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【忖度なしの自腹レビュー】Black Diamond ディスタンス22 ランもハイクも気持ちいいハイブリッドバックパックの傑作がアップデート。今回はテント泊まで楽しめるぞ!

Black Diamond ディスタンスシリーズといえば、軽快なベスト型ランニングパックと丈夫な登山用ザックの特徴を併せ持つ、ハイブリッドな小型軽量バックパック。初代モデルは「シーズン・ベスト・ギア」と推す声があちこちに聞かれたほど概ね絶賛の嵐で、双方のメリットだけを抽出して煮詰めたようなその見事なクオリティの高さには、当サイトでもベスト・ファストハイキングパックの太鼓判を押すほどでした。

そんなみんな大好きディスタンスシリーズも気づけば発売から4年が経過し、ついにめでたく2代目へのアップデートを迎えることになりました。2代目のラインナップでまず大きく目を引いた変化としては、ウィメンズモデルと、従来の「4L、8L、15L」サイズの他に、より大容量の「22Lサイズ」が追加されたことです。これは自分のようなカメラ持ちで荷物が多い日帰りストや、あるいは楽に速く歩きたいテント泊派にとっては待ちに待った進化!

そこで今回はこの新しくアップデートされたディスタンスシリーズの大容量モデル、ディスタンス22をレビューしていきます。

Black Diamond ディスタンス22 の大まかな特徴

ベストスタイルのランニングパックをベースにクライミングやスクランブリング、ファストハイキングなどにも対応する機能を詰め込み、現代の軽快でスピーディなアクティビティにマッチしたランニングパック「ディスタンスシリーズ」が第2世代にアップデートし、超軽量テント泊も視野に入る22リットルサイズが新登場。背面から側面にかけて一体化したフィット感の高いショルダーハーネスには前作以上に多彩な収納を備え、行動中の荷物へのアクセスがさらに便利に。前作から引き続きハードなアクティビティに耐えうる耐久性の高い生地、豊富な機能性の高さを備え、ハイテンポでスピーディな登山やハイキングにフィットする完成度の高いバックパック。

お気に入りポイント

  • 必要なものがきっちり収まりアクセスもしやすい便利な外部収納
  • パックを下さず素早く固定できるポールアタッチメントシステム
  • ゴロつきのないショルダーハーネスやサイドのストレッチメッシュによるフィッティングの快適さ
  • 荷物が少なくてもダブつかないサイドコンプレッションストラップ
  • 超軽量で丈夫な生地
  • マウンテンランニングから軽量テント泊ハイキング、ファストクライミングまでカバーする汎用性の高さ

気になるポイント

  • ショルダーストラップのクッション性は22リットルで考えるとやや乏しい
  • 脇下がストレッチメッシュになったショルダーハーネスは状況に応じて締め具合をを変えられない(キツくできない)
  • 雨が降ったらトップから浸水してきてしまいそうな雨蓋構造

主なスペックと評価

項目Black Diamond ディスタンス22
公式容量(本体)22リットル
公式重量412g(Mサイズ実測422g)
生地
  • ナイロン100d + UHMWPE 200dリップストップ
ポケット
  • フロントメッシュポケット
  • 行動中に素早く取り出せる本体一体型Zポールスリーブ
  • 走りながらZポールを素早く脱着できるキャリーシステム
  • デュアルサイドコンプレッション
  • デュアルアイスツールキャリー
  • ソフトフラスクポケット(ソフトフラスクは別売)
  • ショルダーベルトジッパーポケット(内部にホイッスルが付属)
  • ショルダーベルトストレッチポケット×2
  • サイドスタッシュポケット×2
  • 内部ジッパーポケット(キークリップ付き)
快適性★★★★☆
重量★★★☆☆
機動性★★★★☆
機能性★★★★☆
収納性★★★★★
耐久性★★★★★

詳細レビュー

快適性・機動性・耐久性:軽量・快適・堅牢な作りはそのままに、より洗練されたバックパック構造

新しいディスタンス22は基本的なフォルムこそこれまでのディスタンス15までと変わらずで、シンプルかつクリーンなフロントと、背面のベストスタイルのショルダーハーネス、コンプレッションストラップのみのシンプルなサイドは相変わらず。ただフロント全面に黒いストレッチメッシュポケットが組み込まれているところが大きく異なり、トレイルランニングを想定した15Lまでのサイズと違ってUL系のハイキングパックを意識した作りになっているところはひとまず非常に歓迎すべき点といえそうです。

背面パネルは前作同様、BD.dry™ベイパーバリヤーバックパネルを採用し、通気性を備えたメッシュと軽いクッション性を備えた軽量フォームパネルによって蒸れを逃しながらバック内部への水分の侵入を防いでくれます。

メインの生地も前モデル同様、重量当たりの引き裂き強度が鉄の10倍という軽量高耐久なUHWMPE 繊維をグリッド状にブレンドした独自リップストップナイロン生地を採用し、タフな環境でのハードな使用に対応する強度を確保しています。

雨蓋部分はメイン収納の巾着を閉めた上から、外側生地から伸びるフラップをフックで留めるだけの設計になっています。日帰り前提の少ない容量であればそれほど問題はなかったのですが、22リットルでの行動を想定したとき、テント泊等長い期間山に入る場合の雨の浸水がやや心配です。

フィット感の高さはそのままに、使い勝手も向上したショルダーハーネス

前モデルのショルダーハーネスはサイド部分で本体とハーネスがショックコードによって繋がっている仕様でしたが、最新モデルではここがストレッチメッシュへと変更に(下写真)。

実は前作までの、ショックコードを絞ることによってフィット感を自分好みに調節できる仕様が大好きでした。これがあることで荷物の量や登り下りなど、1日のうちに状況に合わせてこまめにきつさを調整できたからです。最新作でその自由度が減ったことは、自分にとっては正直なところ少し物足りない気がしています。

ただ、最新作でもチェストストラップの締め具合を変えることで依然と同じように快適なフィット感を提供してくれます。縫い目のゴロつきがない「ステッチレスエッジテーピングテクノロジー」を駆使した幅広のショルダーハーネスは包み込まれるようにしなやかに身体に寄り添い、ダイナミックに動いても本体はブレにくく、安定感も素晴らしい。

ただやはり、多少の締め具合調節は可能とはいえ前作に比べればフィッティング自由度は相対的に減ったことは確かで、通常時では満足できても荷物が多めの時やスピードが出たときでも安心とまではいかない言わざるを得ません。その意味では購入時での「S/M/L」のサイズ選びがよりシビアになってきていることは注意すべき部分です。

2本あるチェストストラップのうち、下段は伸縮性のあるストラップを採用。ここの締め具合を調節することで本体の跳ね上がりやブレを防いだ快適なフィットが可能。

一方最新仕様で明らかに進化したといえる部分も確実にあります。それはサイド部分がスタッシュポケットとして活用できるようになったことで、使い勝手が大きく向上したこと。補給用の大きなジェルを入れておくのにピッタリです(後述)。

収納性・機能性:必要なものをすべて手の届く場所にセットすることができる、さらに進化した収納たち

前作からのもうひとつの大きな変更点であり、個人的にどストライクだったのがショルダーハーネスのポケットの見直しをはじめとした、収納性(使い勝手)の向上です。以前にも増して、行動中にすぐ手が届くところに欲しいものを過不足なく配置することができるようになりました。

より多彩で豊富になった新モデルのショルダーハーネス収納(左)

下の写真のように、新しいディスタンス22のショルダーハーネスには左右対称に合計8つものポケットが配置され、それぞれ大きさと入り口の仕様などが異なりさまざまなアイテムに対応しています。これだけ収納できれば、行動中パックのメイン収納を開ける必要はほとんどないといっていいでしょう。

①ソフトフラスクポケット

以前よりもさらに深さが増したソフトフラスクポケットには、BDの専用ソフトフラスク(500ml)はもちろんのこと、試したところサロモンの500ml縦長フラスクも、500mlのペットボトルも入れることができます(逆に幅広で短いソフトフラスクは合わないので注意)。

②ショルダーベルトジッパーポケット

十分な広さを備えたジッパー付きポケットには落下してはいけないアイテム、つまりスマホを入れるのに最適です。生地の伸縮性によって裏側にソフトフラスクを入れた状態でも十分収納することができました。

③ショルダーベルトストレッチポケット

①②よりもさらに前面には、幅広でマチのあるポケットが配置。スペース的にはここが最も大きく、食料や手ぬぐいはもちろん、小さなソフトフラスクや軽量なウィンドシェルなども入れておけます。ちなみに左のポケット内にはホイッスルがついています。

④サイドスタッシュポケット

先ほども説明しましたが、ハーネスと本体を連結する部分のストレッチメッシュにも新たにポケットが搭載されました。ある程度の広さがあり、物が飛び出しにくくなっているので、ジェルや袋ゴミ、ギリギリ超軽量シェルも収納することができます。

簡単・しっかり固定できる新しいトレッキングポール固定システム

このパックでのポールの持ち運びについては、新たな方法も含めて2つ提案されています。まず前作と変わらないのは、本体左右にあるポール収納スリーブです(下写真)。基本的には三つ折りのコンパクトサイズのポールであれば、BD製のポールでなくても入ると思われます。

この方法は慣れれば取り出すことは簡単かもしれませんが、逆に収納する操作は難しく、身体が硬い人にとってはやや億劫。そこでもうひとつ、行動中に取り出し、収納を簡単に行えるように新しく搭載されたキャリーシステムが秀逸でした(下写真)。

どのような仕組みかというと、まず手元でポールの両端をそれぞれゴムのループに通します。それぞれのループは自身の肩口と脇腹付近にショックコードで繋がっており、この状態でもポールを胸の前に留めておくことはできています(下写真)。

次に、ループに連結されたポールを(顔をくぐらせて)背中側に追いやります。そして肩口のショックコードを締めることで、バックパックにピッタリと固定されます(下動画)。

これにてセット完了。すぐに走り出すことができます。手元で簡単に操作できるし、セット後は背面に固定されることで行動の邪魔にもならないし、いろいろな点でよく考えられています。

これまであった使いやすさはほぼそのまま

内部へのアクセスも非常に簡易にできています。フックを外して両端を持って引っ張ればそのままガバッと全開する仕様です。瞬時というより、蓋を開ければ同時に開けられます。

両サイドに張り巡らされたコンプレッションコードによって荷物が少なくてもダブつかずにパックを圧縮できます(脱いだウェアを挟んでおくことも)。

フロントに設けられた大きなストレッチメッシュポケットには雨具、食料、サンダル、ウォーターフィルターなど、考えつくようなものは何でも入れておけるほど余裕があります。

本体内部には、ファスナーつきのメッシュポケット、ハイドレーションパックをいれる深めのポケットもついています。貴重品などはファスナーつきのポケットに入れるのが良いでしょう。

まとめ:テント泊も視野に入れた、ランニングもハイキングも両方いける欲張りバックパック

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大人気のハイブリッドバックパックのアップデートとともに新しく加わったサイズ展開のディスタンス22は、このバックパックのコンセプトである「スピード」と「タフさ」を同時に深く追求しようとするファストハイカーやFKT的なULハイカーにとって非常に魅力的な容量と特徴を備えたバックパックです。またそぎ落とされた軽量ボディに快適なフィッティングと進化した高い収納性と使い勝手を実現した本作は、トレイルランやスピードハイキングを中心としながら、通常のハイキング・登山でもこれ1つで無理なく対応できる汎用性も素晴らしく、その意味では決して限られたアスリートのためだけのモノでもありません。春はトレラン、夏は登山、秋はスルーハイク、冬はアイスクライミングなんていう現代の欲張り登山愛好にぜひ。