Review:OSPREY AETHER AG 60 定番に新機能をプラス、いいとこ取りの贅沢モデル

AETHER(イーサー)といえばオスプレーを代表する縦走・テント泊用バックパックの超定番モデル。そのイーサーに、新感覚の快適な背負い心地で好評を博したアトモスAGの背面システムを組み込んだ最新モデルが今シーズン登場のAETHER(イーサー) AGとなります。
筆者自身、2010年発売の3代目から使い始め、安定した背負い心地と各部分に散りばめられた機能に魅了されて歴代各モデルを使用して来ました。そこで今回は5代目となるこのモデルを新機能「AGサスペンション」と「デイリッドデイパック」を中心に、前モデルとどこが変わったのかを比較しながらレビューしていきます。

大まかな特徴

オスプレーの縦走向け定番モデルに類を見ない背負い心地で話題となった「AGサスペンション」を組み込んだイーサーAG。便利な脇差モード「ストウオンザゴー」や大型のフロント・サイドポケット、天蓋がアタックザックに変形するディリッドデイバック、本体荷室を保護・圧縮できるフラップジャケットカバーなど、いいとこ取りの贅沢モデルとなります。

おすすめポイント

  • AGサスペンションは、あたかも重さを忘れさせてしまうほどの快適な背負い心地
  • 積極使用ができる充実機能のアタックザック
  • 大容量なのに癖がなく使いやすいフロント・サイドのメッシュポケット
  • ムダのない行動を可能にする「ストウオンザゴー」トレッキングポールアタッチメント
  • 抜群のコストパフォーマンス

気になったポイント

  • 前モデルに比べてやや重量が増加(その代わり便利な機能も増加)。
  • ハイドレーションが再び本体内部収納に。
  • AGシステムのふわっとした背負い心地が、人によっては好き嫌いが分かれるかも。

アイテム外観

左から前面、背面、側面

主なスペックと評価

スペック
項目 OSPREY AETHER AG 60
素材
  • メイン=210Dナイロンドビー
  • アクセント=210Dハイテナシティナイロンシャドウボックス
  • ボトム=500Dナイロンパッククロス
カラー
  • アディロンダックグリーン(GN)
  • アウトバックオレンジ(OR)
  • ネプチューンブルー(BL)
サイズ(背面長)
  • S=40~48cm
  • M=46~53cm
  • L=51~58.5cm
容量(リットル) 60
重量 S=2.26kg、M=2.34kg、L=2.36kg
寸法 縦83×横39×奥31cm(Mサイズ)
バリエーション
  • 85L
  • 70L
  • 60L
  • ※女性向けモデル:ARIEL(エーリエル)AGは75/65/55L
メインアクセス トップ・ボトム・J(60Lのみサイド)ジッパー
背面システム アンチグラビティサスペンション
背面長調整 不可(32L以上のモデルは可能)
ハイドレーション対応
レインカバー ×
ポケット・アタッチメント
  • ストレッチメッシュサイドポケット(デュアルアクセス)
  • ジッパー付ヒップベルトポケット
  • フロントストレッチメッシュポケット
  • リムーバルスリーピングパッドストラップ
  • デイリッドデイパック
  • フラップジャケット
  • ストウオンザゴートレッキングポールアタッチメント
評価
快適性 ★★★★★
重量 ★★★☆☆
安定性 ★★★☆☆
使いやすさ ★★★★★
収納・機能性 ★★★★★
汎用性 ★★★★☆
耐久性 ★★★★☆
総合 ★★★★☆

詳細レビュー

今モデルの目玉、”反重力”を冠する背面システム

まず目に付くのは今回から搭載されたAG(Anti-Gravity)サスペンション。アトモスAGに搭載されていたシステムが導入され、製品名もイーサーAGに変化しています。

現行の長期縦走用モデル、ジーニスの背面(下写真)と比べてみても明らかなように、各部が大胆に肉抜きされていて涼しそうな半面、耐重量は27kgまでと前モデルと変わっていません。

イーサーAG(左)とジーニス(右)の背面比較。

そのために最初はフィット感を犠牲にしているのではないかとの不安がありましたが、実際に装備を入れて行動してみたところ、肩から腰にかけて覆うように配置されたメッシュの背面が体に吸い付くようにフィットし、今までにない一体感がありました。

ベルト部分はクッション性がありつつメッシュで通気性が確保され、さらに適度に肉抜きされ軽量性にも配慮されている。

実際に背負ってみて思うのは、AG(Anti-Gravity)の文字のごとく重力に反した背負い心地。メッシュ生地の涼しげな外観にも関わらず、そのメッシュの内側が体に吸い付く感じで体に追従し、重さを腰へと自然に分散してくれます。特に15キロ以下の荷物を背負ったときは、(物理的にありえないことですが)背中や肩に重さをほとんど感じず、上に荷物が引っ張られているような驚きがありました。

S・M・Lの3モデル展開ですが更にクイックトルソーにより背面長を気軽に調整でき、サイズが選べて熱成形が可能なヒップベルト(今回熱成形は試せず)も付いているため、そこまで神経質にならなくても自分の体にフィットさせることができるのが有り難いです。

天蓋が変形、更に進化したアタックザック

また今回のアップデートで大きく変わったのがトップリッド(天蓋)部分です。「デイリッドデイパック」というアタックザックへとトランスフォームする面白い新機能が追加されています。前モデルまで天蓋はウエストバックとして使えましたが(ランバーパック)、容量が少なく防寒具などは外付けせざるを得ないという弱点がありました。

他社製品でもアタックザックが付属しているモデルは見られますが、このモデルはトップリッドをそのまま活用する形なので外側のギアループを活用できたり、軽量アタックザックなのに底面(=通常時のトップ部分)の引き裂き強度が強いのは大きなメリットだと思います。

他にもハイドレーションスリーブ、チェストストラップ、アイスツールループ、キーループ付き小ポケットもありと、本格的にディバックとして使えるのにあえて自己主張しないのはオスプレーらしい誠実さでしょう。

天蓋が器用に変形して、アタッチメント等もついた本格的に使える便利なサブパックに。

ループを利用して防寒具を外付けしたり、胸部に地図やカメラバックも接続できます。また中央のジッパーから内部にアクセスできるので、雨具や軽アイゼン等が取り出しやすいのもポイントです。リッド単体だけでもこれくらいの荷物(下写真)を収納できますので、アタックザックとして文句無し。完全防水ではないので、防水スタッフサック等を併用するとより安心だと思います。

サブザックにもかかわらずデイパックとして使えるほど高い収納性。

まだまだある便利な収納

海外メーカーなのに、ここまでやるか!と思える便利な機能を残りのスペースで紹介してきます。

オスプレーといえば”これ”と答える人もいるぐらいの便利機能、脇差モード「ストウオンザゴー」(下写真)。行動しながらでも簡単にトレッキングポールを一時収納できるアタッチメントです。

「ストウオンザゴー」によって行動中に素早くポールを固定。

これも地味に新機能の「フラップジャケット」は、トップリッドを外して使用したいときの本体荷室保護と圧縮用フラップです(下写真)。デポしたときの本体の保護の他、最初からトップリッドを外して軽量化という使い方もありかもしれません。

荷物が少ない時には「フラップジャケット」とコンプレッションストラップでコンパクトに圧縮できる。

当然左右に配置されているジッパーポケット(下写真)。それなりの耐水性もありカメラや行動食なども入れられます。

イーサーを薦めたい理由のひとつでもある、デュアルアクセスのサイドポケット(下写真)。ウォーターボトルを歩きながら着脱できる柔軟さと、抜け落ちを防止しつつも奥まで押し込んだボトルも引き出せるストレッチ性が便利です。デュアルというだけあって上向きの入口もあるので、コンプレッションストラップと併用すればスコップ等の長物もしっかりと収納できます。

上からも斜めからも収納可能なストレッチサイドポケットは、入り口の取っ手など細かい配慮もニクい。

カンガルーポケット機能、「ストレッチメッシュ フロントパネルポケット」も他モデルより大容量で一時的にシェルやフリースを突っ込んだり、使用済みの雨具を投げ込んだりと大活躍(下写真)。写真ではフリースと化繊のジャケットを無造作に詰めてありますが、まだまだ余裕があります。

フロントポケットはある程度強度もあり、丈夫なストラップもついて冬の装備にも使えそう。

Jジッパー(60のみサイドジッパー)で本体荷室に、下部ジッパーから寝袋スペースにアクセスできる基本機能。下部収納スペースは、ディバイダーストラップの調整で1気室にも調整可能です。

本体内部に直接アクセス可能なジッパーは大型パックには欠かせない機能。

そしてあまりにもオスプレー製品としては当たり前の機能すぎて、説明書にさえ数文字しか記載のない基本機能。スターナムストラップ(チェストストラップ)がレスキューホイッスルになっているのは、改めて特記しておきます(下写真)。いざというときに欲しいアイテムですが。わざわざ買いたくない、使わないのに持ちたくない、咄嗟に出せない等の問題を解決する心配り。オスプレーの小型モデルのタロンや、トレランモデルのデューロ等にも付いている基本思想なのに、あえてアピールしない素朴さが素敵です。

地味に安心なホイッスル付きスターナムストラップ。

気になる点

前モデルより重量増

AGサスペンションの導入とデイリッドデイパックのため、各モデルとも200g重量増。しかし背負い心地は前モデルより向上していますし、いざとなればフラップジャケットのみの運用で重量据え置きでも使えます。

ハイドレーション収納が再び内部へ

やはりこれもAGサスペンションとの兼ね合いかもしれませんが、前モデルで本体を開閉せずに出し入れできたハイドレーション収納部が再び内部格納式になってしまいました。使い倒して行くと評価が変わって来るかもしれませんが、やはり一旦荷物を詰めた状態でストレスなくハイドレーションが出し入れできないのは不便を感じます。

良くも悪くも背中が浮くような独特の浮遊感

調整や使用していくうちに慣れていくのかもしれませんが、背中の空間やショルダーハーネスを繋ぐストラップが長いことなどによってややブレが目立ち、ふわふわした感じがします。軽い荷物の場合は特に顕著で、実際は上部に荷物が浮くなんてことはありえませんが、上部に引っ張られるような錯覚に陥ります。その辺のクセも合わせてサイズ合わせがやや繊細なのかもしれません。

まとめ:どんな活動におすすめ?

2~3泊のテント泊から縦走用モデルとして定評のあったイーサーの進化系として、冬期を含めた4シーズンのトレッキングに活用できます。各機能も素直で判りやすく、コンプレッションストラップを活用して様々なツールを持ち歩ける拡張性もあり、初心者に有り難い機能も充実しています。特にアタックザックは単体使用可能な機能を持ち、更に下山後の温泉や散策にも流用できそうなので、公共交通機関を利用しての山行にも便利そうです。そしてなにより、新しく採用されたモデル名にも冠されている”AGサスペンション”の背負い心地を是非体感してみてください。

 

山野 けいすけ

ギア好きが高じて参加させて頂くことになりました。ストイック過ぎない程度の軽量装備で単独行を楽しんでいます。目下の目標は子供を連れての幕営縦走、しかし最大の障害はインドア派の妻かもしれません。身近な視点と探求心で色々なギアを紹介していきます。

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