめとはいえ本当に胸ポケットにすべてを収納できるのか不安になるほどです。しかし、結構きつめではありますが裏返した胸ポケットにすべてが収まり、かなりコンパクトに収納できます。キャンプや登山といったアウトドアの際にはもちろん、旅行や出張先にもう1枚上着を持っていくか悩んだときにも「ショベルヘッドジャケット」は非常にありがたい存在になってくれます。
「ショベルヘッドジャケット」には袖口に親指を入れて、手のひらまでを袖のなかに包み込むサムホールと小さなツバの付いたフードが装備されています。筆者は、この2つの機能がどちらかと言えば嫌いです。
サムホールはあるもののほとんど使わないことが多いですし、フードは使わない時以外は邪魔に感じることが多いからです。ですが「ショベルヘッドジャケット」を着るようになってから、この感覚が変わりました。袖口がしっかりとしたゴム仕様でまくりやすく、気持ちがよいと言う話はすでにしたのですが、この袖口とサムホールとの相性が非常にいいのです。サムホールを使うとゴムで絞られた袖口が手のひらを包んで指の根元をしっかりカバーしてくれるので使いやすく、しかも暖かい。手袋を忘れたときなどに本当に便利です。
フードについても本当に寒いときはあると便利なのですが、普段使わないときのほうが多いうえに、バタついたり、動く度に揺れたりとマイナスの方が多く感じるのでダウンジャケットはフードなしを選択することが多いのです。しかし「ショベルヘッドジャケット」のフードはかぶっていない時は首の後ろにしっかりと収まってバタついたり、揺れたりすることもほとんどありません。しかも、実際にかぶるとかなり首回りの構造とファスナーでしっかりと頭部を覆ってくれます。
おかげで「ショベルヘッドジャケット」は指先と目の周り以外の上半身をしっかりと保温してくれるダウンジャケットになっています。プラスα的な機能も実用度が高く、とても満足と言えます。
まとめ:すべてに大満足な「ショベルヘッドジャケット」
北海道千歳市よりも寒いコロラド州スティームボートスプリングスでデザインされた1枚
北米でテントの大きなシェアをもつビッグアグネスのダウンジャケットというくらいしか予備知識のなかった「ショベルヘッドジャケット」。実はこの原稿を書いている10月頭でも筆者の住む北海道千歳市の外気温は約7度。まだ、暖房はつけていないので「ショベルヘッドジャケット」を着て原稿を書いています。着る度に本当によくできていると感心します。結果、どんな人たちがデザインしているのか、気になりビッグアグネスのオフィスがあるコロラド州スティームボートスプリングスについて調べてみました。
すると、もっとも暖かい7・8月ですら平均最低気温が10度以下、6月や9月には平均最低気温が5度を下回る寒冷地。冬の気温も北海道千歳市よりも寒いのです。このスティームボートスプリングスで1年を通してキャンプや登山、スキー、サイクリング、釣りなどを楽しんでいるビッグアグネスのスタッフたちがデザインした「ショベルヘッドジャケット」が同じような生活をしている筆者の要望をほぼすべて網羅しているのは当然といえるのかもしれません。
まさに年間を通じて「ショベルヘッドジャケット」を愛用しているであろう寒冷地に住むビッグアグネスのスタッフのアイデアが詰まったダウンジャケットが「ショベルヘッドジャケット」ということなのでしょう。今年の冬キャンプはとても快適に過ごせそうです。とてもおすすめです。また、ここまでビッグアグネスのダウンジャケットがよく出来ていると、同じビッグアグネスの「フレイタージャケット」もぜひ試してみたくなります。
「Big Agnes ショベルヘッドジャケット」の詳細と購入について
製品の詳細については公式サイト「ショベルヘッドジャケット」をご覧ください。
齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)
元月間カメラ誌編集者。北海道の絶景や野生動物の姿を追い求めているうちに、キャンピングカー・車中泊でのアウトドアライフにどっぷりハマっていました。現在2歳の息子、そして妻と全道を巡っているうちにカメラ・レンズはもちろん、アウトドア・キャンプ、子育て、PCガジェット、料理に、ダイエットまで経験したすべてを撮影し、執筆するフォトグラファーライター。OUTDOOR GEARZINEではキャンプ及びキャンピングカーでの生活クオリティを上げる「QOCL(Quality of camping life)向上委員会」を中心にさまざまな記事を執筆していく予定です。