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比較レビュー:冬用ダウンシュラフ 極寒の冬山でもぬくぬくと熟睡できたのは?

前ページでは比較したモデルのランキングと、評価・スペックの一覧、そしてそれに基づくおすすめを紹介しました。ここからはその評価について、どのような基準で評価したのか、なぜそのような評価になったのかについて補足していきます。

各項目詳細レビュー

保温性

シュラフ内で発生した熱は暖かいところから冷たいところへ移動かつ上昇する性質があります。この暖かい空気を逃がすことなく、かつ外気との断熱層でもあるシュラフによりいかに有効な保温性能を発揮するかが暖かいダウンを決定づけるポイントとなります。そのためにもダウンの質、FP、シュラフの構造が重要な要素になります。その辺りの細かい知識については、こちらの記事で詳しく説明しています

今回の3モデルではISUKAモンベルが800FPグースダウン、ナンガは770FPダックダウンを使用しています。今回の比較で分かったのは、ISUKAモンベルではダウン量の差が保温力の差に繋がった、そしてモンベルナンガではダウン品質その他の差が保温力の差に繋がったものと思われます。

また、屋外で強風(最大瞬間風速13.0m/s)時に約1時間シュラフ内に入り防風性と保温性能を検証してみました。本来はテント内に入るため風を直接受けることはないと思いますが、あくまでもフィールドテストということで実施してみました。

吹きさらしの雪の上で寝てみると、冷気の通りやすさが顕著に分かる。

結果、ISUKAは身体部分の防風性・保温性は優れていますが、フードが浅いため頭部から受ける冷気がかなり多かったです。それに比べ、モンベルは深めのフードに頭部が守られて身体部分も暖かく防風性もあるため1時間問題なく耐えることができました。一方ナンガは身体全体で冷気を感じ1時間後には身体も冷えてしまい快適とは程遠くなる結果となってしまいました。

重量

保温性を確保するためにはどうしても中綿の量を多くする必要があり、保温性能と重量は比例していくものです。登山用品はコンパクトかつ軽量であるに越したことはないのですが、保温性を確保しなくてはいけない冬用シュラフにとってこのバランスが難しいもの。今回の3モデルに関していえば、どれも保温性能の割にはかなり軽量化が図られていると思います。その中でもモンベル アルパインダウンハガー800#1 は実測924gと、このクラスで1000gを下回っていることには注目すべきポイントです。

快適性

シュラフ内では暖かいのは勿論ですが、快適に眠りに就きたいものです。シュラフ内壁の素材に注目すると、ISUKAナンガは生地が非常に柔らかく肌触りが心地よかったです。モンベルの生地はパリパリとやや固い印象、寝返りを打つ際に発生する音も一番大きかったです。眠れないレベルではないと思いますが筆者は気になってしまいました。ただストレッチ性は素晴らしく寝相の悪い筆者も快眠することができました。

フィット感はISUKAが素晴らしかったです。他の2モデルが首回りをドローコードで締め付けるタイプに対して、ISUKAはU字型のショルダーウォーマーがしっかりとフィットしてくれますので首元も暖かかったです。また、独自の3D構造が身体に沿っており、身体全体がシュラフにしっかりとフィットし、保温性低下の原因となる無駄なスペースが最も少ないように感じました。一方モンベルの首周りについては、他の2つと比較すると若干快適性が落ちる気がします。

携帯性(収納性)

収納サイズでみると最もコンパクトなのはナンガ。次いでモンベル。対して最も大きかったのがISUKA。保温性能が素晴らしい反面、重量とサイズに関しては妥協しなくてはならない部分があります。

左からISUKA AIR 630EX、NANGA UDD BAG 630DX、mont-bell アルパインダウンハガー800#1。

一方、ダウン製シュラフの収納は意外と大変で、物によってはかなりの労力が必要とされることもあります。そんな負担を軽減しようと付属のスタッフバックにも各メーカーで工夫が凝らされています。その点でいえば、モンベルのスタッフバッグが非常に優秀でした。シュラフと同じスパイラルストレッチシステムが使用されているため、シュラフを押し込めば生地が伸びてくれるので収納時の負担も軽減されます。入口が広く作られているところも高評価ポイントです。また、パッキング時にも形状を変化させてくれ、伸ばすようにコロコロ転がすと、形状が細長くなります。これがなんともありがたく、ザック内のデッドスペースにピタリと収まってくれます。また、スタッフバッグにもドローコードが2つ装着されているので、圧縮する時にも非常に楽でした。やはりドローコードが2つ装着しているモデルは非常に便利ですね。

機能性

まずはファスナーについて。正直、各メーカーで噛み込みを防止するよう工夫されていますが、全く噛み込まないファスナーはありません。どのモデルも内側からファスナーを閉めると噛み込む確率が高くなります。その中でもISUKAは最も噛み込む頻度が少なく開閉時の動きも非常にスムーズでした。また、ナンガのファスナーには蓄光式樹脂が使用されているため暗闇の中での視認性は抜群。これは非常にありがたい機能でした。

次に表面の撥水性です。撥水性を検証するのに2つのテストを行いました。

ひとつはシャワーの水をシュラフに当て続け3分、5分、10分後に表地の撥水性とファスナー部分からの水の侵入を評価。もうひとつは湯船の中に完全にシュラフを沈めて、ダウンを水浸しにした状態で実際に使い物になるかを評価してみました。

一定時間シャワーを当てて内部への浸水しにくさを確認。

結果、シャワーを当て続け3分後で比較するとナンガは全体的に湿っぽくなっていたのに対して、他の2モデルは5分後までダウンへ水の浸入を許しませんでした。この撥水性能は非常に素晴らしいと思います。特にモンベルは10分後にはダウンへの水の浸入がみられるも、そのほとんどがファスナー部分からのもので表地の撥水性能は継続していました。「世界最高レベルの撥水性」と誇っているポルカテックスの撥水性能には絶大な信頼を寄せることができますね。3モデルともファスナー部分からの水の侵入は防ぐことができませんでした。これは今後の課題かもしれません。

続いて、湯船に貯めた水の中にシュラフを沈めた結果です。ナンガは群を抜いて超撥水加工ダウンの性能を発揮していました。シュラフを水中に沈めてもすぐに浮き上がってきて、全体を沈めるのに一苦労するほどでした。数回繰り返すも、結果は同じでダウンまでビチャビチャになることはありませんでした。他の2モデルは約3分後にはシュラフ全体が水中に沈み完全にビチャビチャになってしまいました。

ちょっとした水を弾くレベルならばモンベルやISUKAの撥水生地でも十分機能してくれそうですが、湿気や水気が慢性的にあるような状況であれば、やはりUDD BAG 630DXのクラスの超撥水加工ダウンは安心できそうです。

まとめ

評価項目が色々とありましたが、やはり冬用シュラフに求めることは主に保温性能と軽量性ではないでしょうか。今回の検証を通して、筆者が2000m級の冬山で使用するならば、快適な寝心地をとるならばISUKA AIR 630EX、寒さはなんとかなりそうだけど軽さと携帯性を重視するならモンベル アルパインダウンハガー800#1です。コストパフォーマンス重視という人もいいでしょう。

一方ナンガ UDD BAG 630DXに関しては、テストの結果、保温性からすると今回比較した2モデルに相当するのは一つ上のクラスである「UDD BAG 810DX」の方だったかもしれません(あるいは「AURORA light 600」)。個人の感覚にもよりますが、温度範囲は上記を参考にやや厳しめにみたうえで、数泊にわたる長めの山旅に使用するモデルとしておすすめです。

最後に今回のテストを通じて、当たり前ですが、シュラフ選びではなによりも保温性能が最も重要であることを再認識しました。温かくないシュラフは他のどんな機能も無駄です。自分の目的にかなう温度範囲を定めたうえで、軽さ、コンパクトさ、快適さ、その他細かい機能、パーツなど、妥協できる点や優先順位を意識して選んでいくのがいいでしょう。決して安い買い物ではないので、慎重に選びたいものですよね。今回の検証を皆さまのシュラフ選びの参考にしていただければ幸いです。

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TAC

北海道在住。休日となれば、家でじっとしてはいられず、何かしらのアクティビティをしています。夏は登山、釣り、キャンプ、冬はスノーボード、ワカサギ釣りに没頭。このサイトのファンでもあり、ギアの魅力を伝えることが楽しみで参加させていただきました。登山だけではなく、様々なアクティビティの視点からレビューしていきたいと思っています。

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