今シーズン新たにお目見えしたバックパックをざっくりと背負ってみた感想 2019【新作&アップデート】

新作からアップデートまで、今シーズンの登山向けバックパックをひと通り背負ってみましたので感想をまとめてみたいと思います。

筆者の好む登山スタイルから、主に40リットル前後のサイズが中心です。このサイズは日帰り登山から小屋泊まりの縦走、軽量ハイクのテント泊まで幅広く使え、初心者が初めて選ぶのにちょうどよいサイズ感で、各メーカーの人気・定番モデルがひしめいています。

また、目的やスタイルに合わせてバラエティが豊富なのもこのクラスの特徴。今シーズンは結果的に、オーソドックスなハイキング向けタイプと、主にクライミング・ファストパッキング向けのシンプルなタイプが多かったため、大きくこの2タイプに分けて紹介します。もちろんここで挙げたモデルを含めて、今シーズンもバックパック比較レビューを絶賛実施中です。今後近いうちにアップしていきますので、そちらもご期待ください。

目次

前編:ハイキング・縦走向けバックパック

Osprey ケストレル 38

バックパックの世界的トップブランドの大定番モデル、このサイトでもおなじみのケストレル/カイトシリーズが3年ぶりにアップデートしています。軽量・快適・安定・便利と、そもそも完成度が高いモデルだけに、どこがどう変わっているのかワクワクしながらチェックしてみました。

一見すると、あまり変わってなさそう。ところが、です。

よくよく見てみるとこれがもう、全体の完成度とバランスを保ちながら細かすぎる進化を数多く積み上げる職人技に、しばらく声が出せませんでした。

まず大きな変更点は背面パネル。荷重位置が身体から離れすぎない絶妙な立体メッシュ構造で、快適性と安定性を両立させています。そしてフロントポケットも地味に大きく仕組みが変わっています。前モデルは全体がメッシュだったのですが、前面をナイロン生地にすることで耐久性アップ。しかも両サイドは伸縮メッシュなので、大きめアイテムも収納可能。クランポンなどを入れておきやすくなりました。しかもこのポケットから伸びているサイドコンプレッションストラップは、上がポールホルダーを兼ね、下はウェストハーネスの安定性を高めるベルトを兼ねていたりという小技が効いています。これまでの機能を損なうことなく、極限までパーツを削ってくるこの技の見事さよ。それ以外にも相変わらず感心する点は多々ありますが、ここから先は詳細レビューをお楽しみに。

GREGORY ズール 40

もう一つの世界的トップブランドによる大定番ハイキングバックパック、ズール/ジェイドシリーズも約3年ぶりにアップデート。背面パネルを浮かせたメッシュのトランポリン構造と、ブランドのアイデンティティといえる高いフィット感がたまらなく快適なこのモデルもある意味頂点を極めつつあるバックパックで、これ以上何が変わってくるのか楽しみでした。

大きな変更点は何といっても、ついに背面長が調整可能になったことでしょう。最高のフィット感を自負するグレゴリーの代表モデルとしてはぜひとも搭載してほしい機能、と前モデルのレビューでも指摘していましたが、ようやく願いが届きました。さらに背面と腰を包み込むメッシュの風合いもよりしっとりとソフトになり、腰に巻きつくようにフィットしてくれるウェストハーネスなど、背負い心地のよさがAAAからAAA+へとさらに高みに到達してしまいました。

その他前モデルから引き続き、グレゴリーならではの、かゆいところに手が届きまくるポケット・アタッチメント類の使いやすさは相変わらず。こちらも万人が買って損しない安定の進化を遂げていました。

MILLET サースフェー60+20

地形的・歴史的な面から長く日本の登山家に愛されてきたアルパインスタイルのバックパックのなかでも、入門バックパックとして定番中の定番であったMILLET サースフェーから、ついに60リットルモデルが登場。今ではあまり見かけなくなった細身のシルエットはデザイン性という点で優れているだけでなく重心が身体の中心にきやすいという工学的なメリットもあります。ショルダー・ウェストには厚めのパッドが配置され、重荷や長時間の歩行にも強い。そんな快適さと安定感を取り入れつつ、フロントに配置されたU字型のメインジップアクセスや拡張式のフロントポケット、折り畳み式のウェストポケットなど、アクセスの良さと多彩な収納性を加え、うまく大型バックパックとしてまとめられている印象です。縦走用の大型バックパックとしてここまで欠点がないものはなかなかないのではないでしょうか。

karrimor ridge 40

こなれたデザイン、クセのない使い心地や機能などから人気の高いバックパックという印象の強いkarrimor リッジシリーズも若干のアップデートがあったようです。身体に触れる部分には「活性炭加工」を施したエアメッシュ素材を配置し、吸汗・速乾性を高めているとか。活性炭といえば、脱臭効果も知られているところですが、もしこのパッドによってニオイの発生もある程度防いでくれるとしたら、かなり興味深いところです。バックパックの肩と背中はたとえ毎回洗っていたとしても、ニオイがどうしてもつきやすいところなので。

ただ肝心の背負い心地に関していえば、前回モデル同様、残念ながらどうしても好きになれず。このクラスのバックパックになると安定して背負うためにはウェストハーネスの剛性が必要になってきますが、背面のフレームとウェストハーネスとが連結している部分の剛性が弱く、背負った際に腰に荷重が乗りにくいため、後方に引かれる感覚があります(30Lは違うのかもしれませんが)。同ブランドのなかではintrepid 40が背負い心地含めて個人的には素晴らしかっただけに、定番モデルでもそのレベルでの快適性・安定性を期待したいところです。

THE NORTH FACE ハイドラ38

昨年まで、ノースフェイスではカイルスという名前でラインナップされていた軽量・オールラウンドなバックパックが今シーズンハイドラシリーズとして生まれ変わりました。以前までのクラシカルな外見とはうって変わって、最近の勢いを象徴するかのような攻めたデザイン、攻めた色づかい。悪くない。

薄くて軽い素材を使用して40リットル近くあるにもかかわらず約1kgという重量は背負った瞬間うれしくなる軽さ。その一方で背面はなんと長さ調節が可能。さらに背面メッシュのトランポリン構造やショルダーパッドは通気性抜群で快適性も確保。フロント・両サイドに大型ポケットがついており、メイン収納がややフレームに圧迫されて狭くなっているのを十分にカバーしています。夏のスピードハイキングなどにピッタリです。なお、同ブランドのスピードハイク向けモデルにはエフピー30もあって迷うところですが、走る時間が短く、肩と胸で背負うのが苦手(可能な限り腰で背負いたい)な人はこちらのハイドラ38を選ぶのが幸せです。

後編:軽量・クライミング向けバックパック

MAMMUT Trion Spine 35

展示会で発見してから、実は試してみるのを待ちわびていたのがこのマムートの最新作、Trion Spineシリーズです。Spine(=脊椎骨)という名前が示すとおり、このパックの目玉はその画期的な背面システムにあります。特許技術Active Spine Technologyは、腰の動き、肩の動きを妨げず、またその動きによる重心のブレを最小限に抑える独自の背面機構。高い剛性のフレームとウェストハーネスに守られ荷重はしっかりと腰に乗り、さらに背面サイズ調節も非常に簡単。フィット感と背負い心地の快適さは文句なく、縦走などの長時間歩行にも十分耐えられる気がします。こんなにも成熟したバックパック構造に、令和になってまた新しい背面システムが生まれるとは思ってもいませんでした。

ただ基本的にはアルパイン向けザックということで、過度なポケット・アタッチメント類は期待してはいけません。そしてかなり丈夫な生地を採用しており、非常に重いです。このためハイキングから始めてみようという初心者にすぐさまおすすめできるモデルではないかも。ただしダブルアックスや各種クライミングギア・スキーなどを固定できたり、オールシーズン・オールラウンドな山岳アクティビティに応えてくれ、結果的には非常に汎用性の高いモデルといえます。

Arc’teryx アルファ AR 35

アークテリクスのアルファシリーズといえばクライミング志向で機能特化型のシンプル・ミニマルなモデルが多く、その意味で以前レビューしたアルファFLのそぎ落としっぷりには衝撃を受けました。一方で今回の新作、アルファ AR 35はそれを少しだけマイルドに、こなれた使い心地にしてくれたといえるモデル。個人的にはより沢登りなどの総合力が求められるアクティビティにより使いやすくなった気がして、ついついロックオンしてしまいました。

背面は従来のアルファFLシリーズと同様、背骨の形にカーブしているだけのシンプルでフラットなパネル+フォームパッド。これらは簡単に取り外して軽量化することができます。それだけでなくトップリッドやフロントのドローコードなども削れるなど、やり方次第でアルファFL並みのミニマルスタイルにすることもできてしまう、一粒で二度おいしい仕様。アックスのアタッチメントの作りやバックルなど、いかにして軽量化と耐久性を両立させつつ少ないパーツで済ますことができるかを考え抜かれた仕様は、決して初心者にとっつきやすいものではありませんが、これぞ機能美といえるもので、いちいち新鮮です。

Mountain Hardwear スクランブラー35バックパック

シンプルで軽量、かつ機能的なバックパックという点ではこちらも負けていません。近年ウルトラライトなガレージブランドがこぞって採用してきた素材であるX-PACを全面に使い、強度・軽さ・防水性を兼ね備えながら、ハリのある質感と洗練されたデザインの良さが光ります。背面にはパネルの他に通気性のあるクッションが配置され、このシンプルさの割に背負い心地は良好です。ロープホルダー、ギアループ、ダブルアックスホルダーなどクライミングに便利なアタッチメントはもちろん豊富なのですが、それ以外にも取り外し可能なトップリッドやサイドポケットなど、歩くために便利な収納もそれなりに備えているのが上記アルファARとの違いでしょうか。このためファスト&ライトでスピードハイクに使うということもできなくはない気がしました。

ただウェストハーネスはブレを抑えるだけのお飾りのようなものしかついていませんので、普通のハイキング用としてはあまりおすすめしません。その代わり、シンプルさとデザインの良さから、ぶっちゃけちょっとした街用バックパックにも使えてしまいそうです。その意味では意外にも使えるシーンは多いのではないでしょうか。

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