比較レビュー:話題の超軽量レインウェアを着比べてみた【2015SS】

【お知らせ】超軽量レインウェア比較テスト2016年版が更新されています。最新の比較テスト結果が知りたい方は下のリンクから最新記事に移動してください。

比較テスト:登山にランに大活躍の超軽量レインウェアを着比べてみた【2016年版】

 

アウトドア・ギアのなかでも最重要アイテムのひとつ、レインウェアの分野に現れた比較的新しいカテゴリである「超軽量レインウェア(またはU.L.レインウェアと勝手に命名)」が最近非常にアツいということは以前お伝えしたとおりです。昨今のウルトラ・ライト志向やトレイルランニング、ソロハイクブームなどに見られる「軽量化・透湿性重視」への要望を受けて、各メーカーは素材・重量・デザイン・機能・・・さまざまな点で異なるアプローチの製品が目白押し、2015年はまさに百花繚乱の様相を呈しています。

そこで今回は、先日のおすすめ超軽量レインウェアの中からこれはと思うアイテムをピックアップし、さまざまな条件で着比べて比較・評価してみました。今回の製品はすべておすすめには間違いありませんが、ただそれぞれ強み弱みがあり、それらを知ることでより自分の目的や嗜好にあったものを選び易くなるのではないかと思っています。では、早速いってみましょう!

真っ先に結論が知りたいという方はこちらから結果へジャンプ

今回比較したレインウェアについて

  • 超軽量レインウェアの定義は大まかに「上着で付属品を除いて300g以下」の防水透湿機能を持ったアウターとする
  • 撥水機能が付いているだけの、ほぼウィンドシェルというモデルは除く
  • すべてジャケットタイプで、プルオーバータイプやポンチョなど形状的に差が出てくるものは除く

比較テストアイテム

THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket

HAGLOFS L.I.M III JACKET

mont-bell トレントフライヤー ジャケット

OUTDOOR RESEARCH HELIUM HD JACKET

finetrack エバーブレス フォトンジャケット

NORRONA bitihorn dri 1 Jacket

Berghaus Light Speed Hydroshell Jacket

Rab FLASHPOINT JACKET

MONTANE MINIMUS JACKET

テスト環境

基本的には2015年3月~7月に複数回の山行にて使用。1日ですべてのウェアを試すことはできないので、同日でできる限り多くのウェアを着比べるということを複数回繰り返しテストしました。降雨のテストは山だけでなく雨が降れば街で歩く・サイクリングといったテストも行ない、また大雨は流石に何度も再現できないので屋内シャワーの力を借りたりもしてます。

実地テストによる詳細評価

総合順位 1位 2位 3位 3位 5位 6位 7位 8位 9位
アイテム THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket Rab Flashpoint Jacket MONTANE MINIMUS JACKET NORRONA bitihorn dri 1 Jacket OUTDOOR RESEARCH HELIUM HD JACKET mont-bell トレントフライヤー ジャケット finetrack エバーブレス フォトンジャケット HAGLOFS L.I.M III JACKET berghaus ライト スピード ハイドロシェル ジャケット
防水性
(20点)
18 17 16 16 16 18 17 18 16
透湿性
(20点)
18 18 16 17 17 16 16 15 16
快適性
(20点)
20 17 16 17 16 16 18 17 15
重量
(10点)
8 10 9 9 8 9 6 8 5
収納性
(10点)
7 9 9 9 9 7 5 5 7
耐久性
(5点)
4 3 2 2 2 2 4 3 4
使い易さ
(5点)
3 3 4 3 3 2 3 3 4
デザイン
(5点)
4 4 5 5 4 2 3 4 3
価格
(5点)
1 1 3 2 3 4 3 1 3
総合点(100点満点) 83 82 80 80 77 76 75 74 73
スペック
重量 260g(M) 180g(M) 232g(M) 214g(L) 254g(L) 215g(M) 265g(M) 220g(S) 301g(S)
生地 GORE-TEX C-Knit Backer FlashPoint 15D x 40D PERTEX Shield+ nylon rip-stop dri1 30D Pertex Shield+ 12D GORE-TEX Paclite 15D エバーブレスメンブレン 20D GORE-TEX Paclite Hydroshell Elite
レイヤー 3 3 2.5 2.5 2.5 2.5 3 2.5 2.5
ポケット 2(左・右) 1(胸) 1(胸) 2(胸) 3(左・右・胸) 1(胸) 1(内) 1(胸) 3(左・右・胸)
ピットジップ × × × ×
フード ヘルメット◯ ヘルメット◯ ヘルメット◯ ヘルメット△ ヘルメット◯ ヘルメット◯ ヘルメット△ ヘルメット◯ ヘルメット△
収納方法 スタッフサック スタッフサック スタッフサック なし ポケット スタッフサック スタッフサック なし スタッフサック
参考価格 39,960円 38,880円 29,160円 32,400円 25,920円 22,680円 28,080円 35,640円 29,160円

防水性

雨具としての基本にあたる防水機能ですが、ぶっちゃけ U.L.レインウェアには最初からあまり期待してはいません。結果は果たして、従来から実績のある GORE-TEX Paclite(mont-bell トレントフライヤー ジャケット、HAGLOFS L.I.M III JACKET)が強かった。その他の素材では特に Rab Flashpoint Jacket やfinetrack エバーブレス フォトンジャケットは「防水」という点ではかなりの実力を発揮していましたが、それでもゴアテックス系はどんな素材よりも撥水力(生地表面で水滴を弾いてくれる性能)がなかなか落ちないという点で抜きんでています(もちろんどんな生地でも手入れをしないと時間と共に低下していくのは否めません)。ゴアテックス以外の素材としては、Rab の開発した Flashpoint が撥水性・防水性ともにかなりのパフォーマンスを見せていたのには驚きでした。

透湿性

はじめに前置きしておくと、今回のテストではもちろん実験室などで厳密に測定している訳ではなく、あくまでも実際に使用してどのくらい衣服内の湿気が外に排出されてくれたのかという体感による評価です。このためメーカーによっては素材の透湿性能を公表しているのもありますが、評価は必ずしもそれらの数値の順番通りにはなりません(メーカー毎の測定方法も違うため数字を単純に比較もできない)。それを踏まえて最も透湿性が高いと感じられたのは、従来よりもさらに透湿性がアップしたゴアテックス最新生地 GORE-TEX C-Knit Backer を採用した THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket、そしてこちらも独自の最新素材を使用した Rab Flashpoint Jacket でした。ただその他の素材でも PERTEX Shield+ や dri1 など決して見劣りする訳ではなく、あっても僅差という印象で、どの U.L.レインウェアも行動中に着て不快になるようなことはほぼありませんでした。

参考:各アイテムの耐水圧・透湿性能の公表値

アイテム THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket Rab Flashpoint Jacket MONTANE MINIMUS JACKET NORRONA bitihorn dri 1 Jacket OUTDOOR RESEARCH HELIUM HD JACKET mont-bell トレントフライヤー ジャケット finetrack エバーブレス フォトンジャケット HAGLOFS L.I.M III JACKET berghaus ライト スピード ハイドロシェル ジャケット
耐水圧 非公開 20,000mm 20,000mm 20,000mm 13,000mm 非公開 20,000mm 非公開 15,000mm
透湿性能 非公開 45,000g/m2/24h 25,000g/m2/24h 20,000g/m2/24h 20,000g/m2/24h 非公開 10,000g / m2/ 24hrs (A-1法) 以上 非公開 20,000g/m2/24h

快適性(機動性)

この項目では着たときの肌触りをはじめとして、裁断パターンによる着心地、激しい動きに対する身体の自由度、ピットジップによる通気性の向上など、さまざま視点から考えられますが、それらをまるっと総括して最も快適な行動を可能にしたのは文句なしに THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket。まず裏地に使われている新開発の丸編みニットがこれ以上なく快適だし、ストレスの少ない裁断も快適で、これで防風・防水・透湿・耐久性があるってのだから雨具の革命といってもいい気がする。他のアイテムではストレッチ生地を開発したエバーフォトンも動きやすさという意味ではかなり快適で使い易い(ただ日本人フィットのため袖が短く個人的にはフィットせず・・)。その他 NORRONA bitihorn dri 1 Jacket のピットジップはどのウェアよりも大きく、快適な行動に大きな役割を果たしてくれます。その他のウェアも総じて透湿性の項目と同様、特に酷いというものは無く、さすが快適さを追求したレインウェアだけのことはあります。

重量

何といっても Rab Flashpoint Jacket には驚きました。もちろんこれ以上に軽いレインウェアが無い訳ではありません(例えば berghaus ヴェイパーライト ハイパースモック 2.0)が、登山での使用に耐えうるレインウェアでこの軽さを実現できているのは、僕の知る限りこのウェアだけ。軽量化競争はどこまで行くのか、まだまだ限界が見えません。

収納性

それぞれどこまでコンパクトにパッキングできるかは、このカテゴリのウェアに関して言えば軽さと共に重要な要素です。すべてのアイテムをパッキングした結果が下の写真。ちなみにスタッフサックが無いモデル(NORRONA bitihorn dri 1 Jacket、HAGLOFS L.I.M III JACKET)は片方の腕を捻って袋にするという荒技で無理矢理パッキングしていますので、必ずしも極限まで圧縮はできていません。それらも含めてパッキングのし易いウェアは Rab Flashpoint Jacket、MONTANE MINIMUS JACKET、NORRONA bitihorn dri 1 Jacket、OUTDOOR RESEARCH HELIUM HD JACKET でした。トレントフライヤーもおそらくかなりコンパクトにできるのですが、スタッフサックの余裕がありすぎてちょっと損をしています。

DSC07069

上段左からクライムベリーライト、フラッシュポイント、ミニマス、ビティホーン、ふじりんご、下段左からトレントフライヤー、ヘリウムHD、エバーブレス、L.S.ハイドロシェル、L.I.M III

耐久性

ここでの耐久性は、長期間強度を維持できるかというよりも摩擦・引裂強度といった生地の強さを意味しています。まず前提として、これだけ薄く軽く作っているU.L.レインウェアは、どうしても耐久性が犠牲にならざるを得ません。とはいえ、1~2回着て擦りむけたりちょっと引っ掛けただけで破れてしまう生地は勘弁。で、この項目に関して言えることは、まずfinetrack エバーブレス フォトンジャケットや berghaus ライト スピード ハイドロシェル ジャケットのような厚みのある生地を使用しているウェアについてはかなりの安心感がありました。その他 THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket のような3レイヤーの生地も、裏地は摩擦に強くなっていますし、生地全体の強度も向上しますので高く評価できます。

使い易さ

ここではポケットの数・位置、フードの形状と調節、袖口・裾のフィットなど実際に行動する際に便利と感じられるさまざまなポイントを評価しています。ここで特筆すべきは MONTANE MINIMUS JACKET のポケット・フードの絶妙な作り。極限まで軽量化しつつもしっかりと大きな胸ポケットは収納力抜群(なお、モンテインにはポケットを左右2つ追加した MINIMUS MOUNTAIN JACKET というモデルもあるようです)。ヘルメット対応、ワイヤー入りで使い易いバイザー、軽量レインウェアにもかかわらずフィット感抜群のチンガードを備えたフード周りの作りは他のメーカーにはない意識の高さ、繊細さを感じます。berghaus ライト スピード ハイドロシェル ジャケットも多機能な点では高く評価できますが、その分重量を犠牲にしている点で(モンテインと比較してしまうと)手放しでは賞賛しづらい部分も。

デザイン・価格

デザインについては毎回異論があっていいと思いつつ個人的なことをいわせていただくと、MONTANE MINIMUS JACKET のシルエットと NORRONA bitihorn dri 1 Jacket のカラーリングは断然好き。もちろんそれぞれの体型との兼ね合いがありますから、シルエットがいいからといって万人に適する訳ではないということは前置きしておきますが、それでもモンテインのシルエットはカッコいいだけでなく、機能的に見ても動きやすいからイイんです。機能とデザインを択一的に捉えておらず、同じ道のりにあるものとして捉えているというか。そしてノローナのカラーリング、いかにも北欧プロダクトなこの微妙な色遣いは唯一無二の素晴らしさ。最後に価格については書いてあるとおり、2万前半から4万近くとかなりの幅がありますので、正直悩みどころ。

今回の比較まとめ

総合1位:THE NORTH FACE Climb Very Light Jacket
僅差で2位:Rab Flashpoint Jacket

どちらも超軽量レインウェアというカテゴリを超越するほどの、期待以上のパフォーマンスを魅せてくれました。行動着としての高い透湿性・快適性をもちながら、本格レインウェアにも見劣りしない程の防水性能、そして何よりあり得ない軽さ。長くアウトドア・ギアを見続けてきた身からすると、正直ただただ「未来」としか言えません。で、この2アイテム、どちらを選ぶか迷ったらどうするか。どこまでも「軽さ」をとるのであれば Flashpoint を、「快適さ」をとるのであれば Climb Very Light を選ぶでいいと思います。いずれにせよどちらも選んでも基本的な性能は標準以上、これまでにない体験を約束します!

ベスト・バイ:MONTANE MINIMUS JACKET

上の2アイテムはどうしても価格的にMAXなのでなかなか手が出にくいという場合に、最もコストパフォーマンスの高いアイテムとしておすすめなのは MONTANE MINIMUS JACKET 。金額の差は端的にいうと「防水性能」の差で、正直それ以外では明確に劣っているわけでもありません。ぼくが超軽量レインウェアの凄さを知ったきっかけとなった Pertex Shield+ は非常によくできた素材ですし、細かく配慮された機能は使いやすく、何より見た目もカッコいい。夏の低山日帰り~1泊など用途を絞ればある意味ベストチョイスと言えるのではないでしょうか。

最後に、他の製品もそれぞれ良いところがたくさんあるので、より詳細を知りたいという方はそれぞれのレビューも参考にしてみてくださいね。今回は以上です。

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