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First Look:”ライト&ファスト”MONTANEの本気が清々しい、ライトウェイト・バックパック3選

世界の名だたる名峰を征服していった英国と、世界最古の山岳レース発祥の地である英国。

イギリスのアウトドア文化の特徴の1つはこの”高さ”と”速さ”という2つの伝統の共存であり、そのケミストリーの面白さを体現しているブランドが MONTANE(モンテイン)です。93年設立の彼らは自らのミッションについて公式サイトでこんなことを謳っています。

Montane engineers innovative, lightweight, breathable clothing and equipment for endurance sports and activities in extreme environments

モンテインの使命は、過酷な環境における持久系スポーツのために軽量で通気性の高い、革新的なウェアやギアを作り続けること(キリッ

本国サイトミッションステイトメントより要約

気持ちいいくらいに明確です。明確すぎて逆に「いや分かるけどそこまで限定して大丈夫か?」と心配してしまうほど。とにもかくにも、彼らが常に新しい技術を貪欲に採り入れながら、極地に耐えうる耐久性と、1秒を短縮するための軽量性・効率性に徹底的にこだわるメーカーであることは間違いありません。

そんな彼らのバックパックのラインナップは2016年、大幅に見直された結果、クライミング・本格縦走・ハイキング・ランニングと、昨今の多様化するそれぞれのニーズに最適化された多くの新作が追加されています。今回はそのなかから、低山ハイキングからさまざまなアクティビティまで幅広く使える軽量バックパック3点を入手しましたので、ファーストインプレッションをご紹介します。

各アイテムの主な特徴

軽さ・容量・快適さにスキなし:Ultra Tour 40

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730gという重量は、他の「ウルトラライト」なバックパックに比べればさすがに劣るかもしれませんが、一般的なバックパックとして考えれば十分軽量。このパックの魅力は極端な軽さではなく、軽さのなかでも適度な快適性と耐久性、日帰りから一泊まで対応する十分な収納性といった使いやすさの絶妙なバランスにあります。

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生地には優れた耐久性と引裂強度にもかかわらず軽量・耐久撥水性を備えたRAPTOR Zeroを採用。

独自の背面機構「コンフォート・ベント・バック・パッド」は、金属のフレームや硬質の樹脂などを使用していないにもかかわらず思ったよりも安定しています。肩と腰に当たる部分はメッシュとうねりによって十分な通気性も確保されていて、通常のバックパックと遜色ないしっかりしたヒップベルトと合わせて背負い心地は上々。

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大きく開くロールトップ式のデザインは荷物の出し入れを容易にするだけでなく水の浸入も防ぐのでレインカバー要らず。今や軽量バックパックの定番デザインとなりつつあります。入口両端のバックルは上で留めても良し、そして取り外し可能なサイドバックルで留めても良しと好みに合わせて自由にカスタマイズ可能です。

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ロールトップの両端同士をバックルで閉じた場合(左)。両端をサイドのバックルで留めるとパーツは増えるがデザインもスッキリする。

収納面ではフロント・サイド・ショルダー・ヒップベルトのメッシュポケットに大小さまざまな衣類・小物を収納できます。このため天蓋のポケットがないという不便さをまったく感じさせません。フロント両側には取り外したり高さ調節が可能なアックス・ポール用ループ、そしてストラップやドローコードを通すためのデイジーチェーンが、拡張性の高いパッキングを可能にしてくれます。

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大きくて伸縮性の高いメッシュポケット(上・下段左)、取り付けの簡単なポールホルダー(上段右)、底部のストラップにはマットやテント・シュラフなどが取り付けられる。

ミニマリストのための最軽量モデル:Hyper Tour 38

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一言でいうと「攻め」のバックパック。メイン素材には驚くほどの軽さと、防弾ベストに使用されるほどの強靭さ、そして完全防水性(シームリング済み)を併せもつ最新鋭の「キューベンファイバー」を採用。ポケットやアタッチメント類をそぎ落とした極めてシンプルな構造も含め、これまで一部の小規模なバックパック専門メーカーでしか見られなかった思い切りの良い仕様に、モンテインらしいチャレンジ精神がビシビシ伝わってきます(もちろん、賛否はあると思いますが)。

収納口は多くのウルトラライト系バックパックと同じように、大きく開いて出し入れが簡単、そして浸水も防げるロールトップ式。

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寸胴型のメインコンパートメントはパッキングし易くて収納性十分。

背面はウルトラツアー40でも採用されている「コンフォート・ベント・バック・パッド」をベースにはしていますが、ここでも切り詰められるところは極力省略されています。

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その結果、こちらの背面全体は軽量化を優先した柔らかいパッド(取り外し可能)が内蔵されているのみとなるため、どうしても背面が平面になりにくく、背負い心地に関しては正直多くを望めません。ただ、このパックにとってはある意味それも想定の範囲内。実はこの背面パネル「アルパインマット」は取り外して就寝用のマットとしても利用可能。これも軽量化を突き詰める仕組みの1つです。

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三つ折りになった内部のパッドを取り出して広げると、快適とはいかないまでも、最低限使えるクローズドセルのマットとして利用可能。

ポケットやアタッチメント類にももちろん極限までのミニマル志向は貫かれています。ポケットといえば伸縮性のあるメッシュポケットがショルダーストラップ(エナジーバーやジェル、スマホも小さめならば何とか収納可能)、そしてヒップベルトに大小1つずつだけ。

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ネットになっているショルダーベルトのメッシュポケット(左)には何とかスマホが収納できたが、蓋がないので落ちないという保証はない。

アタッチメントに至っては、サイドには何も無し、フロントのデイジーチェーンとそこに取り付けられたゴムのドローコードとポール・アックス用のループ(×1)のみという潔さ。それでも工夫次第で結構色々何とかなるもんですから、そこはパッキング・スキルの見せ所ということも言えなくもない?

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外側には多少のギアは取り付けられるが、限度がある。小物などは別途サコッシュなどのサブバッグを用いるのがベターのようだ。

幅広いアクティビティに対応する軽量パック:Medusa 32

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最後はここ数年、安定した人気を誇る定番モデル。これまでの2つとはうって変わってスタンダードなデザインの、トレッキングからバックカントリーまで幅広く使える32Lのテクニカルパックは、表地に耐久性と軽さを両立する Raptor TL 及び Raptor UTL 生地を使用し、幅広いアクティビティに対応する安定した耐久性を確保しています。

背面パネル「コンフォート・バック・パッド」は適度な硬さで安定感があり、細かい溝が高い通気性と快適性を実現。ショルダー・ヒップベルトに使用されている CONTACT Mesh は衣服との摩擦を軽減し、適度なクッション性もあり、重い荷物でもしっかりと背負える安心感があります。

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反発力の高いパッドはラグジュアリー感はないものの、クッション性は十分。

それに加えて数々のアイデアに富んだ収納仕様は、このバックパックで最も注目すべき特徴でしょう。まずメインの収納口の Cord Lord 構造では、より少ない手間で開け閉めが可能です。

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珍しい横開きの収納口は両手での開閉が簡単。

伸縮性がありタフな GRANITE STRETCH のサイドポケットはウォーターボトルもバックカントリースキーも収納可能。そして天蓋のポケットは、両側から開閉可能で大きな取り出し口、そしてポケットが空いた状態でもモノが落ちにくいように深めの構造で地味に使いやすい。さらに天蓋裏側にはコインやキーを収納するためのセキュリティポケットも配置。ヒップベルト右側のポケットはヘッドランプやジェル、エナジーバー、GPS、スマホなども入る余裕のサイズです。

外部アタッチメントの目玉はトレッキングポールやアイスアックスなどを素早く安全に装着できる「デュアルツール」システム。他にも要所に配置されたループなど、これが本当に軽量パックなのかと思えるほどに便利なアタッチメントが充実しています。

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ペットボトル程度が入るサイドポケット(上段左)、余裕があり取り出しやすいトップリッドポケット(上段右)、スマホもエナジーバーも入るヒップベルトポケット(下段左)、機能的なデュアルツールシステム(下段右)

ちなみに、3つのパックには共通して、右手だけでワンタッチに取り外しができる便利なスターナム(胸骨)ストラップが付いており、このあたりもスピードハイクを想定した機能の充実ぶりが伺えます。

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スマートなスターナムストラップはワンタッチで取り外しが可能。

まとめ:どんな人におすすめ?

見てきたように、どのモデルも1kgを切る軽さとしっかりとした耐久性というブランド全体のコンセプトを押さえながら、日帰りから小屋泊まり、さらに工夫すればテント泊も可能な30L超という十分な容量を備えているという点で、ファストパッキングなどの軽さを重視した軽快なハイキングにはひとまずまったく問題なく活躍してくれます。

その上で高所や岩場以外でのハイキングを軽快に楽しみたいビギナーに優しいのは、軽さと快適さ、使い勝手のバランスが良く、スッキリとシンプルなデザインのなかに必要最小限の機能を凝縮した Ultra Tour 40がおすすめ。一方岩稜帯や雪山も含めた登山全般を堅実に楽しみたいビギナーが、入門バックパックとしてより軽いものを重視するには Medusa 32 がおすすめとなるでしょう。

では、約100gの軽さのために Hyper Tour 38 を選択するのは変わり者なのか?ここまで極端なモデルは、一般的なハイキング用として考えるとある意味もはや趣味の領域であることは否めません。ただ、沢登りやラフティングなどに使うと想定した場合、「軽量」「防水」「丈夫」といった特性はこれ以上なくマッチし、さらに寸胴型のシルエット、外部アタッチメントの少なさ、弱めのヒップベルトなど、普通ならデメリットとなりそうな特徴もメリットになり得るという意味では、フィットする可能性大です。

バックパックについてはこちらの記事もおすすめ

項目Ultra Tour 40Hyper Tour 38Medusa 32
ここが◎軽量・快適・耐久・利便性のバランス軽量性、防水性、自立するシルエット汎用性、機能的な収納、耐久性
ここが△ヒップ・ショルダーベルトのクッション性ポケット・アタッチメントの少なさ、背面の快適性、価格飛び抜けて軽いわけではない、背面の快適性
おすすめアクティビティスピードハイク、ファストパッキングスピードハイク、ファストパッキング、沢登りファスト&ライトスタイルのクライミング、縦走、沢登り、バックカントリー
Fabric
  • RAPTOR Zero
  • Contact Open Mesh
  • Contact Air Mesh
  • Cuben Fiber
  • Contact Open Mesh
  • Contact Air Mesh
  • GRANITE STRETCH
  • RAPTOR UTL
  • RAPTOR TL
  • CONTACT Mesh
  • HALO
sizeS/M、M/LワンサイズS/M、M/L
容量40L38L32L
重量約730g約640g約967g
重量/容量18.25g/L16.84g/L30.21g/L
アタッチメント
  • 両サイドにZ型サイドコンプレッションストラップ
  • フロント・ショルダーベルトにデイジーチェーン
  • フロントに取り外し可能なポール・アックスループ(×2)
  • サイドに取り外し可能なロールトップ用バックル
  • リバーシブルバックル
  • フロント・ショルダーベルトにデイジーチェーンとドローコード
  • フロントに取り外し可能なポール・アックスループ
  • 両サイドにサイドコンプレッションストラップ
  • アックス・ポールを2本収納可能なデュアルツールシステム
  • 左ヒップベルトにギアループ
  • フロント下部にギアループ
  • フロント4カ所にドローコードなど取り付け可能なループ
ポケット
  • 両サイドにストレッチメッシュポケット
  • フロントに大きなスタッシュポケット
  • 両ショルダーベルトに汎用的なストレッチメッシュポケット
  • 両ヒップベルトにメッシュポケット
  • 左ショルダーベルトに汎用的なストレッチメッシュポケット
  • 両ヒップベルトにメッシュポケット(右のみジッパー付き)
  • トップリッド(天蓋)ポケット
  • トップリッド裏に内部セーフティーポケット
  • 両サイドにGRANITE STRETCH サイドポケット
  • 右ヒップベルトポケット
ハイドレーション対応
付属レインカバー×(不要)×(不要)×
バリエーション
  • Ultra Tour 22
  • Ultra Tour 40
  • Ultra Tour 55
  

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