山好きなら1着買っておいて損はない、ワークマンの優秀すぎる秋冬低山ハイキング向けトップス「THERMOLITE エコモード サーマルクルーネック&ブロックフリーストレッキング クルーネック」実践レビュー
目を疑うような価格から、金銭感覚がバグってしまうワークマン(褒めています)
最近ではデザイン性も高く、アウトドアブランドが作るウエアとの差が縮まっているように感じているのは筆者だけではないでしょう。
今回はそんなワークマンで見つけた、秋冬のハイキングにちょうど良さそうなトップス2点「THERMOLITE エコモード サーマルクルーネック&ブロックフリーストレッキング クルーネック」をご紹介します。
この2着、どちらも基本的には行動中にアンダーウェアやベースレイヤーの上に着る「ミッドレイヤー」的な役割を担うトップスですが、これらは行動中に適度な保温性を提供しつつ、同時に汗をかいてきたときにも蒸れを解消して汗をすばやく蒸発させるだけの通気性や速乾性が必要になってきます。広い意味でいわゆる秋冬のハイキングに便利な「行動保温着」というやつ。
そんな「保温・通気・吸汗・速乾」といった様々な機能をこなす高機能レイヤーながら、2つとも相変わらずびっくりするほど安い!……となるとどうしても気になるのが山で使った時の機能性や使用感ですよね。いくら安くても劣悪なものには一円も払いたくありません。
そんな疑問にこたえるべく今回しっかりと山で使ってきました。初秋から初冬にかけて、マイナス10℃にもなる初冬の八ヶ岳から、奥秩父、丹沢、奥多摩でしっかりとテストしてきましたので、この時期に山を歩く人にとって役に立つレビューができると思います。
なお「そもそもミッドレイヤーについてもっと詳しく知りたい!」という方は、以前特集した解説をぜひご覧ください。
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それではさっそく見ていきましょう。
目次
THERMOLITE エコモードサーマルクルーネックの主な特徴
無地のシンプルなデザインのTHERMO LITEエコモードサーマルクルーネック(以下サーマルクルーネック)は素材に100%リサイクルペットボトルから作られた素材が使用されており、アメリカのインビスタ社が開発した「THERMO LITE®︎(サーモライト®︎)」がに使用されたウエアです。
THERMO LITE®︎とは中空ポリエステル繊維のことで、軽量で保温性に優れています。
お気に入りポイント
- 通気性の高さ
- 軽さ
- シェルを着た時に発揮する保温力の高さ
- 速乾性の高さ
- 日常着でも不自然のないデザイン・しなやかさ
気になったところ
- 耐久性
- 首周りのピタッとしたフィット感
主なスペック
アイテム名 | THERMOLITE エコモードサーマルクルーネック |
---|---|
重量 | LLサイズ:142.6g(実測値) |
サイズ | S、M、L、LL、3L |
素材 |
|
Outdoor Gearzine評価 | |
快適性 | ★★★★☆ |
保温性 | ★★★☆☆ |
蒸れにくさ | ★★★★★ |
通気性 | ★★★★★ |
動きやすさ | ★★★★☆ |
速乾性 | ★★★★☆ |
耐久性 | ★★☆☆☆ |
重量 | ★★★★☆ |
おすすめのシーン | 春〜秋のハイキングや、肌寒い季節でのトレイルランなど発汗の多いアクティビティ |
通気性の高さ
サーマルクルーネックはTHERMOLITE (サーモライト) という化学繊維を素材に使用しており、保温性に優れるだけでなく、通気性が高いのが特徴です。
サーマルクルーネックは通気性が高く、生地の向こう側が透けてみえるほど。他の素材でいうと、見た目などの感じはアルファダイレクトに似ていますね。
実際に着用すると、想像以上の通気性の高さを実感できました。風が吹くとおそろしいほどスースーします。樹林帯で行動中で汗をかくようなシーンでは通気性の高さから汗のかきすぎやオーバーヒートすることなく行動できました。行動中の程よい風がスーッと体にあたるのは快適でした。
長時間の行動において発汗中も蒸れを感じることはなく、風が通ることによりたちまち乾いていくためベタベタしたり、不快感はありません。
軽さ
サーモライトという素材は軽いのも特徴。筆者が着用しているのがLLサイズですが、重量は 142,6g(実測値)と軽量。UL志向のハイカーにとっては魅力的な重量ではないでしょうか。
テストしたのは初秋かた初冬にかけてですが、初夏から夏にかけても保温着として活躍してくれそうですし、低山ハイクであっても寒さに不安のある時など、バックパックに忍ばせておきやすいです。
シェルを着た時に発揮する保温力の高さ
サーマルクルーネックの一番のおすすめポイントは通気性の高さと保温力のバランスです。私の経験上、この二つは両立させるのが難しく、どちらかを優先させるとどちらかが犠牲になってしまうことが多く、レイヤリングを決める時の悩みの種でもあります。
サーマルクルーネックは高いレベルで両立させており、サーマルクルーネックがもっとも効果を発揮するのがシェルジャケットと組み合わせた時です。
サーマルクルーネックの上にシェルジャケットを着用すればサーモライトという素材が保温力を最大限に発揮し、シェルジャケットを脱げば今度は通気性を発揮してくれます。
風が吹いた時には通気性の高さから寒さを感じてしまうこともありますから、単体での使用ではなく、シェルジャケットと合わせて使用することで、サーマルクルーネックは高いパフォーマンスを提供してくれるでしょう。
通気性は抜群ですから、着用していても汗はすぐに乾いてくれるので、行動中の不快感を軽減してくれます。
厳冬期の雪山での使用となるともう少し厚手のウェアをチョイスしたいかなと感じましたが、丹沢や奥多摩など比較的標高の低い山ではオールシーズン活躍してくれる手応えを感じました。
日常着でも不自然のないデザイン・しなやかさ
シンプルな無地のデザインで、生地はしなやかなため、着心地が良く、サイズ感もスリムすぎず、ワイドすぎずちょうどいい感じで、普段着しても違和感なく着用することができます。筆者は週に2〜3回は着用しています。通気性の高さと保温力のバランスの良さは、温かい電車内と外を行き来するような時にも活躍してくれますよ。
気になった点としては耐久性と首周りのフィット感。筆者がヘビロテしているというのもありますが、使い始めてすぐに表地は背中や肘などから起毛した生地が潰れてしまいます。性能の低下を感じることはありませんが、少し残念なポイントでした。
首周りはややタイトなフィット感で好みが分かれるところ。ピタッとしている方がフィット感が高く、筆者はもう少しゆとりが欲しかったかなと重いました(それでも週に2〜3回は着用していますから気に入っています)
ブロックフリーストレッキングクルーネックの主な特徴
熱圧着・無縫製仕様でゴワつきが抑えられた胸のポケットが特徴のブロックフリーストレッキングクルーネック。UVカット生地が採用され、紫外線対策としても有効。裏地はブロック構造になっており、保温力と汗抜けの両立が図られています。両脇はメッシュ構造になっていることで汗や熱を効率よく放出することができ、行動中のオーバーヒートを防いでくれます。
袖には指を通せるサムホールがついており、寒さを感じた時は手の甲を保温することがで可能です。
お気に入りポイント
- 伸縮性の高さ
- 通気性の高さ
- 単体としての保温力の高さ
- サムホール付き
気になったところ
- 胸ポケットのジッパーが硬い
主なスペック
アイテム名 | ブロックフリーストレッキングクルーネック |
---|---|
重量 | LLサイズ:266.5g(実測値) |
サイズ | S、M、L、LL、3L |
素材 | ポリエステル、ポリウレタン |
Outdoor Gearzine評価 | |
快適性 | ★★★★☆ |
保温性 | ★★★★☆ |
蒸れにくさ | ★★★☆☆ |
通気性 | ★★★★☆ |
動きやすさ | ★★★★☆ |
速乾性 | ★★★★★ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
重量 | ★★★☆☆ |
おすすめのシーン | 秋のトレッキング~冬の低山ハイキング、厳しい寒さでのトレイルラン |
詳細レビュー
伸縮性の高さ
まず袖を通してみて驚いたのが伸縮性の高さです。縦横どちらもしっかりと伸縮してくれますので着用時に体の動きを妨げることがありません。
秋冬の登山やハイキングではミッドレイヤーは常に着用し続けるウェアでもありますから、伸縮性が高く、着心地がいいのは快適に行動するための優先事項です。
通気性の高さと保温力の高さ
ブロックフリーストレッキングクルーネックの一番の特徴と言えるのがブロック構造になっている裏地です。
まるでPOLARTEC®︎(ポーラテック®︎)のパワーグリッドを彷彿させるブロック構造は見た目通り、保温性と通気性の高さを感じることができました。ポーラテック®︎はこれまでの筆者のアウトドアアクティビティにおいて常に保温着としてお世話になってきた素材。であるからこそこれは見逃せないところ。というか、購入を決めたポイントもここでした。ポーラテックと比べ性能はというと、耐久面も含めて総合的にはポーラテックに軍配が上がりますが、寒さを感じる時にはフリース地が保温してくれ、行動中は汗を吸ったフリースがブロック構造の溝から通気し、速乾してくれます。
さらに熱や汗の溜まりやすい脇はメッシュ地になっていることで効率よく熱を放出してくれるためブロック構造の特徴と合わせて高い通気性を実現しています。
単体としての保温力の高さ
先に紹介したサーマルクルーネックとの違いとして、ブロックフリーストレッキングクルーネックの方が単体使用に適しています。表地がしっかりとしているため、単体で使用した時も程よく保温し続けてくれます(言い換えればサーマルクルーネックより通気性は劣るということですが)
UVカット生地が採用されいることから紫外線対策を考えている人にもおすすめです(冬の紫外線をなめていると痛い目に遭いますから注意しましょう)
晩秋の八ヶ岳や北アルプス・燕岳で着用した時は日中の気温が0〜5℃ほどだったにも関わらず、アンダーにこのブロックフリーストレッキングクルーネックだけで行動することができました。ただし、稜線など風の吹きやすい場所では上にシェルジャケットを羽織り、風をしっかりとシャットアウトすれば冷えを感じることなく行動できるはず。
サムホール付き
ブロックフリーストレッキングクルーネックには親指を通すことができるサムホールが備わっているため、寒さを感じるときには手の甲まで保温することができます。
サムホールは行動中に手首周りが露出するのも防ぐことができるため低温環境でのアウトドアにはありがたい機能です。
胸のポケットは開閉が困難
アクセントにもなっている胸のポケットは生地の伸縮性の高さが災いし、開閉がしにくいのが残念だったところ。このポケットがあることでスポーティーにみえるので、いっそのことない方が普段着にも使えていいのにと思ってしまいました。
まとめ:秋冬の低山ハイクで大活躍!価格に対しての性能が高すぎるマストバイウェア!
ワークマンのおすすめミッドレイヤーを紹介しました。
軽さと、保温力と通気性のバランスの良さから春〜秋の3シーズンで出番が多いかなと感じた「THERMO LITEエコモードサーマルクルーネック」。
もう少ししっかりした生地で、冬の低山もカバーしたい人には「ブロックフリーストレッキングクルーネック」がおすすめです。
紹介したワークマンのミッドレイヤーは質感も柔らかいし、着心地もいいですが、劣悪な環境下での使用を想定し、厳しいフィールドテストを経て製品化されているアウトドアブランドのウェアと比較すれば耐久面や性能は及ばないかなというのが本音です。
ですが、価格面からすると同じ土俵に立たせていいのかと。。なんせ抜群のコスパですから。
それに雲泥の差があるのかと言うと、その差は小さくなっています。
ワークマンのウェアを「これでいいや」という気持ちで選んでいたころから「これがいいや」と自信をもって選択する日は近づいてきているのではと感じております。
この冬はワークマンのメリノシリーズで快適にアウトドアを楽しみましょう!
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Yosuke(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
一年中アウトドアを楽しんでいるフリーのライター。 自身の経験や使ってみて良かった道具を発信しています。