購入ガイド:CASIO・GARMIN・EPSON、ぜんぶ試してみて分かった、目的別GPS付きアウトドアウォッチの最適解【前編】
4. 操作性・インターフェース ~タッチパネル操作に慣れると他のすべてが面倒に~
時計を見るだけでなく、さまざまな情報を確認したり、機能を設定したりするアウトドアウォッチでは、時計を操作することが頻繁に発生します。このため操作性の高さや設定のシンプルさは重要です。
この点でまず際立っていたのはWSD-F20ののシンプルな「3つのボタン+タッチパネル液晶」による操作です。右側にまとまった3つのボタンのうち、上と下ボタンはあらかじめセットされた主要な機能(デフォルトでは各種センサー確認と地図表示)を呼び出すだけですから、実質的にはすべての操作を真ん中の「メニュー呼び出しボタン」とタッチパネルしか使いません。もちろん、タッチパネルに慣れていない人にとっては違った印象なのかもしれませんが、スマホのインターフェースに慣れている人の方が多い昨今ではきっとこちらの操作の方が楽に思うに違いありません。
他方fenix 5x、MZ-500は左右に配置された5つのボタンを様々に駆使して、多くの複雑な機能を呼び出し、設定していかなければなりません。特にガーミンは一つ一つの操作を直感的に行うことは難しく、まずは時間をかけて機能の名前や、メニューの場所、それぞれの操作を「覚え」ていかなければなりません。個人的には「ボタン長押し」という癖のある操作がいろんなタイミングで必要になってくるあたりがしんどい。これもあくまで相対的な話ですが。
象徴的なのが地図画面での操作でした。それを比べてみます。
WSD-F20の方は見たまんま、画面にあるボタンをそのままタップしたり(写真には表示されていないが、画面上に「+」と「-」ボタンが出て、そこをタップすれば拡大縮小が可能)、スワイプ・ピンチイン・ピンチアウトなど、慣れた操作がそのまま使えますが、fenix 5xはまず地図を表示したはいいけど、そこから地図の縮尺を変更しようと思うと「メニューボタン長押し」→「縮尺変更」→「メニュー(UP)・DOWNボタンで縮尺変更」という操作が必要。そのうえ地図をスクロールしようと思たらさらに「右上ボタン」を押して左右か上下の移動モードに変更してから、またUP・DOWNボタンでちょっとずつ動かす・・・という具合。とにかく地図を見ようという意欲が削がれるインターフェースは改善してほしいところです。
5. バッテリー寿命 ~EPSON強し、GARMIN健闘、CASIOは及第点~
バッテリー寿命についてはスペック上で一通りの答えは出ていますが、大抵の場合それはあくまでも理論上の最大値です。それよりも多くの人にとって知りたいのは、特定のアクティビティで、実際の使い方をしたときにどうなのかです。
そこで今回は日帰りハイキングで、満充電の状態から同時にスタートし、ゴール地点でのバッテリー容量を繰り返すというテストを3回ほど比較してみました。3回とも傾向に大きな違いはなかったため、下表にその中の1回、「谷川岳での日帰り登山(約6時間の行程)、頻繁に地図などを表示させての行動」での結果を紹介します。
アイテム名 | CASIO PRO TREK Smart WSD-F20 | GARMIN fenix 5x Sapphire | EPSON Wristable GPS for Trek MZ-500 |
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公式スペック | 7~9時間(精度優先、毎秒測位、カラー表示オートOFF) | 最大20時間(トレーニングモード+GPSモード+光学心拍計) | 約46時間(高精度モード、GPS毎秒測位) |
ゴール時のバッテリー容量 | 36% | 63% | 24時間以上の余裕 |
備考 |
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結果に関して、どれも実用に耐えないということはないですが、やはり安心感でいうとMZ-500の消費量は驚異的、fenix 5xはよくやっている、一方WSD-F20の消耗度合いは気になります(ただ本来であれば、登山中は不要な通信を止めるため、機内モードをオンにしておけばもっと消費は抑えられたはずです)。
大雑把にいってしまうと、バッテリーの良さは、ほぼ画面の見やすさやUIの使い勝手と比例しているといいましょうか。バッテリーそのものの優劣というよりも、より表示の明瞭さや操作性の高さに重きを置いた結果、その分、電池の持ちは割を食ってしまうというようです。
ただひとつこれはフォローするわけではないですが、最もバッテリー消費が激しいWSD-F20については「充電しながら使える※」という他の2機種にはない裏技的な特徴があります。そこで本当に電池残量がヤバいという状況になった場合には、ポケットに入れたモバイルバッテリーから直接コードを手首まで伸ばし、充電してしまえばよいのです。※どのモデルも計測しながらの充電は可能ですので、正確には「充電しながら腕に装着できる」。
もちろん、メーカーも特に推奨しているわけではありません。個人的にも伸びたコードは不格好だし、引っ掛かりやすくもあるので、どんな状況下でもおすすめできるわけではありません。ただ数十分の充電でかなり回復しますし、最近のモバイルバッテリーは大容量でも非常にコンパクトなモデルがありますので、実際には十分に使える方法だと思います。何よりも本当に必要なときに緊急時の方法として工夫ができるということが重要です。
後編へ続く
ここまで比較レビューの前半、外観と全般的な使い勝手について書いてきました。次回はいよいよ実際にハイキングなどのアウトドアできることと、アプリやセンサーの使い勝手について深くみていきたいと思います。
【参考】WSD-F20・fenix 5x Sapphire・MZ-500Lスペック比較表
※各公式HPより抜粋