比較レビュー:定番から新作まで。おすすめの登山・ハイキング向けテントを徹底比較

単にテントといえど、その一単語では括りきれないほど多種多様な種類が存在しています。ドーム型だったり、ワンポール型だったり、ボーイスカウトが使っているようなA型テントだったり。車に積んだり、自転車に乗せたり、自分で担いだり。大きさもソロ向けから大人数向けまで、目的や用途によってバリエーションは無限にあります。

自分に本当にどんなテントが必要なのかを完璧に分かっていれば、迷うこともないのでしょうが、こんなことにも・あんなことにも使えると便利!と思っていると、なかなか欲しいテントにたどり着けません。そもそも高価なものでもあるので、何張りも試すわけにもいかないでしょう。

今回は、そんな多様なモデルの中でも持ち運びやすさと耐久性(耐候性)を備え、初心者の登山者も安心して使える登山・ハイキング向け1人用テント(ダブルウォールで自立式)を比較レビューしました。同じ登山向けと言っても、メーカー毎の微妙な違いによって個性的なモデルがたくさんあります(今回泣く泣く比較できなかったモデルも多々)。今回のレビューで、そんな各テントの魅力やこだわり、違いをシェアできれば幸いです。

目次

今回比較した登山・ハイキング向けテントについて

以下は今回比較したテント6モデル。テントの中でも、ダブルウォールで自立式、そして本格的な登山やハイキングに使用できるモデルを選定しました。MSRのハバNXは前モデルでの評価のため、新モデルでアップデートされたポールの弾力性・耐久性、新シームテープによる耐久性や、軽量化されたことなどは考慮して、参考比較としました。

    • NEMO:タニ1P
    • HILLEBERG:ソウロ
    • mont-bell:ステラリッジ テント1
    • MSR:ハバNX
    • アライテント:エアライズ1
    • HCS:VL16

テスト環境

2018年~2019年にかけて、関東周辺および屋久島のテント泊登山で使用。季節については厳冬期以外の3シーズン。極端な悪条件でのテストは行っていません。

評価項目については、以下の6点を指標を設定し評価しました。

  1. 居住快適性・・・居住空間の快適さや、通気性など、いかにテント内でストレスなく過ごせるか。
  2. 設営・撤収・・・設営や撤収のしやすさ、スピードなどを評価。
  3. 耐候性・・・雨や風など気候・環境への耐性。
  4. 耐久性・・・生地の厚さや、コーティング、ポールの丈夫さなど含めた壊れにくさ。
  5. 重量 ・・・持ち運ぶ際の実測重量で比較しました。
  6. 携行性・・・登山・ハイキング用である以上、持ち運びやすさは重要な指標です。パッキング時のかさばり具合を比較。

テスト結果&スペック比較表

スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら

総合評価AAAAAAAAAAAAAA
アイテム NEMO(ニーモ・イクイップメント) タニ 1P NM-TN-1P NEMO
タニ1P
ヒルバーグ テント Soulo Green HILLEBERG
ソウロ
モンベル ステラリッジ テント1 本体 mont-bell
ステラリッジ テント1
MSR Hubba NX (ハバ NX) 1人用 軽量 テント ヨーロッパモデル グリーン [並行輸入品]MSR
ハバNX
アライテント(ARAI TENT) エアライズ1(AIR RAIZ1) 1人用 本体:クリーム フライ:オレンジ アライテント
エアライズ1
プロモンテ(PuroMonte) 超軽量山岳テント [日本国内生産品] HCS
VL-16
参考価格(税抜)¥50,000¥96,000¥39,000(内フライ¥11,500)¥53,000¥39,000¥43,000
ここが◎
  • 軽量性
  • 居住性
  • 設営の容易さ
  • 堅牢性
  • 居住性
  • 設営の容易さ
  • 全体のバランス
  • 汎用性
  • 居住性と軽量性のバランス
  • 全体のバランス
  • 汎用性
  • メンテナンス性
  • 耐久性
  • 耐候性
ここが△
  • フロア生地の耐久性
  • 重量
  • 価格
  • 通気性
  • 居住性
  • 耐候性(上半分のメッシュ)
  • 重量
  • 居住性
  • 通気性
  • 居住性
  • 通気性
居住快適性★★★★☆★★★★★★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆★★★☆☆
設営・撤収★★★★★★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆
耐候性★★★★☆★★★★★★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★★★
耐久性★★★☆☆★★★★★★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★★★
重量★★★★★★★☆☆☆★★★★☆★★★★☆★★★☆☆★★★☆☆
携行性★★★★★★★★☆☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★☆☆
スペック
公式最小重量1,060g2kg1,140g1,120g1,360g1,210g
実測最小重量1,104g2,183g1,143g1,146g1,436g1,265g
実測詳細重量本体422g
フライ312g
ポール370g
ペグ16g×5本
収納袋(54g, 9g, 7g)

本体613g
フライ1039g
ポール531g
ペグ11g×12本
収納袋(39g, 18, 12g) 

本体471g
フライ326g
ポール346g
ペグ11g×12
収納袋(21, 7g, 8g, 5g)
本体437g
フライ372g
ポール337g
ペグ9g×6本
収納袋(90g, 21g, 7g)
本体634g
フライ378g
ポール421g
収納袋(21g, 9g, 9g)
本体498g
フライ412g
ポール358g
ペグ11g×12本
収納袋(15g, 10g, 8g, 4g) 
本体15Dナイロン/メッシュ30 Denier Ripstop Nylon10D高強力ポリエステル15D ナイロンマイクロメッシュ、20Dリップストップナイロン&DWR コーティング28Dリップストップナイロン(東レ『ファリーロ』中空糸)10Dナイロンリップ(通気撥水加工)
フロア15D Sil/PeUナイロン70 Denier Nylon30D・バリスティック®ナイロン・リップストップ30D リップストップナイロン 耐水圧3,000mm エクストリフロア ームシールドポリウレタン&DWRコーティング40dnナイロンタフタPUコーティング30Dポリエステルリップ(ポリウレタン防水加工)
フライ15D Sil/Silナイロン30D High Tenacity Ripstop Nylon 6620デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ20Dリップストップナイロン 耐水圧1,200mm エクストリームシールドポリウレタン&シリコンコーティング30DリップストップナイロンPUコーティング20Dポリエステルリップ(ポリウレタン防水加工)
ポールDAC社 
NSL Featherlite Green
DAC社NSLFeatherlite
9mm
DAC社
NSL Featherlite Green 8.5mm
イーストン社 サイクロンDAC NSL Featherlite 9mmDAC NSL Featherlite 8.5mm
室内サイズ(cm)202×105×103220×105×95210×90×105216×76×94205×100×100205×90×100
収納サイズ(cm)27×1753×19.529×13.546×1529×1425×14
フロア面積(m2)2.22.01.671.84
全室面積(m2)0.80.60.840.6
付属品
  • スタッフサック
  • ガイドライン
  • リペアキット
  • ペグ
  • スタッフサック
  • ペグ
  • リペアスリーブ
  • スタッフサック
  •  
  • ガイドライン
  • ペグ
  • スタッフサック
  • ガイドライン
  • ペグ
  • スタッフサック
  • ガイドライン
  • ペグ
  • シームコート
  • スタッフサック
  • ペグ
  • ガイドライン
オプション
  • フットプリント
  • メッシュインナー
  • スノー・サンドペグ
  • ポールホルダー
  • グラウンドシート
  • テントマット
  • オプショナルロフト
  • レインフライ
  • スノーフライ(2019年冬発売)
  • フットプリント
  • 冬季用外張
  • DXフライ
  • カヤライズ
  • アンダーシート
  •  
  • グランドシート
  • 冬季用外張

各モデルのインプレッション

軽さと居住性・利便性をそのままに、日本の気候に合わせた高機能山岳テント

NEMO:タニ 1P

ここが◎

  • 軽量性
  • 居住性
  • 設営の容易さ

ここが△

  • フロア生地の耐久性

入り口は長辺で、そのほとんどが入り口になり、全て開けた時の開放感は非常に高い。室内区間も必要十分に確保されています。

NEMOは常に革新的な機能を考案し続け、アウトドア寝具ギアの先進的メーカーです。TANI 1Pは、そんなNEMOが日本の山岳向けに開発したソロテントです。山岳テントとして耐候性はしっかりと確保しつつも、通気性・防水性を高めたスペックで、特に通気性向上への工夫は、日本の高湿度・多雨な環境に合わせた仕様になっています。

設営は、センターハブで連結されたポールを本体4隅に接続し、ポールに本体のフックをかければ自立します。向きはないので暗くなってからの設営でも迷うことなくスムーズにできるはずです。レインフライも特に迷うことなく設営できます。フライには4隅にドローコードがついていて、テンションをかければそれなりに張るので、相当な強風でない限りフライ自体をガイドラインで引っ張ってテンションをかける必要もありません。設営に関しては特に目立った工夫はありませんが、とにかくスピーディーに迷うことなく設営できるような設計になっています。

入り口反対側には常に通気を促せられるように、大きめのベンチレーションが配置されています。

入り口は非常に広く、テント長辺側ほとんどが開く仕様。外からも室内から見ても開放感は抜群。景色の良いところに設営すれば、かなり清々しい朝を迎えられそうです。これだけ入り口が大きいので、通気性は抜群。抜群どころか筒抜けです。しかし入り口のメッシュ部分はおおよそ1/4ほどと面積は狭め。しかし入り口と反対側上部に大きめのベンチレーションが確保されており、常時換気ができるよう工夫されています。ベンチレーションが対称の位置にあるおかげで、通気性はしっかりと確保されています。メッシュが入り口下部に位置しているのも、風の通り道を作るためなのでしょう。

室内はソロでは十分の広さ。やはり短辺が100cmあると余裕が出ます。エアーマットを敷いても、バッグ内の荷物を隅に置いて整理できたりするくらいの余裕はあります。本体には15Dのブリーザブルナイロンを仕様していて、風に強く山岳用テントとして十分な性能を発揮してくれますが、フロア素材も同じ15Dで強度がかなり不安です。今回の比較対称のテント内では最軽量の1100gですが、どうしても15Dではフットプリントを使用したくなります。フットプリントを持っていくとなると、せっかくの軽量性が無駄になってしまうので、そこはどうにかして欲しいところです。しかし、専用フットプリントはポールを接続できるようになっているため、気候によっては本体なしでフライだけでツェルトのように超軽量な使い方もあるので、工夫次第では様々な使い方ができ、幅広いフィールドで活躍するテントになりそうです。

過酷な環境をまったく感じさせない上質な居住空間はまさにソロテントの最高峰

HILLEBERG:ソウロ

ここが◎

  • 堅牢性
  • 居住性
  • 設営の容易さ

ここが△

  • やはり重い
  • 価格

もはや家ではないかというほどの佇まいで、安心感さえ与えてくれます。それでいて設営・撤去の簡便さは一度使うと止められません。

HILLEBERGが販売するソウロは、スカンジナビア語で島という意味を持つソロテントです。まさにというネーミングはうってつけで、重量の割には堅牢で自分だけの空間、まさに島をフィールドに作り出してくれます。ポールを3本使い非常に堅牢な作りで、標準状態で冬季の山岳地帯でも使用できる4シーズンモデル。重量こそ2kgほどと他のモデルと比べると重いですが、許容範囲。しかし、自分の家かのような安心感を与えてくれるので、長期間同じテント場に滞在するときなどは快適度は非常に高いです。

上から見るとその堅牢性を裏付けるかのように、ポールを3本使い、どんな天候でもビクともしない設計です。

設営は、最近のバックパッキング用の自立式ダブルウォールテントに比べると、構造が特殊なためやや慣れが必要ですが、一度慣れてしまえば、設営・撤収共に非常にスピーディーです。設営は、フライの設営から始まります。フライにポールを通して自立させた後、その中に本体を吊るすという方式です。そのため、雨天時の設営などは非常に便利で、本体を濡らさず設営できます。そのため、実測重量は最小重量で2183gと軽量テントとは呼べない重量ですが、天気によっては本体なしでシェルターのような状態でも使用でき、1570gで使用も可能です。フライにポールが張ってあるため、このような使用方法でも、強度に全く問題なく、この状態だと3人くらいで泊まる、という使用方法もありです。撤収に関しても、その後まだテント泊が続くのであればフライとテントはそのまま接続したままポールだけ外し、大きめの収納袋に大雑把に入れれば、撤収も次の設営もとても素早くこなせます。一日行動したのち、限りなく少ない労力で設営できるのはかなりの高いポイントでしょう。

室内は十分な広さで、ソロテントとしてはザックの荷物をバラしても手狭になることはなく、天井も95cmあるので胴長な僕が中腰で立ってもつっかえることはありません。前室は広くも狭くもなくと言ったところで、靴や汚れ物を置いたり、簡単な調理くらいであれば問題なくこなせます。フライは地面すれすれまで降りているので、風や雨そして降雪に対する耐候性は非常に高く高く、ちょっとやそっとの風雨ではビクともしません。もうまさに家、モンゴルの遊牧民の”ゲル”のような安心感です。

やはり気になるのは価格。今回比較した中では、モノによっては2倍以上の価格差があります。しかも重量も重めでパッと見、ソウロを選ぶ理由が見つからないでしょう。しかし、非常に堅牢な作りで高い耐候性があり、極地でまで使用可能であることや、まるで自分の家かのような安心感、設営・撤収のスムーズさ、そして北欧メイドの機能美。勇気がいる選択かもしれませんが、家を買うつもりで選べば、末長く愛用できる一張りになるでしょう。

アップデートでより洗練された、日本山岳テントのベストセラー

mont-bell:ステラリッジ テント1

ここが◎

  • 全体のバランス
  • 汎用性

ここが△

  • 通気性
  • 居住性

白のフライはなかなかないので、テント場で数多いステラリッジにしては目立ちます。夜テント内で電気をつけると透けますが…

どこへ行っても見ないことはないと言うほど、日本の山岳シーンでは代名詞的テントのmont-bellのステラリッジテント。そのステラリッジテントが2019年モデルチェンジをしました。主な変更点は、本体とポールの接続方法がスリーブ式から吊り下げ式へなったこと、ポールが1本になったこと、本体・フライの生地が変更されたこと、フライが別売りになったこと。などが挙げられます。

今回吊り下げ式になったことで設営がよりスピーディーになりました。それによって先に本体をペグダウンして固定できるようになったため、強風下でも安心して設営できます。ポールも中央を固定することにより、スリーブ式の方が優れると言われている耐風性能も向上させています。しかし本体とポール中央をパーツで固定するため、ポールに向きができるようになってしまいました。そこは注意が必要です。

今回のアップデートで、ポールはスリーブ式から吊り下げ式に変更されています。

本体生地は10Dの非常に細い糸で軽量化を図り、フライも20Dのバリスティックナイロンを使用し、耐久性は十分です。フロアは耐久性を確保するため、30Dと本体よりも太めのニールで、フライと同様バリスティックナイロンを使用しています。本体もフライも保水せずたわみにくくなっているので、降雨時も本体とフライの距離を十分に保つことができます。今回から本体とフライが別売りになったので、劣化しやすけ買い増しをしたり、カラーバリエーションもあるので、通常色の選択肢がないテントにバリエーションを持たせてくれます。入り口は短辺にありメッシュ生地との二重仕様。ベンチレーションは入り口と吹き流し式のものだけなので、入り口を閉めてしまうと空気の流れは滞りがちです。

室内空間はやや狭く、エアーマットを敷く用できは限られてしまいます。入り口が短辺にあるテントにありがちな前室の狭さもあり、全体的に空間に余裕はありませんが、最低限は確保されているので、余裕さを求めない人であれば問題にはなりませんが、入り口を閉めた時の閉鎖感は否めません。その分設営に必要な面積も狭いので、どこにでも設営でき悩むことも減りそう。

オプションも豊富で、積雪期用のスノーフライも用意されており、耐候性も高めることができるので、名実ともに4シーズンできる日本を代表する山岳テントでしょう。モンベルと聞くと、価格が安めで機能もそこそこある。と言うイメージをどうしても浮かべずにはいられませんが、このステラリッジテントは、そのイメージを払拭させるものを持っています。

世界中のハイカーを虜にしてきた快適バックパッキングテントがアップデートでより強く、安全に

MSR:ハバNX

ここが◎

  • 居住性と軽量性のバランス

ここが△

  • 耐候性(上半分のメッシュ)

マウンテンセーフリサーチ、略してMSR社は、その名の通り山道具(クライミング)の安全性や信頼性を研究するために設立されました。様々なメーカーの商品を検証し、そのデータを結集させリリースした商品は、とても安全性の高いもので、それまでの安全基準を見直させるほどでした。以降も質の高い商品をリリースし続けています。

入り口は長辺にあり、フライは大きめに開くことができるので、出入りは非常に楽で、テント内から料理などの作業は非常にしやすいので、悪天候の時はかなり重宝します。

今回比較対象に選んだMSRのテントはバハNX。その基となるハバテントシリーズの初登場は2004年、それ以降アップデートされ続け、15年以上MSRのバックパキングテントの代名詞的存在として君臨しています。2019年にアップデートされましたが、今回比較には以前のモデルを使用しています。今回のアップデートではデザインや設計に変更はなく、ポールの素材と、フライおよびフロアのコーティングがアップデートされています。ポールはDAC社のFeatherlight NFLからイーストン社のサイクロンポールを採用。このサイクロンポールは、MSRのハイエンドモデルにのみ採用されていたものなので、見た目は変わりませんが、大きな変更点と言っても良さそうです。多くのメーカーが採用しているDAC社製よりも、サイクロンポールは屈曲性・耐久性が非常に高く、かなりのアドバンテージとなるでしょう。コーティングにはエクストリームシールドシステムを採用することにより、これまでのコーティングよりも3倍長持ちするそうです。これまでの内側のコーティングは、加水分解しやすく不満もあったので、そこが解消されるととても良さそう。縫製もより耐水性を高めた方法に変更され、シームテープが不要になったため剥がれた時のストレスもなく、軽量化にも貢献しています。

ポールは1本ですが、ハブが3箇所ある独特な構造をしています。両端は2又に別れており、中央部のハブからは直角に短いポールが伸びています。この複雑な構造のおかげで、居住空間の広さを向上させています。撤収も手間はありませんが、収納袋が大きめで、テント類を入れたと圧縮できるコンプレッション仕様で、雑に突っ込んでもある程度小さくまとめられ、連泊の時などは重宝します。

本体は、そのほぼ半分がメッシュで通気は抜群。夏はフライなしで使えばかなり快適。

室内は十分といえば十分なのですが、他のテントと比べるとやや狭い。天井空間はポールによって広げられていて高さも100cmあるので、感覚的に圧迫感はそこまでありません。しかし実際のサイズでは、長辺幅は216cmと他と比較しても最も長いですが、短辺幅が76cmしかなく、荷物を広げたりすると狭さを感じてしまいます。それに対して前室は比較的余裕がある作りで、降雨時はフライを締め切ってもある程度の空間を維持できます。通気性に関しては非常に快適です。本体の1/3ほどが常時メッシュ状態なので、夏場は風を感じることができ快適です。フライにも通気性を高める工夫がされているので、通気性はとても良いです。その反面気温が落ちてくるとテント内の保温力は圧倒的に低下するので、低温下では使用できないですが、湿度が高めの日本のような環境では、室内の狭さが気になければ春〜秋にかけて快適に過ごせるテントです。

幅広いオプションの高い汎用性、末永く使える耐久性。日本の山岳テントのロングセラー

アライテント:エアライズ1

ここが◎

  • 全体のバランス
  • 汎用性
  • メンテナンス性

ここが△

  • 重量
  • 居住性
  • 通気性

The 山岳テントというフォルムで、高い耐候性を誇ります。

アライテントエアライズを発売したのは1987年、その時の重量は1950gでした。そこからマイナーチェンジを重ね続け、重量こそ1360gにまで軽量化されていますが、発売当時からサイズや形状に大きな変更はなく完成度が高いテントでした。エアライズの特徴は、オプションが用意されていること。冬季用の保温性の高い外張り、カヤライズ(蚊帳)、DXフライなど使用する条件・季節によって自由に組み合わせられるのが特徴です。

設営はいたって簡単。ポールは同じ長さのものが2本で、出入り口側から本体のスリーブに入れてしまえば簡単に自立します。完全自立式で、中に人や荷物さえ入っていればペグを打たなくても使用できるので、もともと設営はスピーディーにできますが、疲れてしまってめんどくさい時や、荒天時は非常に助かります。室内はソロテントとしては十分な広さ。メーカーは最大2名までと謳っていますが、エアマットなどは敷けず、頭と足を入れ違いにすればなんとかなる。くらいです。よっぽどのことが無い限り1名が定員でしょう。前室はほとんどありません。靴を置いて、バーナー1機でなんとかお湯が沸かせる程度です。冬季は前室がもう少し欲しいところ。そう言ったときはオプションのDXフライを使えば、かなり広い前室を確保できます。

入り口は短辺にあり、やや小さめ。通気口は吹き流しタイプが1ツアるだけなので、滞りがち。

入り口はメッシュにもなる2重仕様。入り口がメッシュの時や開けている時は、テント内の換気口と共に換気はしっかりできますが、フライを閉め切ると室内の空気がこもりがちになるので、注意が必要。特にフライはテントを完全に覆うので、風が吹いても通気は期待できません。しかしそのおかげで風や雨に対する耐候性は非常に高く、しっかりとガイドラインまでペグで固定すれば、かなりの強風でも十分対応できます。この辺りが山岳地帯での縦走で使うユーザーが多い理由でしょう。

最近の海外製のテントと比べると気を使った細かい機能性はなく、無骨で地味に感じてしまいます。しかし、シンプルだからこそ、壊れることもなく長く使うことができます。アライテントには何年も前のテントの修理が未だに持ち込まれ、その対応もしっかりしてくれます。何も考えず購入してもなんら後悔することはなく、長期に渡って使える愛着のわくテントになるでしょう。

歴史に裏打ちされた確かな安全性を備えた軽量山岳テント

HCS:VL-16

ここが◎

  • 耐久性
  • 耐候性

ここが△

  • 居住性
  • 通気性

数十年も前、日本が国を挙げ国際的な初登争いをしていた時、遠征隊がこぞって使用していたのが現HCS社の吊り下げ式テントで、現在の主流テントの基を築いたテントでもあります。今でこそ国内外のテントメーカーに押されてはいますが、当時から現在まで国内産にこだわり、ユーザーからのフィードバックや修理歴を元にアップデートをし続けるユーザビリティー溢れるメーカーです。そんなHCSのVL-16は、日本発の山岳テントを源流とした由緒あるテント。ここには日本山岳史が詰まっていると言っても過言ではありません。

ポールはスリーブと吊り下げ式を半々に取り入れ、両方の長所をうまく取り入れています。

設営はよくある吊り下げ式の自立型テントとほとんど同じ。2本のポールがセンターハブによって固定されており、テント4隅のスリーブにはめ込むだけで自立します。ポールの先端はスリーブが傷つかないように丸いプラスティック製になっていて、滑りも良くストレスはありません。各辺3つあるフックをポールに引っかければ本体は設営完了です。このフックが独特の形状をしており、想定以上の負荷がかかると外れるようになっているようで、安全面に考慮されています。フライは4点ともバックルを留めれば完成です。設営手順自体には特殊な構造はありませんが、各パーツには安全性を高める工夫が見られます。

入り口は長辺にあるので、大きめです。青色のフライが爽やかで目立ちます。

入り口は長辺側にあり、半分ほどがファスナーで開閉します。その入り口の1/3ほどがメッシュになる仕様です。入り口を開いていれば通気性はまあ問題ありませんが、閉めてしまうとメッシュ面積は狭く、他の通気口も最低限働く程度。夏の暑い時期や湿度が高い時などはなかなか苦労します。フライも地面に低いところまであるので、確かに風には強いですが、通気性では期待できません。4シーズン向けともなるとここは我慢が必要でしょうか。

室内空間はこんなもんか。という感じ。スペック上ではそこまで他と遜色ないのですが、他メーカーのように室内空間を広くする工夫がないと、どうしても手狭に感じてしまいます。もちろん寝るための空間なので、足を伸ばしてねれる空間が確保されているだけで御の字ではあるのですが。前室は靴を置いて調理する程度なら不満はありません。

正直なところ、海外製品のようなこれといった特徴もなく、ずば抜けた軽さもなく、野暮ったさは感じてしまいます。しかし、これまでにHCS社が培ってきた経験や歴史からも、ユーザーに安全な空間を提供したいという強い思いを感じさせてくれます。いまだに国内産にこだわる姿勢や、一つ一つのユーザーからのフィードバックを無視しないで生かすという情熱は、どんな環境でも安全・安心を与えてくれます。「コストパフォーマンスが高い」というと、ややネガティブイメージも付きまといますが、値段以上の安全性とそれに対する軽量性を得られる良いバランスのテントです。

まとめ

今回は登山・ハイキングにぴったりなテント6モデルを紹介してきました。新旧ありますが、発売からアップデートされ続けている歴史のあるものばかりです。重量は比較的軽量なものが多く、バックパックにいれて縦走するのにも、そこまで負担にならないものばかりです。そんな中HILLEBERGのソウロは、重量2kgと他と比べると重めで、重量だけで見ればなぜこの比較に入っているのかと訝しがる人もいると思います。しかし実際に使ってみると、その居住の快適性の高さや堅牢性など、様々な点で非常に完成度の高いモデル。この重量以上のものを得られることは間違いありません。ファストパッキングのようなアクティビティには向きませんが、宿泊日数が長くなる縦走や、同じ場所で連泊するような場合はまず不満は出ないはずです。ネックは値段だけですね…

mont-bellのステラリッジ、アライテントのエアライズ、HCSのVL-16は、全て日本のメーカー。日本の環境をよく知り尽くし、ユーザーからのフィードバックをもとにアップデートされ続けているモデルたちです。日本の気候は特殊なので、国内モデルはそれにしっかりと対応しているので安心感はあります。しかしこの国内モデルに共通なのが、通気性がそこまでよくないということ。VL-16こそ入り口が長辺にあるので入り口は大きめですが、入り口を閉めてしまうと結構こもってしまいます。しかしよくないというだけで、最低限は確保されており、余計なギミックもないことから故障も少なく安定して使用できます。そして各テントはオプションが多く、外張を使えば積雪でも使えるという強みがあります。国内であれば4シーズン低山高山どこでも使えます。国内メーカーなので修理もしやすいので、安心感も高くガンガン使える頼もしいテントになるでしょう。ステラリッジ・エアライズはフライの色を選べるのも、こだわりたい人には高ポイントでしょう。

NEMOのTANI 1Pは、海外メーカーながら日本の山岳地帯で使用することを想定して作られたモデル。そのおかげで耐風性は高く、通気性も常に確保できるよう工夫されています。そこは非常にNEMOらしさが光ります。重量は最軽量で1kgに迫り、居住空間も確保されています。とても快適性は高く開放感のあるテントなので、ただシンプルなテントよりも、より機能性の高いテントを楽しみたい人にはピッタリです。

確かにどれを選んでも寝ることはできますが、メーカーによって重要視しているものは様々。今回のように比較するとそれが浮き出てきます。自分がテント泊に何を求めるかを、どんなテント泊をしたいか思い浮かべながら選んでみてください!

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