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Review:La Sportiva Trango Cube GTX トレッキングブーツの再発明

「登山靴はこの1足でいい」イタリアの小さなハイテク工房からの回答

最近の登山靴マーケットを眺めてみると、用途や趣向に合わせて非常に種類が多様化しています。登山のカタチも求めるスタイルも多様化してきているわけですから、これはこれである意味必然的なことです。ただ、その結果ユーザーの混乱を招き、何を選んでよいのか分からなくなってしまっては本末転倒。そんな状況だからこそ、シーンを選ばず高いレベルで活躍できる、オールマイティなトレッキングブーツの登場はある意味必然です。こう言うのは簡単ですが、実際のところ誰も実現できていませんでした。このブーツが登場するまで。La Sportiva Trango Cube GTX は、このタコツボ化した登山靴市場に対するイタリアの小さなハイテク工房からの回答。2013年に登場し、多くのメディアから賞賛されたこの一足さえあれば、ハイキングからアルプスのテント泊、果ては残雪期のアイゼン歩行でさえも対応できる(それも無理矢理でなく)、まさに革命的といえるトレッキングブーツです。

詳細レビュー

アイテム名(価格)

La Sportiva(スポルティバ)Trango Cube(トランゴ キューブ) GTX(参考価格:51,000円)

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主なスペックと評価

項目スペック・評価
アッパー耐摩耗ファブリック+サーモプラスチック加工
ライニングゴアテックス・パフォーマンスコンフォート
ソール3Dフレックスシステム、ビブラム・キューブ、インパクトブレーキシステム
サイズメンズ 38~48、ウィメンズ 36~43
重量メンズ 約675g、ウィメンズ 約600g
アイゼンセミワンタッチアイゼン対応
快適性
(20点)
18
安定性
(20点)
18
踏み込み
(20点)
19
重量
(10点)
9
防水性
(10点)
9
耐久性
(10点)
7
デザイン
(5点)
3
価格
(5点)
2
総合点85

ここがスゴイ!

優れた汎用性

2014年からこの靴を履き続けいていますが、このトレッキングブーツほど汎用性の高い、シーンを選ばず使える靴は初めてです。ともすると中途半端になってしまいがちな多用途ブーツですが、これはまったく違います。履き心地、堅牢性、クッション、軽快さ、どれもが高いレベルで、どのシーンにも十分に使える。それはまるで登山靴に必要な要素がひとつひとつ「再発明」されたかのような、そんな気さえしてきます。そんな個性をもったブーツは、デビューから2年を経過した今でも他メーカーに比較出来るモデルが見当たりません。

「超軽量アルパインブーツ」としての耐久性とグリップ力

耐久性とフィット感に優れた超軽量アッパー(耐摩耗ファブリック+サーモプラスチック加工)、グリップ力と衝撃吸収力に優れたソール(3Dフレックスシステム、ビブラム・キューブ、インパクトブレーキシステム)によって、高山・岩稜帯を含めた日本のあらゆる地形を縦横無尽に駆け抜けられます。また残雪期には雪に蹴り込めるだけのしっかりしたつま先、セミワンタッチのアイゼン歩行にも対応(保温材がないので厳冬期はさすがに厳しい)。岩場の連続したバリエーションルートにおいても細かく滑りやすいホールドを難なく掴む専用ビブラムソールなど、アルパインブーツとしての堅牢性・耐衝撃性・耐久性をら驚くほどの軽さで実現し、安心して長距離山行をサポートしてくれます。

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高強度ナイロンとサーモプラスチック・超軽量レースフックをシームレスに合成した堅牢・超軽量アッパー

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ベルクロを外して位置を自由に調整できるアジャスタブル・タン

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衝撃吸収性とグリップ性を見直した専用ビブラムソール。ソールの接地部分を斜めにすることで衝撃吸収性とグリップ力をUPしたインパクトブレーキシステムを採用。つま先部分は岩の細かいホールドにもフリクションがきくようにフラットな作りに。

「超安定トレッキングシューズ」としての軽快さと柔軟性

このブーツ、数値的な重量はもちろんのこと、履いたときの踵と甲を包み込むような安定したフィット感といい、体感的な軽さでいえば「ちょっと厚めなトレッキングシューズ並」と言っても過言でないくらい快適です。さらにこれだけ足首全体を覆うハイカット構造でありながら足首の動きも思いの外スムーズにしてくれる「3Dフレックスシステム」がこれだけの本格ブーツを履いていることを忘れさせてくれます。

足首をきっちりホールドしながら、自由度を大幅に高める3Dフレックスシステム。可動域が広がることで登り、下り、トラバース時にフラットフッティングがしやすい。

足首をきっちりホールドしながら、自由度を大幅に高める3Dフレックスシステム。可動域が広がることで登り、下り、トラバース時にフラットフッティングがしやすい。

ここがイマイチ

正直いって、機能的・性能的な不満は現在のところまったくといっていいほど見当たりません。ただ、この高価格にはぼくを含めてちょっと躊躇してしまうの人も多いのでは無いかということ。もうひとつ、フットボールのユニフォームでも見かけないようなサイケデリックなカラーリングです(イエローのモデルはまだマシですが・・・)。

まとめ:どんな活動におすすめ?

もし既に用途別の登山靴を複数もっていてピンポイントな目的の靴を探していたり、アルプスなどの高山や岩場にはまったく行かないという人がいたとしたら、このブーツは不要かもしれません。それ以外のすべての人にとっては(足型がフィットする前提で)このトレッキングブーツが大活躍してくれることは間違いありません。森林限界を超えた岩場の多い高山歩きや、1泊以上の長い距離の縦走などはこの靴のメインフィールド。もちろん軽いハイキングにも、初冬や残雪期のトレッキングにも十分使えます。また軽いハイキングしかしなかったとしても、足元が不安な方や、足首をきちっとサポートしてくれてなおかつ軽快に歩きたいというニーズにはピッタリです。

同社のほぼ同じ機能をもったモデルでは「TRANGO S EVO GORE-TEX」もあります。価格もこちらの方がかなりお手頃。でも実際に試着し、最終的に決め手となったのは踵を含めた足へのフィット感と足の自由度がこちらの方が確かに実感できたこと。そしてなにより軽くて細身なシルエットが軽い山歩きにも使えそうであったことなどです。もちろん個人差がありますので、お店で実際に履き比べると良いと思います。