比較レビュー:タフな地形でのランニングに最適なのは?高機能5本指ソックスを履きくらべてみた

前ページでは比較した5本指ソックスそれぞれの評価・スペック、そしてそれに基づいたおすすめモデルを紹介しました。ここからはその評価について、どのような基準で評価したのか、なぜそのような評価になったのかについて解説していきます。

各項目詳細レビュー

素足感覚(快適性)

トレランにおけるソックスの快適性は足裏からの情報を脳に正確に早く伝達し次の1歩を安全に振り出せるかがポイントとなります。よって、日常のソックスの気持ちよさとは若干判断基準が異なります。薄手のC3fitITOITEXは非常に素足感覚であるため、シューズであってもトレイル情報を目と足裏から集約し走りが楽しいソックスでした。一方で厚手のソックスは安全性と安定感があるため走りにおいても限界値が高い分、レースでは逆にハンデとなるでしょう。

左2モデル(ITOITEX、C3fit)はほとんどメッシュのような薄さで、足裏からの情報をダイレクトに感じながら走ることができる。

乾きやすさ(速乾性)

テストは暑い時期で川にドボンしたり汗で靴中がびしょ濡れになったり速乾性のテストには最適な季節でした。速乾性がなければ足裏が蒸れマメの原因となります。レースでは靴の脱ぎ履きを頻繁にすることはなく速乾性はアクシデント防止には欠かせない機能です。当然ながら薄手のソックスは基本乾きも早いです。今回のC3fitITOITEXは薄手に加えて「和紙」素材を用いることで速乾性をより高めています。厚手であってもTABIOCW-Xは夏以外であれば問題ないでしょう。冬場こそ速乾性は大切な機能ですので重視すべき機能です。

ムレにくさ(通気性)

足裏の熱と汗を開放する機能は速乾性と同様にアクシデントを防ぐ機能です。特にトレランは足底筋を駆使するスポーツです。足裏の温度はロードランニングよりも高くなるため、ドライ感の維持できるソックスがベストです。薄手のC3fitITOITEXは快適で足裏の汗を感じず走りに集中できました。厚手でもTABIOは通気性のために前足部がメッシュとなっているため汗抜けは良い方です。RxLワークマンは汗により足底部の生地にヨレができる場面もありました。

Tabioは前足部をメッシュ状にすることで、厚手ながら通気性を高める工夫がされている。

ズレにくさ(ホールド感)

一般的に滑り止めのあるタイプは靴中で足がズレにくくホールドされ、安定感と疲労軽減の効果が高まります。ただし、滑り止めゴムの形状や厚さ、配置などが自分の走りとマッチしないと、靴下と足裏が分離してアクシデントを起こしてしまうこともまれあり、その点、万能ではないということも注意したいところ。要は靴の中で足が暴れなければよいのであって、大前提はシューズのサイズと形が自分の足をマッチしていることが大切です。それを踏まえて、TABIOは柔らかいシリコンゴムが前足部とかかと部に配置され、安定感があり、ロングレースでも安心して使えそうです。RxLは弱めの滑り止めゴムを前足部に配置し靴下内での擦れを防止する機能を持たせよく考えられた滑り止めですが、ゴム素材が硬いため思った以上に滑ります。ワークマンは柔らかめのゴムを前後と足指に配置していますがゴムの厚みが気になるのでショートレース向けです。

トレイルラン向けに多くみられる、足裏に滑り止めが配置されているタイプ(右3モデル)。あればいいということでもないので、必要かどうかはいくつか履いて自分で試してみることが大切。

クッション性

トレイルからの突き上げは初心者のうちにダメージを受けやすいものです。練習で使用するソックスなら大切な選択基準です。やはり厚手のソックスは安心できるアイテムとなります。RxLはメリノウール素材で足全体を包み込みフカフカなので不整地では安心感がありました。TABIOワークマンも厚手なので岩場に着地しても痛みを軽減できるものでした。

クッション性はあればダメージは軽減されるが、高すぎても安定性を欠く。自分のレベル・志向とのバランスが大事。

サポート力

走りを補助する機能が際立つCW-Xは軽い締め付けのテーピングを履いてる感覚でした。特に足首の補強は履いた瞬間にわかります。トレランでは怪我防止のためにテーピングをしてる人も多いですが、ソックスで補強できるのは手間が省けてありがたいです。実際に走ってみるとテーピングほど強力ではないので過度な期待は禁物ですが、普段テーピングをしない人なら効果を感じられるでしょう。TABIOは特にアーチ部のサポートがしっかりしていて気持ちよい締め付け感でした。今回は30㎞程度の試走でしたが、確実に足底筋を補助をしているのでロングの後半では効果を実感できると思います。

足首~甲にかけてに軽くテーピングを巻いているかのようにサポートしてくれるCW-X。ただし長時間の締め付けは逆に疲れにつながる。

耐久性

薄手ですが、C3fitは意外なほど不安のない作りです。旧モデルの際には100㎞レースを3戦しても指先の穴あきはありませんでした。ITOITEXは軽量で和紙を多く使い速乾性最高の尖ったモデルなだけに耐久性は劣りますが、特に雨のレースでは使いたいモデルです。厚手ではTABIOの耐久性が抜群です。洗濯を繰り返し使用しましたが毛玉が少なく連続使用が可能です。他のモデルは毛玉ができるので取り除かないと擦れよりマメができる恐れがあります。RxLは指先とかかとに補強が施されていますがメリノウール製なのでアーチ部などに摩耗が見られました。

和紙素材を用いたソックスは、その抜群の速乾性と引き換えに、1レースで履きつぶすくらいの覚悟が必要。

まとめ

あらためて全部履いて走ってみての自分の結論をまとめます。オールマイティーで1足は欲しいTABIO。素足感覚を長く楽しむならC3fit。練習でガシガシ使うならワークマン。1発レースならITOITEX。練習不足で不安ならCW-X。ゆっくりロングランならRxL。個性的なモデルが多かった今回のインプレッション。それぞれの使用場面に応じて選択する際に役立ててみてください。

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東條 一矢

茨城県に育ち学生時代は水泳を中心に活動。社会人でトライアスロンデビュー。社会人1年目に第1回日本山岳耐久レース(=ハセツネ)を完走。マウンテンスポーツの達成感に心酔する。30代で埼玉県に転居独立。奥武蔵をT氏に案内されトレランとウルトラマラソンに魅了される。現在では国内のトレイルレースを中心に活動。信越五岳、上州武尊、KOUMI100のロングレースを連戦完走。また、NPO法人小江戸大江戸トレニックワールド、NPO法人彩の国ウルトラプロジェクト(SUP)でレースサポートを手掛ける。またギアの性能を引きだしトレランの安全確保の啓蒙に励んでいる。

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