ボトルか?ハイドレーションか? ~山での水分補給をどうするか問題~

便利すぎるハイドレーションシステムか、安心のウォーターボトルか

ぼくが山にのめり込みはじめた90年代、水分補給といえば水筒、水筒といえばなぜか「エバニューポリタンク」の一択でした。それが今、ふと気がつけば、アウトドアにおける水分補給ギアのバリエーションは20年前と比べて驚きの発展を遂げています。今となってはあのとにかく頑丈で重厚なボディも、医療用具のように味気ない半透明のデザインも、どんなに澄み切った天然水をも「ポリタン水」に変えてしまう淡いケミカル臭も、もはやセピア色の懐かしい思い出です。そして時代は「より軽く」「よりコンパクトに」「より効率よく」「より安全に」さまざまに進化しています。その中でも特にその見た目的に目を引くのがハイドレーションシステムでしょう。

Platypus(プラティパス) ホーサー 2.0L 25025

確かに見た目は相当奇抜です。ぼくもはじめて持っていたときには周りのメンバーから相当バカにされました(汗。点滴みたいなその見た目以上に、なにより管をくわえてちゅーちゅー飲んでる姿が正直、相当やばいです。それでも使った人にしか分らない、一度使うと病みつきになるその理由は、それを補ってあまりある便利さにあります。現在多くのメーカーから最新モデルが出続ける、現在アウトドア水分補給機器業界で最もホットな領域、それがハイドレーション。

一方、昔ながらの水筒(ウォーターボトル)も負けてません。ボディは薄く軽く、丈夫に、そして何より匂わない、身体に安全とか。材質も昔ながらのアルミや、新しいステンレスなどの金属製ボトル、ポリタンクの弱点であった化学物質の溶け出しを防ぐ新しい合成樹脂ボトル、飲んだらコンパクトにたためるフィルム状ボトル、そして以外と便利なペットボトルなどなど、それぞれに特徴があって、ハッキリ言ってどれを選ぶべきか分らない!そんなみなさんのために、次の章でそれぞれの比較表を作ってみましたので、水筒難民のみなさま、ぜひ参考にしてください。

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山の水分補給方法まとめ

項目 プラスチックボトル 金属製ボトル フィルム状ボトル ペットボトル ハイドレーションシステム 保温ボトル
飲みやすさ
補給しやすさ
収納性
自立性 ×
中身の視認性 × ×
容量の多様性 × ×
洗いやすさ × ×~◯
価格 × ×
重量 ×
参考値(1L重量) 180g(ナルゲン広口1L) 174g(Klean Kanteen 800ml) 38g(Platypus PLUSボトル1L) 35g(ペットボトル500ml) 90g(Platypus HOSER 1L) 390g(サーモス 山専ボトル900ml)
耐久性 ×
バリエーション
メリット 価格・容量・形状・パーツ類のバリエーションが豊富 環境に優しく、衛生面での安全性と耐久性 軽さと飲み終わった後の収納性 最軽量、安価で使い捨て いつでも手軽に水分補給 暖かい飲み物を携帯できる
デメリット
  • 非エコ
  • 大きい容量がないなどバリエーションが少ない
  • 価格が高め
  • 柔らかいので飲みづらく、補給しにくい
  • 洗いにくく、乾きづらい
  • 非エコ
  • 壊れやすい
  • なくなるまで量が分かりにくい
  • 洗いにくく、乾きづらい
  • 重い
  • 価格が高い

プラスチックボトル

主にはポリカーボネートなどの合成樹脂でできた水筒で、昔は分厚くて、長時間水を入れているとケミカル味がついたりしてました。ただ最近の製品は味もつかないし、身体に有害なBPAという物質も含まなくなり、アウトドアでも依然としてポピュラーな水筒といえるでしょう。サイズ・形・色・ブランドもたくさん出ているため、飲み口の大きさやパーツ類のバリエーションも選べますので、工夫次第でかなり使いやすいと思います。主なブランドにnalgeneCAMELBAKなど。

金属製ボトル

登山黎明期の水筒と言えばアルミですが、最近ではプラスチックボトルのBPA問題への回答として近年急速に進化してきたステンレス製のボトルに人気が出ているように感じます。金属製ボトルの2大プレーヤーはそれぞれ特徴が微妙に違いますが、双方に共通した特徴は、プラスチックに比べて環境に優しい素材であるということ(アルミは一部内側にコーティングされている製品もある)。その他の特徴はプラスチックボトルと大きく変わるものではなく、容量やパーツ類などの選択肢も次第に増えてきています。昔は決定的に重かった重量も、現在ではかなり拮抗してきているみたいですし。主なブランドにはKlean KanteenSIGGLAKENなどがあります。

フィルム状ボトル

プラスチックの多層ラミネート構造で、大きな特徴は使用後クルクルと丸めて収納できるところ。出てきた当初は相当にアリだと思いましたが、構造上、飲み口は基本的に小さく、柔らかいので持ちにくいため、やや飲みにくかったり、袋が広がりにくいので、沢の水をすくったり水の勢いが少ないところでは補給しづらい、そして何より洗いにくく乾かしにくいという欠点もあり、なかなか手放しにおすすめできないのが現状だったりします。主なブランドにはPlatypusエバニューなど。

ペットボトル

コンビニで売っている、いわゆるペットボトルです。元々山用に作られているわけではないので、「軽くて、手軽、使い捨て可能」以外のメリットはありません。ただ山をはじめたばかりのうちは何かと物入りだと思いますので、ある意味これくらいで十分とも言えます。非常に壊れやすいので間違っても冬山とかハードな環境には持って行けませんね。

ハイドレーションシステム

プラスチックのフィルム状ボトルにチューブを取り付け、その先から水を飲めるようにしたもの。なにより画期的だったのは、こまめに、歩きながら飲めるようになったことで、従来水は休憩して採るものという常識が覆ったことです。こまめに少量ずつとるということは科学的にも理にかなっているといえ、より安全に登山ができるようになったという意味では、飲んでる姿は置いておいても相当な革新的ギアです。ただまだ改善の余地はあります。飲み口をつまむか自分から吸わなければ水は出てこないため、ボトルより飲みにくいです。特にゼーゼー言いながら飲むのは大変。そして一部のアイテムはやはりフィルム状ボトルの常で、洗いにくい。主なブランドにはCAMELBAKPlatypusなど。

保温ボトル

魔法瓶のように断熱性を持った多層構造の水筒。他のボトルと違い、この種類の水筒は「保温(保冷)」目的以外では利用するメリットはありませんが、冬山(もしくはそれに近い時期に山に登る)を視野に入れたハイカーならば、その特定の目的のために1本持っておいて損はないでしょう。主なブランドにTHERMOSなど。

何がベストチョイスなのか?

結論から言うとそれぞれに特徴がありどれを選んでも何かしらの弱点があるため、ハッキリいってこれだけ持っていけば完璧というものは無いと言えます。そこでぼくが最終的にたどり着いたのは必要な量をいくつかのボトルに分けて持っていくという方法、それも現在のところベストな組み合わせはズバリ

  「 ハイドレーション & ステンレスボトル 」

です。この理由はいくつかあるので、それぞれ目的を説明します。

(1)ハイドレーション

歩きながらこまめに必要な量の水分補給ができるという意味で最も優れているハイドレーションには、粉末スポーツドリンクを少量混ぜて、行動中に使います。大体分量は1日めいっぱい行動する場合には2L、3~4時間の短い距離なら1L程度もっていきます。万が一飲み過ぎて途中水が尽きたとしても、別にボトルがありますので中身が見えないというデメリットはカバー出来ます。

(2)ステンレスボトル

このボトルの中には必ず家で水道水を入れていきます。これは万が一ハイドレーションが尽きたときの飲料水として使う他、万が一怪我をして傷口を洗い流したり、冷やしたりするなど、何かあったときの緊急用として常時尽きないように最後まで持っておきます。このため容量は人それぞれでよいと思いますが、最低でも500mlは必要でしょう。なお「ステンレス」であるのは個人的にかっこいいボトル、愛着のある形が好きだからという理由以外あまりこだわりはなく、ナルゲンボトルでも、アルミボトルでも、それぞれの好みでいいと思います。

ちなみに、このように小分けにすることでパッキングがし易くなるという副次的なメリットもあります。人によってハイドレーションが嫌いな人はボトルを2本にするもよし、予備ボトルをペットボトルにするもよし、そこは個々人でアレンジが可能ですが、この「コンビでもつ」という考え方はどんな人に対してもおすすめです。

まとめ

それぞれのボトルの特徴、そしてぼくのおすすめ「ハイドレーション&ボトル」の二刀流で、これからのボトル選びの参考になればと思います。もちろん山登りでは「こうでなくてはいけない」というルールはありません。すべては自己責任、だからこそ、それぞれ自分のやり方を、工夫して探していくことが愉しみであったりもするので、これからもこのベスト水分補給問題は終わりそうにありません。

 

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