そろそろミドルレイヤー選びについてまとめておく

ミドルレイヤーと一言でいいますが、いつの日からか世の中には素材や形状がまったく違うのにそれらしき位置付けの製品が溢れ、単なる防寒具という認識でいいと思っていた昔に比べると、本当に選ぶのが難しくなっている気がします。今回はそんな疑問からスタートし、今一度、ミドルレイヤーとは何なのか、何をどういう基準で選ぶのが良いのか、あらためて自分なりに整理したいと思います。

ミドルレイヤー=防寒着?

アウトドアでは朝昼夜での気温、行動中と休憩中の体温、気象状況など周囲の環境がとても変わりやすいがゆえに、より快適に過ごすためにはそれに適った「レイヤリング(重ね着)」の知識と準備が必要です。そこでミドルレイヤーとは、いわゆる肌着とアウターの中間に着込む位置づけのウェアのことをいいます。そんな横文字の理屈を知らなかった山を登りはじめた頃のぼくは、単に「防寒着」のこと、くらいにしか思っていませんでした。いや、その考えは今でもまったくの間違いではないとは思います。ただ長く山を続けていくと、一言で寒さをしのぐといってもまざまなケースが出てくるもの。時と場合によってはいつも使っているその防寒着では寒すぎたり暑すぎたり、重すぎたりかさばったり使いにくかったりしてきます。そこではじめて、防寒といってもいろいろな「ちょうどいい」防寒の方法があり、自分にとってベストなちょうどいいミドルレイヤーとは何だ?という疑問が湧いてくるわけです。その意味でミドルレイヤーは実に奥が深い、というか、素人泣かせのやっかいなウェアだといえます。

レイヤリングについての予備知識

このまま話を進めていくのは少し不親切かと思われるので、このレイヤリングという考え方についてざっと一通りおさらいしておきたいと思います(分っている方は読み飛ばして問題ないです)。レイヤリングについてあらためて詳しくはやりたいと思っていますが、まぁネット上にはたくさんそういった説明は溢れてますので、余裕のある方はググってみてください。

アウトドアにおいて、レイヤリングとは少しでも安全・快適に過ごすための機能と効率を考えた、着こなし方のセオリー。発汗処理と外気からの遮断(保温)という機能の両立、そして想定されるさまざまな気象条件に即座に対応(調整)できる融通性。それらを同時に解決するため、役割で分けて重ね着できるようにしたのがレイヤリングです。その機能で分けたレイヤーは、大きく以下の3つ。
※3つのレイヤーだからといって重ね着が3枚である必要はありません。

ベースレイヤー: 汗を吸い上げ、外に逃がす

肌に触れるレイヤーのことです。身体から出る汗を肌に残さないように吸い上げて外に逃がすことで、体温を一定に保ちやすくしてくれ、汗で濡れた衣服の不快感もなくしてくれます。そのため生地の素材は吸湿・速乾性能の優れた化学繊維やウールが鉄板。ちなみにベースレイヤーについてはこちらの記事で詳しくレポートしています。

ミドルレイヤー: 外気を遮断しウェア内部を保温

ミドルレイヤーの役割は端的にいうと断熱。外部の冷気と体温との間に、中綿を詰めたウェアを挟むことによって「空気の壁」をつくります。それによって体表面近くの暖かい空気を閉じ込め、快適さを保ってくれます。また、ベースレイヤーから排出された湿気(水蒸気)が抜けていくだけの透湿性も重要な役割のひとつです。詳細については以下で説明します。

シェルレイヤー: 風雨など気象変化から身体を守る

ベース・ミドルレイヤーが主に内部を閉じ込める機能であったのに対し、シェルレイヤーの役割はその逆です。冷気はもちろんのこと、雨・風・雪などあらゆる気象条件による外部からの影響から身を守ります。ゴアテックスなどの防水透湿素材によって、内部の汗(水蒸気)を外ににがすという機能もあります。想定する気象条件によって、薄手の単なる風よけ程度のものから、厳冬期での厚手の完全防水・防風・保温のタイプまでさまざまです。

ミドルレイヤー選びのコツを考えてみた

さてようやくミドルレイヤー選びです。ここまで整理できたところで、ようやくなぜ巷にさまざまな種類のミドルレイヤー製品が溢れているのかの理由が分ってきました。つまり、ミドルレイヤー自体の役割は断熱・保温なのですが、その保温機能の程度と、その挟まれた上下のレイヤーの役割などを一部付加機能として採用しているかどうかによってさまざまなバリエーションが生まれていたのです。

素材・形状別ミドルレイヤー比較表

以下に素材や形状で分類した代表的なミドルレイヤーの種類と一般的な特徴の比較を表にまとめてみました。もちろん個々の製品の個性や生地の厚み、中綿の質・量によって性能は大きく上下するので、あくまでも目安として考えてください。

ミドルレイヤーのうち、保温に特化したインサレーションウェアについての比較テストはこちら

種類 ウィンドシェル フリース インサレーション(ダウン) インサレーション(化繊) ソフトシェル
保温素材 なし 化学繊維(ポリエステル) ダウン 化学繊維 化学繊維
保温力 × △(~◯)
重量・体積 △(~◯)
ストレッチ性
透湿性
通気性・速乾性 ×
撥水性 ×
防風性
使い勝手・手軽さ

上の比較表から少し乱暴ではありますが、それぞれの種類の最適な利用シーンをまとめると、

  • 冬用で、より防寒性能に特化 → インサレーション(ダウン)
  • 価格や洗いやすさなど使い勝手重視 → インサレーション(化繊)
  • 行動着から防寒までオールマイティなものが欲しい → フリース
  • ちょっとした防寒、アウターとしても使いたい → ソフトシェル
  • 夏の軽いハイキング限定でアウターにも使える → ウィンドシェル
  • 形と肌触りなど何らかのこだわりがある人向け → ウールのセーターとか山シャツとか

ということが、ひとまずはいえるのではないでしょうか。

ただ個人的に思うのは、日本のような雨前提の気候で果たしてウィンドシェルやソフトシェルを、アウター代わりとして考えてよいのだろうかということ。元々アメリカやヨーロッパの気候のなかで生まれたウィンドシェルやソフトシェルをそのまま日本に置き換えて使うのはどうかと思うわけです。ソフトシェルは確かにそこそこ防風・防水・保温ができて、非常に使い勝手が良さそうです。ものによってはかなりの高機能のタイプもあります。が、大部分のタイプは長時間の雨に対してはやはり不安です。そうなると結局しっかりとした防寒具や雨具も持っていかなければなりません。こんな理由から、ぼくは日本においてはウィンドシェルやソフトシェルで必要十分というシーンはあまり無く、一通りのギアをそろえてさらに細かく使い分ける余裕がある人にとっておすすめなんじゃないかと今のところは思ってます。

インサレーションについては、こちらのインサレーション選びについての記事で、さらに詳細な考察をしていますので興味がある方は見ていってください。

季節と目的別おすすめミドルレイヤー

キャンプや夏の半日ハイキング(すぐに里に帰れる)

  • 軽く羽織れるウィンドシェル(シェルレイヤーとしても使用)

いろいろいちゃもんをつけているウィンドシェルですが、実は街着としてぼくは前から活用しており、その延長レベルのアウトドアシーンで利用すればミドル・シェルレイヤーとしてかなりフィットすることに気がつきました。ちょっと日が陰っても寒くないし、軽い雨なら濡れないし、結構使い勝手が良かったりします。街着の延長としてのアウトドアといえば、例えばキャンプ、またはちょっとした1~2時間のハイキングなど。もちろん街で軽く羽織るのには最適です。

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日帰りハイキング

  • 行動重視でフリースまたはソフトシェル(寒ければインサレーション)

ここからは本番の山登りでの利用を考慮したおすすめですが、日帰りハイキングでは基本的に行動中に使うことをより重視して考えます。例えば長い休憩で少し冷えた時、稜線の風が強くて体温を奪われそうになった時など、行動の延長線上で着ることを考えると、着ながら行動しても快適なものを選びたい。そうなると保温性だけでなく通気性もあるフリースや、透湿性の高いソフトシェルがおすすめです。より保温を意識するならフリース、行動しやすさを重視するならソフトシェルでしょうか。ソフトシェルに関して言えばアイテムによってさまざまな特徴があるため、どのようなシーンで着るのかをより具体的にイメージして選ぶ必要があります。ただ、いずれにせよアウターとしてレインウェアなどの防水シェルも忘れずに備えておくことをおすすめします。

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春~秋の1泊以上

  • より保温性重視のインサレーションジャケット(もしくはフリース)

日帰りハイキングと違い1泊以上の泊り山行では、行動を終えた後、急激に下がった気温の中での防寒着として使うことになります。そうなると、どうしても行動中に十分なくらいの防寒ではやや不安なので、ミドルレイヤーには動かなくても十分暖かい程度の保温性重視のインサレーションジャケットがあると安心。ただ、季節や場所によって必要な保温力はさまざまですし、どのように保温力を確保するかは人それぞれによる工夫でなんとでもなります。重要なのはレイヤリングのセオリーを崩さずに重ね着していくことです。ぼくの場合はメリノウールのアンダーウェアと中厚のフリースを基本に、季節に合わせて組み合わせることによってミドルレイヤーの機能を効かせています。盛夏はウールのアンダーウェアを重ね着し、寒くなればフリース、もっと寒くなればウール&フリース&・・・という具合です。

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冬季・積雪期登山

  • 薄手~中厚フリース&インサレーションジャケット

冬のミドルレイヤーは、基本的には泊り山行の延長線上と考えて間違いないでしょう。ただ、より寒いということだけでなく、行動中も着るケースが結構あるということも想定できるので、その意味では分厚いインサレーション1着というのではなく、薄手~中厚のフリース(もしくは同等の機能を持ったソフトシェル)と、インサレーションの組み合わせがベストではないかと思います。このときも例えばインサレーション入りのハードシェルなど他のレイヤーとの組み合わせで総合的に、どこでどう保温できるかを具体的にイメージしておくことが重要です。

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まとめ

ミドルレイヤーの選び方について自分なりのベストチョイスを考えてみました。もちろんこれはあくまでも理想型であり、限られた装備の中で工夫して自分のスタイルをつくるのが愉しいし、大切なのは言うまでもありません。「不快=危険」なアウトドアでは、例えば予想外の吹雪が適切な着こなしで素晴らしい体験になることも、間違った着こなしのために二度と味わいたくない恐怖の体験になることも紙一重であることを忘れずに、みなさんにとって理想のミドルレイヤーにめぐり逢えれば幸いです。

ミドルレイヤーのうち、保温に特化したインサレーションウェアについての比較テストはこちら

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