【忖度なしの自腹レビュー】ヘリテイジ HI-REVO 安曇野で鍛え上げられた 日本山岳テントの最先端軽量テント
ヘリテイジは、長野県中心部・安曇野に本社を構えるアウトドアギアメーカー。主力商品の山岳テントをはじめとし、ツェルト、シュラフカバー、アウターシェル、ポールまで幅広い製品を展開しています。社内で試作品ができ上がると、納得のいくまで山で試し改良を繰り返すという、理想的な場所そして方法で製品開発を行っています。今回はそんなヘリテイジが作る軽量ダブルウォールテントを安曇野のご近所信越で実際に使用してレビューしてみました。
目次
HI-REVOってどんなテント? ~大まかな特徴~
HI-REVOは、ヘリテイジが展開するテントの中では最軽量の一人用3シーズンテント。インナー・フライ・ポールそして各収納袋で、ダブルウォールながら1000gを切る軽量性を誇ります。しかしながらその軽量性によって室内空間や機能性はさほど犠牲になっておらず、日本人が日本の山岳シーンのために作った日本のテントです。
おすすめポイント
- 最低重量が1000gを下回る軽量性
- コンパクトな収納サイズ
- 通気性重視の設計
気になるポイント
- バランスは良いが、頭一つ飛び抜けたところもない
- 居住快適性
- 雨天時の耐候性
主なスペックと評価
スペック | |
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アイテム名 | ヘリテイジ HI-REVO |
就寝人数 | 1名 |
携行時実測重量 (g) | 総重量:1,083(以下、内訳)
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インナーテントメイン素材 | 15Dナイロンリップストップ・撥水加工 |
インナーテントボトム素材 | 20Dポリエステルリップストップ・PUコート(耐水圧2000mm) |
フライ素材 | 15Dナイロンリップストップ・PUコート(耐水圧2000mm) |
ポール素材 | アルミニウム合金(7001-T6)中空ポール 7.5mm径 |
フットプリント素材 (オプション) | 20Dポリエステルリップストップ・PUコート(耐水圧2000mm) |
室内サイズ | 203(間口) × 93(奥行) × 100(高さ) |
フロア面積 | 1.89㎡ |
収納サイズ | 本体:28×11.5、ポール:38 |
付属品 |
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評価 | |
居住快適性 | ★★★☆☆ |
設営・撤収の容易さ | ★★★★☆ |
耐候性 | ★★★☆☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
重量 | ★★★★☆ |
携帯性 | ★★★★☆ |
汎用性 | ★★★★☆ |
HI-REVO 詳細レビュー
必要なものはしっかり全て揃った軽量セット
内容は最低限揃っていて、本体・レインフライ・ポール・ペグ8本。収納袋は、本体+レインフライ・ポール・ペグ用の3種類が付属しています。ふれこみの重量960gは、本体・レインフライ・ポールと各収納袋の重量で、ペグも合わせたすべての重量だと1083g(実計測重量)となりました。
ポールは、アルミニウム合金製(7001-T6)が2本。特に何の変哲もないアルミニウム合金地色そのままのポールです。折りたたむと10本に折れ、収納サイズは38cmにです。ポールは2本で288gで、収納袋込みで293gでした。ペグは超々ジェラルミン製(7075-T6)が8本。シンプルで使いやすい形状です。袋が厄介というか8本入れてちょうどの大きさなので、写真のようにしっかり向きを合わせスタッキングしないと、入りません。ペグ重量は、96.8g(12.1/本)+収納袋1.6g=98gです。袋の大きさはもう少しゆとりを持たせて欲しい。
フライは15デニールのナイロンリップストップの極薄生地に、防水加工としてPUコーティングがされ、耐水圧は2000mmのです。PUコーティングなので、使用後や収納時の取り扱いには注意が必要です。縫い目にはしっかりとシームテープで処理してあります。
本体生地は15デニールのナイロンリップストップの極薄生地に撥水加工がされています。フライと同様の極薄生地なので、かなり透けます。夜間電気をつけるとフライをかぶせていても確実に透けるので、注意が必要です。フロア部分には20Dポリエステルリップストップ生地に、PUコーティングによる防水加工(耐水圧2000mm)したものを採用しています。20Dにして耐久性をあげています。ナイロンでなくポリエステルなのは、吸水性がやや低いためフロアに適した素材として採用しているのかもしれません。
重量についてまとまると、公式重量960g(本体・フライ・ポール・収納袋)に対し、同セットの実測重量は985gでした。ペグも含めた全体重量は1083g(本体:349g、フライ:335g、ポール:287g、ペグ:96g(12.1g×8本)、本体収納袋:8.5g、ポール収納袋:5.2g、ペグ収納袋:1.6g)となっています。
無駄のない設営方法で、いつ立てても不安なし
次は、設営をしながら特徴をみていきます。
インナーテントへのポールの固定はスリーブ式なので、まず地面に平置きします。
スリーブの入り口は決まっていて、入り口に向かって左側のみで、右側2か所は完全に閉じています。左側からポールを滑らせて入れていきます。アルミニウム合金製の7.5mm径のポールは柔軟性がありよくしなりますが、まっすぐ入れているとやや詰まってしまうので、途中生地を引っ張ったりしては進みやすくする必要があります。ポールを2本とも入れれば完全に自立します。
ポールを入れ終えたら、スリーブの入り口についているバックルを引っ張って張りを調整します。
これでインナーテント張りは完成です。ポールを入れる箇所が決まっているので暗がりなどではちょっと厄介ですが、数度設営すればすぐ慣れるでしょう。
次にフライです。フライの四隅にあるフックを、インナーテントコーナーにある赤いループにひっかけるだけなので、非常に簡素です。
フライの張り具合も微調整可能です。
快適性を高めるための配慮と、散りばめられた細かいギミック
室内空間は一人用軽量テントとしては妥当なところでしょう。フルサイズのマットを置いてもまだ荷物を置ける余裕があるので十分と言えます。高さも100cmとそこそこあるので、狭さは感じません。
しかし室内にはポケットはなく、天井にはオプションのネットを取り付けるループがついている程度です。そこは軽量化のためと言えど何か工夫が欲しかった。
室内空間と言えば、フロアは各コーナーを点で引っ張るのではなく、線で引っ張ることで壁の角度を高め、足を当たりにくくしています。
入り口は、フライはマジックテープで、インナーテントはひもで縛ることにより常時開いておくことが可能です。
室内からは、フライのジッパーとインナーテントのジッパーは色分けされているので、非常にわかりやすい。
前室は狭めなので、雨天時に調理などしようと思うと、ちょっと厳しそうです。
通気の高さにこだわった構造
インナーテント入り口には、常時換気可能なメッシュ地のパネルが2か所。そして向かいにも換気口が配置されています。
メッシュパネルは閉じることはできませんが、向かいの換気口は絞って閉じることが可能です。
写真このメッシュパネルの上部は、フライをが被った状態でも開けておくことができます。
他にも通気性を高めるための工夫があります。ポールを通すスリーブにはいくつかスリットがあります。このスリットはもちろん軽量化の意図もあるでしょうが、フライを被せたときに空気が循環するようにという意図もあるようです。
フライ端は地面から高めになっていて、ここも軽量化+通気性をとった結果でしょう。しかし防水加工されているインナーテントのボトムは地面から低い位置までしかないため、強雨と強風が組み合わさると中まで雨を巻き込み、インナーテントを濡らしそうです。軽量化のためと言えど、フライをもう少し長くするか、ボトム素材をもう少し高くまで伸ばすかどちらかにした方が不安も少なくなりそうです。
まとめ:こんな人におすすめ
軽量性は何事にも代えられない要素の一つ。今の時代様々な新技術により、重量を維持しつつ機能性を充実させたり、重量を下げつつも機能性を維持することも容易でしょう。しかしそうなると、上がるのはお値段。しかしこのテントHI-REVOに感しては、価格は抑えつつも、山岳テントそのものの機能性・安全性は最低限保ち、ダブルウォールながら軽量性を実現したテントです。日本のテントメーカーとして、これまでの伝統は踏襲し山岳テントとしてよくできています。一方で、海外の同スペックテントと比べると、それ以上の突出した特徴がなく平凡といえば平凡。そこをどうとるか、日本製ならではの高い安心感とバランスの良さを求める人にはおススメですが、それ以上の何かをこのテントに求めるのはちょっと酷かもしれません。長所・短所をしっかり理解した上であれば、アドバンテージも含め使いどころのあるテントでしょう。日本国内で生産しているため、修理などのアフターサービスの利用しやすさもおすすめのポイントでしょう。