今年の梅雨はこの一着で乗り切ろう。注目のアウトドア向けレインウェア 2019

当サイトが発足当時から毎年続く長寿企画、見逃せないレインウェア特集の季節が今年もやってきました。

このコラムがはじまる2015年以前には300g以下でも十分に軽量といえたレインウェアも、2016年にはトレイルランに特化した100g前後の防水透湿ジャケットが登場。同時期には透湿性がバケモノ級のモデルや、なめらかな肌触りで着心地抜群の軽量(3レイヤー)モデルなども相次いで登場し、軽量さを競いながら透湿性・着心地などの面で加速度的に進化が進んでいきました。そして昨年2018年はよりしなやかなニット裏地を備えたGORE-TEX ACTIVEの進化版や、新たにストレッチ素材を採用したレインウェアなど、快適さも目的に応じて多彩になり、より個性豊かな特徴をもったモデルが目立つようになりました。

そして今シーズンはというと、基本的には「軽いだけでなく、より快適に」という大きな流れは変わらず。そのうえで、登山向けレインウェアに採用される、軽量・パッカブルな防水透湿素材のGORE-TEX PACLITE®がより快適さを向上してGORE-TEX PACLITE® Plusとしてアップデートされたり、有名ブランドの定番モデルが続々リニューアルしたり、トレイルランニング向けに特化していた素材、GORE-TEX SHAKEDRY™ガーメントがさまざまな用途により最適化されるように多様化したりと、いくつかの興味深い動きがみられました。

そんな2019シーズンのレインウェアの注目モデルをテーマに分けて紹介していきます。今回取り上げるモデルは2019シーズンの新作やモデルチェンジが中心です。今年販売されているラインナップ全体での注目は、昨年の紹介記事(2018)も合わせて読んでいただくとよいでしょう。

ピックアップの基準ですが、いつもの通りすべてお店で実際に試着してみたうえで自分が欲しいと思ったかどうかです。つまりここで挙げたモデルは文字通り今シーズンの最優秀レインウェア候補。毎年目まぐるしく進化するレインウェアの最前線を知る手助けになれば幸いです。

目次

2019シーズントピック1:GORE-TEX PACLITE® Plus登場

ここ数年のGORE-TEX素材の矢継ぎ早の進化には目を見張るものがあります。

ウェアの分野に限っても、2015年のGORE® C-KNIT™バッカーにはじまり、2017年のGORE-TEX SHAKEDRY™、そして昨年のGORE-TEX Activeリニューアルと軽量モデルで完成度の高い素材が続々登場し、軽量レインウェア分野で他素材に押され気味だった一時の劣勢を完全に押し戻しつつある勢いです。

その勢いのままに今シーズン世界デビューを果たしたこのGORE-TEX PACLITE® Plusプロダクトテクノロジーの大きな特徴は、何よりもまず従来のPACLITE®に比べて向上した着心地の良さにあります。これまでのぺたぺたしたラミネート状のコーティングから、微細な凹凸を施した、肌離れよいドライ感の増した2(2.5)レイヤー生地となりました。

そしてやはり、過酷なストームテストをクリアした「優れた防水耐久性を備えた登山向けレインウェアとして限りなく軽量化されている」という点も、他ブランドの軽量レインウェアとは明らかに異なる特徴といえます。長期間の縦走などにおいても十分な耐久性を備えながら、トレイルランに特化したようなモデルと同レベルの軽さを手に入れることができるようになったのも大きな利点です。

それにしてもこの素材、あまり情報が少なくて個人的には謎が多かったので、詳しいところを思い切ってメーカーに直接聞いてみることにしました。ということで詳細についてはしばらくお待ちを。

Arc’teryx ゼータ FL ジャケット

重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆

アークテリクスから登場しているGORE-TEX PACLITE® Plusモデルはゼータ SL、それから部分的に採用しているベータ SLなどがありますが、軽量・パッカブルでなおかつ優れた防水耐久性というPACLITE®の良さが最も素直に表現されているのがこのゼータ FLでしょう。個人的には3シーズンの登山・トレッキングならこちらがおすすめです。

GORE-TEXの高い防水・耐久性を備えていながら、200g前後というトップクラスの軽さ。相変わらず動きに対してストレスなく身体にフィットする優れた立体裁断。袖のベルクロや裾のドローコードなどを省略し、限りなくパーツはそぎ落とされていますが、ストレッチのゴムなどによってフィット感や防水性は決して失われていません。そしてスムーズで耐久性の高いフロントジッパーや、素早くフィットするフード、左右の止水ジッパーポケットといった使い勝手を備え、間違いなくこのブランドの数値では表せないエンジニアリングの高さを堪能できる一着です。

MAMMUT Convey Pro GTX HS Hooded Jacket AF

重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★

前述したように、GORE-TEX PACLITE® Plusの良さは「登山向けレインウェアとしての防水耐久性や使い勝手のままに軽量化」できている点です。同じ軽量なレインウェアでも、GORE-TEX Active ガーメントを採用したモデルのように、短時間の激しいアクティビティ用に割り切った性能・仕様とは違います。軽いのに、総合力でもバランスの良いモデル。そのよさはこのマムートの最新レインウェアでいかんなく発揮されています。

表地13デニールという極細糸で密に織り上げた生地は薄いのにもかかわらずしっかりとハリがあり、撥水性も高い。裾はドローコードで開け閉めが可能。フードはヘルメット対応で密閉性も高く、細かい調整が可能なタイプ、ストームテストは伊達じゃない。そのうえで、脇下にささやかながらベンチレーションを備えるなど、換気性も配慮されているところがニクイ。胸ポケットや左右ポケットなど、豊富な収納を備えているため重量は240gと極端な軽さはありませんが、ジッパーが目立たないクリーンな外観など、デザイン性の高い作りにも思わず顔がほころびます。

2019シーズントピック2:日本発ブランドの人気・定番レインウェアがアップデートですごいことに

今シーズンは日本発のメジャーアウトドアブランドをはじめ、いくつかのメーカーで興味深いアップデートが、そして新たな王道を打ち立てようとする意欲作がちらほらありました。期待にたがわず完成度高し。

mont-bell ストームクルーザー ジャケット

重量★★☆ 防水性★★★ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★★☆

言わずと知れた全日本人の雨具、ストームクルーザーが満を持してリニューアルです。GORE® C-KNIT™バッカーを採用した前モデルは、優れた防水性・透湿性・快適な肌触り・軽量性と、オールラウンドな山用レインウェとしてこれ以上は望めないほどの完成の域に達したように思われました。

ただそれでも昔ながらの日本人的体型に合わせたシルエットや、動きによる突っ張り感など、フィット感や機動性という点でまだ改善の余地があったことは確かで、人によってはどれだけ性能が高くても手に取るまでに至らない要素であったかもしれません。

その唯一ともいえる弱点が、新モデルでは独自裁断パターン「K-Mono CUT」によって見事に改善。シルエットはよりスリムになり、そして腕上げ時に裾が上がってしまうこともなくなりました。相変わらずしなやかで快適な着心地と十分な使い勝手のポケットやフード・ジッパー・袖・裾の作り。重量はほぼ変わらずの254g。そして何より、このクラスのハイエンド素材を存分に使用しながら、あり得ない価格設定。もはや敵なしとなった万能レインウェアはいったいどこまでいくのでしょうか。

THE NORTH FACE スーパークライムジャケット

重量★☆☆ 防水性★★★ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★★★

アクティビティやシーンに合わせて、レインウェアのラインナップは星の数ほど豊富なノースフェイスは今年も興味深いモデルがたくさん。なかでも同ブランドが新たなフラッグシップモデルとして位置づけてリリースしたのが、クライミングを中心に幅広いアクティビティに対応するこのスーパークライムジャケットです。なるほど、さまざまな部分でプレミアムで特別な作りが目を見張ります。

ベースとなっている素材はGORE® C-KNIT™バッカーによる3レイヤーのGORE-TEXプロダクトですが、表地がストレッチ素材なのか、じんわりとストレッチします。この若干の伸縮があると無いとでは、動きやすさに大きな差が出てきます。次に日本のレインウェアには少ない、脇下ピットジップの存在。表地のストレッチ素材の影響か、若干衣服内がこもる感じですが、これがあることでムレを解消し、かなり快適さを保つことができる気がします。その他ヘルメット対応のフード、裾のドローコードなどに用いられているコードロックは平らで押しやすい高品質タイプ。GORE-TEXの優れた防水透湿性と快適性を確保しながら、クライミング時の機動性を最大限に高めた作りはもちろん登山やトレッキングにも十分対応してくれるでしょう。

Teton Bros. Tsurugi Lite JKT with Aqua Breath

重量★★☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★★★ 快適性★★★ 機能性★☆☆

Teton Bros.の防水シェルジャケットといえば、Polartec® NeoShell®と、斜めに入ったジッパーが印象的なTsurugi JKTを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。もはや代名詞ともなっているこの組み合わせですが、今シーズンはそのツルギジャケットのハイカー&ランナー向け軽量モデルTsurugi Lite JKTでコンビが解消。新たに相棒として採用されたのが、東レとの共同開発によって生まれたAqua Breath®です。

高耐水・高通気を謳うこの新素材は、NeoShell®がもっていた「透湿を越えて衣服内の湿度を積極的に排出するほどの通気性の高さ」を引き継ぎながら、さらに軽く、そして防水・耐久性に優れた素材を目標として開発されたといいます。細かい数値は公表されていませんが、数値上はNeoshell®以上の耐水圧、同等の通気性が実現しているといいます。さらに重量では約10%軽量化(240g/JP Mサイズ)されており、外見的にはほとんど変化はみられませんが、大きく進歩している模様。これは期待せずにはいられません。

berghaus ハイパー140シェルジャケット

重量★★★★ 防水性★☆☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★★☆

イギリスの老舗総合アウトドアブランドBerghausは数年前からこの軽量レインジャケット「ハイパーシリーズ」を継続的にリリースしています。2017年にリリースされた前モデル、当時の世界最軽量3レイヤー防水シェルであった「ハイパー 100 ジャケット」が記憶に新しいところ。今シーズン、その後継としてリリースされた本作は、重量こそ100g → 140gと重くなっているのですが、前モデルとは別の観点からみて同じように刺激的なモデルです。

2.5層のHydroshell Elite素材はいわれなければ3レイヤーの生地と間違えるくらいに裏地がサラサラとドライで快適な肌触り。大きな進歩は左右に付いた2つのハンドポケットです。これまでは完全にトレイルランのためのウェアという位置づけだったのが、このモデルはさらに汎用性が高く、ファストパッキングやスピードハイキングにも十分使い勝手が良いモデルといえそうです。パッキングすれば握りこぶし大まで圧縮でき、U.L.ハイカーにとっては非常に魅力的な選択肢であることは間違いないでしょう。

2019シーズントピック3:より洗練・多様化したGORE-TEX SHAKEDRY™ガーメント採用モデルにも注目

2017年、メンブレンがむき出しという驚きのルックスで飛び抜けた透湿性と持続的な高撥水性を実現し、衝撃的なデビューを果たしたGORE-TEX SHAKEDRY™ プロダクト。シンプルにとてつもないことは理解できたものの、あの価格では正直シリアスにタイムや成績を追い求めるランナーでもない限り、自分にとってはオーバースペックなものだと敬遠していました。

それが今シーズン、ここへきて若干の風向きの変化を感じさせるモデルがでてきました。ひとつは価格面、そしてもうひとつは作りの多様化的な側面で。そこで個人的には満を持してこれらのモデルをレビューしてやろうかと思っています。

mont-bell ピーク ドライシェル

重量★★★ 防水性★★★ 透湿性★★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆

モンベルがバイク向けではなく、ついに登山向けにGORE-TEX SHAKEDRY™採用の防水シェルをリリース。しかも相変わらず「ホンモノなのか?」と疑いたくなるほど桁違いの低価格で。

同ブランドのトレントフライヤーとほぼ同じシルエット、ほぼ同じポケット位置で作り自体特に大きな驚きはありません。ただモンベルはGORE-TEX製品であってもHPに防水透湿スペックを公表しており、その数値「耐水圧50,000mm以上、透湿性80,000g/m2・24hrs(JIS L-1099B-1法)(参考値)」の破壊力たるや!重量も185gと最軽量クラス。ただ最も気になっている、バックパックを背負っての登山ではどれくらい摩擦に耐えられるのかといった耐久面は、じっくりとテストしてみたいと思います。なにせ、この価格ならある程度心置きなく試せますから汗。

THE NORTH FACE ハイパーエアーGTXフーディ

重量★★☆ 防水性★★★ 透湿性★★★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆

最後はトップアスリートと共にゴールドウインテック・ラボで研究を行いながら開発されたという、トレイルランニング専用防水シェル。このモデルも、さすが独自に研究を重ねただけあると思えるような素晴らしい工夫がたくさんみられます。もちろんGORE-TEX SHAKEDRY™による素材面でのスーパーな特徴は第一に挙げられますが、何といってもバックパックの上から羽織ることができる特殊パターンにすることで、レース中の使い勝手だけでなく肩の耐久性といった不安も解消されていることが素晴らしい。さらにポケットを省略した代わりに、両胸に大きく開くベンチレーションのジッパーを取り付け、湿気の排出機能を最大化するという割り切った仕様も納得。「ベンチレーションを開けている状態では雨が防げないよね」という突っ込みが野暮に見えてくる思い切りの良さです。これからトレイルランで山に入る際には常にもっていたくなる一着。

レインウェアについてはこちらの記事もおすすめ

山仲間にシェアしよう!

202 Shares

最新ギア情報をゲットしよう!